簡易課税と原則課税は、どっちがお得か?【インボイス制度下の比較】
インボイス制度の導入
インボイス制度においては、払った消費税を受け取った消費税から控除するために、仕入業者から、適格請求書(インボイス)を入手しければなりません。
適格請求書が発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録した消費税の課税事業者だけです。
インボイス制度は、免税事業者にも影響を及ぼします。
免税業者は、インボイスを発行できないので、消費税を請求できなくなります。
相手先は、当面は軽減措置があるものの、仕入税額控除ができなくなるので、価格の調整を求められたり、取引を回避されたりしてしまう可能性があります。
それを避けたければ、適格請求書発行事業者として登録して消費税の課税事業者にならなければなりません。
インボイスを発行する課税事業者の納税の方法には、一般課税と簡易課税の二つの制度があります。この点は、インボイス制度の導入前後で変化はありません。
原則課税・簡易課税とは?
「原則課税方式」では、受け取った消費税から、実際に支払った消費税を控除して納税額を算定します。実際の差額を計算する方法です。
「簡易課税方式」では、受け取った消費税に一定の割合を乗じて納税額を算定します。基準期間の課税売上が5千万円以下の中小事業者のみに認められた簡便的な制度です。受け取った消費税の金額がわかれば納税額が計算できるので計算は楽です。
簡易課税のメリット
例えば、サービス業などの場合は、みなし仕入率は50%です。簡易課税であれば、受け取った消費税の半額が、納税額となります。
サービス業の場合には、コストに占める、課税仕入とならない給与の割合が高く、課税仕入に相当する費用の割合が低いのが一般的です。課税仕入の売上に対する比率が50%未満であれば、簡易課税の方が有利です。
医療・介護、賃貸不動産業の場合は、みなし仕入率は、それぞれ、50%、40%と低いのですが、そもそも課税売上割合が低いので、簡易課税の方が有利となることが多いです。
簡易課税のデメリット
簡易課税の場合ですと、設備投資等の大きな買い物をして、消費税をたくさん支払ったときも、受け取った消費税に一定率を乗じて税額を計算するので、還付は受けられずに、逆に納税が発生してしまいます。
簡易課税は最低二年以上の継続適用が条件ですので、二年以内に大きな設備投資を予定している場合などには注意が必要です。
また、輸出取引に関しても、原則課税なら、受け取った消費税がないので支払った消費税の還付を受け取れますが、簡易課税だと受け取った消費税に一定率を乗じて税額を計算するので、消費税の還付を受けられません。
事前の損益予測は必須です
不課税取引である人件費や、課税取引である設備投資は、課税期間によって変動します。
さらに、実際の有利不利は、上記のように複数の要素がからみますので、簡単なものでもよいので、損益計画や設備計画を策定しないとわかりません。
簡易課税は、課税期間の開始前に選択届出書を税務署に提出しなければならないので、課税期間が始まる前に、損益計画や設備計画を作って、丁寧に予測する必要があります。
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