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成功条件 開業資金融資を受けるための創業計画書の書き方 |
創業者が、日本政策金融公庫や信用保証協会付きの融資を申し込むためには、創業計画書の提出を求められます。両者とも、それぞれ様式が特定されていますが、内容は、ほぼ同じです。自治体の制度融資の利用を目指されているかたもいると思いますが、制度融資も、信用保証協会付きの融資の一種です。
創業計画書の出来不出来で、融資を受けることができるか否かが決まります。ですから、創業計画書は、大変に重要な書類です。
日本政策金融公庫のHPに記入事例が掲載されてますが、その記入例どおりに書いたつもりなのに、融資が受けられなかったというかたが少なくありません。理由は明白です。記入例の出来がよくないからです。記入例のように、あっさりと書いただけでは担当者の疑念を払拭することはできません。政府系金融機関とはいえ、元金と利息が回収できなければ担当者は責任を問われます。担当者を十分に納得させるためには、より充実した内容の創業計画書を作成しなければなりません。
まずは、創業計画書の本質を基本から理解する必要があります。その本質を理解すれば、小さな紙面に事業計画を十分に書ききれないことはすぐに理解できます。添付資料を使って、詳細かつ説得力をもって、事業計画を力説する必要があるのです。説得力のある創業計画書なら、融資額の3割、4割アップも十分に可能です。
【創業計画書の作成ステップ】
創業計画書の作成は、ビジネスの基本事項について考えを整理するプロセスです。まずは、次の6つのポイントについて、仮説や前提をおいてかまいませんので、構想してみてください。仮説の部分は、作りこんでいく過程で検証・修正することができます。
@商品、製品、ビジネスフローを具体的にイメージする。
Aどのマーケットを攻めるのか。そのマーケットの大きさ、成長性を調査する。
Bそのマーケットには、どんな競合がいるのか。その競合に対してどんな差別化を図るのか。コスト競争力か付加価値のどちらかで差別化しなければビジネスは成功しない。
C売上と経費はどれぐらいかかるか。毎月どれぐらい利益が出るか。
D当初必要な資金を予測する。設備資金や、ビジネスが軌道に乗るまでの運転資金を自己資金で賄えるか否かを検討する。不足するなら、その不足額をどうやって調達するか。
E毎月の借金の返済額はどれぐらいになるか。利益の中から返済可能か。
創業計画書をきちっと作成することにより、借入額を増額できるだけでなく、ビジネスで成功するためのポイントを明確化することができます。
次に日本政策金融公庫のサイトで、創業計画書のひな型をダウンロードしていただけるでしょうか。
創業計画書のフォーマットと見比べながら、下にかかれている作成のポイントをお読みください。単純なフォーマットですが、そこにになにを書くかで、【無担保・無保証人】・【長期】・【低金利】という信じられないような好条件の『新創業融資制度』による融資が受けられるか否かが決まります。 (⇒作成支援サービスはこちら)
以下が、具体的な書き方のポイントです。
【1.事業計画など】
事業計画を書かれたことのない方には、書くのが難しい箇所です。
どうしてもおざなりに書いてしまいそうになりそうな部分でもあります。
ひとつの理由としては、日本政策金融公庫がサイトで紹介している例が結構、あっさりと書かれているからです。こんなものでいいのかと、同じようにさらっと書かれるかたが多いのです。
しかし、この部分は、ビジネスの将来性(マーケットの成長性)や、創業者の経験・技術、創業者の夢・経営理念、ビジネスの差別化要因をあつく語ってください。いくら政府系金融機関でも返せそうも無い人に金は貸してくれません。あなたが戦略的な思考の持ち主であり、ビジネスを軌道に乗せ、借金を返せる人間であることをアピールする必要があります。
【創業する目的・動機】
▼まず、最初の『創業する目的、動機』ですが、二つのポイントを必ず守ってください。
