ただ、高収益企業にとっては、借金は悪いものではありません

借金をするというと、赤字と結びつけて考える方はすくなくありません。

しかし、経営という観点からするとこの先入観は、間違っています。

上場している優良企業の決算書を見てください。

借入をしていない会社は、ほとんどありません。

借金=赤字ではないのです。

 

利益を伸ばしている会社は、借金が減るどころか、借金が増えていきます。

利益を伸ばすためには、運転資金と設備資金を投入する必要があります。

その資金を借金で調達するために、借入が増えていくのです。

利益を伸ばすためには、借金は必要なのです。

 

理解しやすいように、簡単な設例で、ご説明します。

次のような業績の会社を想定しましょう。

 

≪借入による資金調達前≫

  • 売上 100百万円
  • 原価 80百万円
  • 粗利 20百万円
  • 人件費 12百万円
  • 販管費 8百万円
  • 利益 0円
  • 粗利率 20%

 

この会社が10百万円の資金を借りたとします。

金利は、2%としましょう。

会社の業績はどうなるでしょうか?

 

この資金で商品を買って売ります。

在庫が年間に6回転すると想定しましょう。

結論を操作したという印象をぬぐうために、回転期間は控えめに想定しています。

まず、売上は、次の額だけ増加します。

 

10百万円×6回転×売価125%=75百万円

 

10百万円の資金で6回仕入をして、それに25%の利益を乗せて売るので、年間で、75百万だけ、売上が増加します。

売上の総額は、100百万円から175百万となります。

粗利は、175百万円の20%、すなわち、35百万円となります。

 

経費は、どれだけ増加するでしょうか?

売上に正比例して増加してしまうと考えがちですが、決して、そんなには増えません。

固定費は、売上ほどには増えないからです。

売上が増えたら営業マンは増えるかもしれませんが、比例的には増えません。

管理者や社長の頭数は、変わらないでしょう。

ですので、人件費は、比例的には増えません。

事務所の広さも、それほど広げる必要はないでしょう。

地代は、ほとんど変わらないでしょう。

かりに、ここでは、人件費と販管費の増加率は、50%としましょう。

これでも、結論を操作したという印象をぬぐうために、かなり高めに設定しています。

すると、人件費は、18百万円、販売管理費は、12百万円になります。

借入をしたので支払利息も、20万円発生します。

金利は、2%です。

資金調達して、資金を在庫投資へ投入した後の業績は次のようになります。

 

≪借入による資金調達後≫

  • 売上 175百万円
  • 原価 140百万円
  • 粗利 35百万円
  • 人件費 18百万円
  • 販管費 12百万円
  • 支払利息 0.20百万円
  • 利益 4.8百万円

 

利益の増加額の方が、支払利息より大きいので会社の利益は増加します。

利益管理をしっかりとしている企業では、事業の収益率は、金利よりもはるかに高いのが通常です。

借金をして事業資金を投入すれば、利益は増加するのです。

なぜ、借金が悪という誤解がうまれるか?

それでは、なぜ、借金=赤字というイメージが定着しているのでしょうか?

赤字体質の会社が、経営改善を怠って赤字をたれ流し続け、借入により赤字補填をし続けることがあるからです。

計数管理に関心を示さない経営者が、よく陥るわなです。

 

借入による赤字補填は、麻薬のようなものです。

銀行に適当にうそをついてお金を借りられれば、経営改善という苦しみから逃れられるので、くせになるのです。

解決が難しい経営課題に取り組む必要もありませんし、社員を説得する必要もありません。

しかし、銀行は、膨れていく借金にいつまでも付き合ってくれません。

銀行は、赤字補填目的の融資はしないのが原則です。

ですので、やがては銀行に見捨てられます。

銀行に見捨てられると、資金が回らなくなるので、倒産します。

結果として、借金が残ります。

倒産すると、赤字補填のために借りた借金が残ってしまうのです。

これが、借金=赤字というイメージが定着してしまっている理由です。

 

しかし、借金が赤字を作り出しているのではなく、事業の赤字が、借金を作り出しているのです。

経営の失敗により、お金が無駄に使われていることが、借金の原因であり、借金が赤字を生み出しているわけではありません。

事業の収益性が、しっかりとしており、1~2%という低金利より上にありさえすれば、借金をすることより利益は減るどころか、事業規模の拡大により増加するのです。

銀行融資を調達する方法

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