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国の白書とか、各種の調査会社の資料でピンポイントのものがあれば使って下さい。飲食店やサービス系のビジネスだと、該当地区や当該ビジネスの統計資料は探してもないことが多いので、その場合は、自分の足で通行量とか顧客層について実地調査して報告書にまとめください。フォーマットはなんでもかまいません。文章もへたでもかまいません。箇条書きでも結構です。審査する側はあなたの文章力を判断しようとしているわけではありません。あなたが、成長する確かな市場でビジネスを開始しようとしていること、それがゆえに失敗する確率が低いこと、貸したお金が戻ってくる可能性が高いことを知りたいのです。 あなたに冷静かつ緻密な計画性があり、伸びている市場を把握していることを示してください。 その良心を部分を、照れることなく、まるで他人をほめるように書き綴ってください。イタリアンのレストランなら、『イタリアンの文化が好きで、日本人にもっとイタリアのよさを味わってもらいたい』とか、思いの部分を堂々と語ってください。 融資を受けるためには、融資担当者に、あなたが現実的な思考ができる人であることを理解してもらうほうが、夢を語るよりもはるかに重要であります。しかし、これから創業するビジネスに夢や強い動機付けをもっている人の方が、ビジネスに成功する確率が高い、すなわち、貸したお金をちゃんと返済できる可能性が高いことも確かなのです。夢や理念がおざなりに語られていれば、あなたの動機付けの疑われ、審査をする担当者の心証を損ないます。 |
【事業の経験】
次に『事業の経験』ですが、経験のないかたは、あっさりと「ありません」と書かれてしまうことがあるのですが、それは融資はいりませんと言うのに等しい行為です。経験の内容と勤続年数については、審査担当者はとても重要視しているからです。ばか正直であれば評価されると考えるのは誤りです。 直接的な経験がなくとも、間接的な経験はあるはずです。
ラーメン屋を経験がないのに開業するとしましょう。正社員として経験がなくとも、アルバイトをしていたことがあるとか、サラリーマンのときに顧客がラーメン屋でいろいろ経営改善のアドバイスをしたとか、関連する経験を記述してアピールするべきです。 自己の経験のなかでスタートするビジネスにつながる経験がなにかあるはずです。それを引き立てて記述するようにしてください。
開業するビジネスで十分な経験があるかたは、自分の経歴を積極的に記述してください。まるで尊敬する人物を誉めそやすように書いてください。注意していただきたいのは、経験がおありになる方ほど、自信があるせいかあっさりと記述してしまうことがありますが、手短にそっけなく履歴を書き並べるのは禁物です。各役職のときの業績や業務の内容を、業界の用語をふんだんに使いながら、記述してください。『営業、マーケティング、商品開発、人事管理、利益管理』の広範な業務分野を念頭において、自分の業績・経験をもれなく、詳細に語ってください。そうすれば、高い評価を得られるはずです。
【お取扱の商品・サービス】
図やチャートを使いながら、取り扱っている商品・サービスを具体的かつ明瞭に説明してください。ここでのポイントはわかりやすさです。友人や家族に見せて、その説明の仕方が分かりやすいかどうか確認してください。意外とこの部分は重要です。融資担当者があなたのビジネスをよく理解できなくて評価が下げられるということがよくあるからです。
【セールスポイント】
『セールスポイント』もつまづかれる方が多いところです。いわゆる差別化要因を書かなければゆけない場所ですが、この差別化要因をがんばってアピールしようとしてちぐはぐな表現になってしまう方が結構います。そのビジネスにおいて絶対にクリアしなければならないビジネスルール、守らなければならない基本を確認するといった程度の姿勢での書いたほうが良いものが書けます。
たとえば、運送業のセールスポイントなら
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そのビジネスの基本は何だろうと問いかけるだけで、逆に、差別化要因を明確に意識することができるのです。ただし、パンチのある差別化要因をおありなら、無論、それを強調してください。その方が、担当者の印象はよくなります。競争相手に打ち勝つためには、価格を低く設定するか、あるいは、顧客の望む付加価値を加えなければなりません。長期に成功している中小企業は、かならず、このどちらか、あるいは、両方の強みを持っています。このことを念頭において、差別化要因を作り上げていってください。
【2.ご予定の販売先・仕入先】
次に、「ご予定の販売先・仕入先」の記入方法です。
これから、営業をかける相手でもよいので、列挙してください。 空白は絶対にだめです。
具体的販売先から、発注書とか契約書とか入手できるのであれば、それを添付すれば、強力なアピールになります。
もし飲食業などで、顧客が不特定多数であるなら、固有名詞をあげることはできません。その場合には、どんな属性のお客さまをターゲットにしているのかを書いて、上述した統計資料や実地調査資料を添付してください。その顧客層のニーズが拡大していることをアピールするのです。
【3.必要な資金と調達の方法】
資金計画を記述する場所です。
資金の調達方法と、使途を書きます。右側が調達方法で、左側が使途です。
さらに、調達方法は、自己資金と借入に分かれます。借入はこの場合は、日本政策金融公庫からの借入となります。使途は、設備資金(店舗・工場など)と運転資金(商品代金・経費など)に分かれます。自己資金、設備資金と運転資金の意味は、後述します。
左右の金額の合計は当然のことながら一致しなければなりません。右側の調達額が多ければ、お金があまるだろうと判断されて借入予定額が減額されるし、左側の使途が多ければ、資金的な手当てがつかない現実性のないプランを立てていると判断されます。
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自己資金とは、返済不要な自分のお金のことです。会社なら資本金と資本剰余金に該当します。この2倍の金額が、借入限度額です。保証金の支払いなどに一部をつかってしまっていても、減額する必要はありません。親や親類から支援してもらっている場合には、贈与を受けていることを示す書面を用意する必要があります。贈与であることが明らかでないと、借入扱いとなり、融資金額を減額される恐れがあります。 設備資金(店舗・工場など)は、建物、器具、車両、機械等への投資です。賃貸物件の保証金もここに入ります。 運転資金(商品代金、経費など)には、開業費用(賃貸物件の礼金、仲介手数料、求人費用、ちらし、ホームページ作成費用等)と、ビジネスが軌道にのるまでのつなぎ資金があります。つなぎ資金は、「創業の見通し」の経費総額の2〜3か月分が必要とされます。売上が増え、売掛金の入金がはいるようになるまでは、経費による支出の方が多い時期があります。その時期を乗り切るための資金です。 設備資金や運転資金については、裏づけとなる見積書、領収書を見せてほしいといわれることがありますので、きちっと整備しておきましょう。 設備資金と運転資金の合計から、自己資金を引いた金額が借入をしなければならない金額、すなわち、日本政策金融公庫に対する融資申込み額です。融資申し込みできる金額は、自己資金(資本金と資本剰余金)の2倍までということを忘れないでください。 |
【4.創業後の見通し】
この部分が、創業計画書のなかでも、融資担当者がもっとも重視する箇所です。この出来不出来で、融資申込者の経営能力が判断されてしまうといっても過言ではありません。この部分が根拠だてて記載され、起業家が実感を込めて説明できるかいなかで、担当者は、借入申込者の返済能力を判断するのです。創業後の見通しには、「創業当初」と「軌道に乗った後」の二つのパターンに分けて記述します。創業当初から、借入返済をしても、やっていける計画となっていなければなりません。以下の説明は、基本的には、創業当初の損益計画の書き方について説明しております。『軌道に乗った後』の見通しは、通常は、創業当初よりも売上が伸び、利益が増加する内容となります。以下、勘定科目別に説明します。
【売上高】
算出根拠を具体的に数値を入れ込んで説明するのがこつです。 要は、売上を作り出す基本的要因から売上目標を立てるのです。業種ごとの売上高の目標の設定の仕方を以下に挙げます。この数式を右側の根拠の欄に記入してください。要は、売上目標が、いい加減な目見当ではなく、売り場面積とか席数から客観的に算出しているということを示す必要があるのです。売場面積、席数、生産能力は設備投資額と矛盾がないか必ず見当してください。営業人員は、後述の人件費と矛盾がないように計画してください。
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・小売業 (売り場面積)×(店舗面積)=(売上高) ・レストラン (客単価)×(席数)×(回転数)=(売上高) ・商社 (営業マンひとりあたりの売上)×(営業人員)=(売上高) ・製造業 (主要な設備の生産能力)×(設備の台数)=(売上高) |
以下のHPをご参考にしてください。
・ 中小企業庁HP公開情報調査統計
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/index.html
・ TKC経営指標速報
http://www.tkcnf.or.jp/04bast/index.html
必要な売上高の算定方法
売上はどれぐらい必要でしょうか。少し複雑ですが、最低限必要な売上高は次式で算定できます。
【必要最低売上高=(経費+借入額×1.7倍)×(1−原価率)】
たとえば、次のような会社を想定しましょう。
・人件費・地代等の経費合計額が、金利を含めて月に100万円発生する。
・借入額が700万円。返済期間7年。月次返済額8.3万円。
・商品原価率8割。
必要最低売上高=(100万+8.3万×1.7倍)×(1−80%)=570万円
この金額はあくまで収支とんとんとするための最低売上高です。成長するためには、売上はこれ以上の金額である必要があります。
【売上原価】
売上原価とは、売上をあげるために直接的に要したコストです。小売や商社なら商品原価、飲食店なら材料費、製造業なら製造原価です。上記の中小企業庁から出ている統計資料や、よく本屋で売られている開業案内本にその業種における平均的な売上高比率が例示されていますので、それを参考に計上してください。算定根拠は、右側の根拠欄に必ず記載してください。
【経費】
とくに重要なのが人件費です。売上を実現するための人員は最低、何人必要なのかを考えて計上する必要があります。売上と人件費(人員計画)とがバランスしていないと、担当者は、あなたのことを現実的にビジネスを計画できないひとだと判断します。 売上を維持するために正社員とアルバイトが何人必要ななのかを考え、その必要人員から人件費を算出する必要があります。この算出式は、必ず、右側の根拠欄に記載してください。
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人員に人件費を乗じて月の人件費総額を算出します。 ・ 正社員: 人員×月額給与 ・ アルバイト: 人員×時給×1日当たりの労働時間×月あたりの労働日数 |
そのほかの家賃、旅費交通費、水道光熱費、消耗品費、通信費等の経費は、上記の中小企業庁から出ている統計資料や、開業本にそれぞれの業界における売上高比率が掲載されていますのでそれを参考にしてください。家賃以外の経費は、「そのほか」にまとめられますが、その内訳や算出根拠は、根拠欄に書いておきましょう。これらの経費の水準が、業界平均の売上高比率と乖離しすぎていると、やはり、現実的な思考力があるのか疑われることになりますので適正な額を計上してください。
【支払利息】
借入希望額に、「基準金利(長期プライムレート)+1.2%」を乗じた金額を12ヶ月で割って一月分の金利を出してください。 たとえば、800万円を、基準金利が2.4%のときに借りるのであれば、利息は月額24,000円となります。正確には返済による元本の減少も考慮する必要がありますが、右側の根拠欄に算出式を書いておけば、そこまで正確に計算する必要はありません。基準金利は、日本政策金融公庫のサイトに掲載されています。支払利息の計算がきっちりされていないと、はたして、お金をちゃんと返す意思があるのかという基本的な部分が疑われますので、かならず、損益計画に入れ込んでください。
【利益】
売上から、売上原価と経費合計を控除した残高が利益です。この利益から税金が払われ、借金が返済されます。ですから、この利益額は、毎月の返済額より、かなり、大きくなくてはなりません。800万円を『毎月返済額10万円×80回』という条件で借りたなら、毎月の目標利益は15万くらいなくてはだめです。約30%ぐらいは税金の支払いに消えるので、10万円の返済をするためには、余計に利益が必要なのです。政府系金融機関でも、借入が返済してもらえる事業計画にしかお金は貸してくれません。税金を払っても借金が返済できるだけの利益を計画してください。
【最後に〜儲かるコツをつかむ】
創業計画書を、月次決算と比較することによって、自分の考えや戦略の誤り・欠点を発見し、貴重なレッスンを学ぶことができます。儲かる経営を実現するためには、大変に有効な経営管理プロセスです。当事務所のお客様には必ず、実施していただいております。
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