経営改善計画の書き方

資金繰りがつまったときには、銀行に頼んで借入金の月々の返済額を減らしてもらう必要があります。
この返済条件の緩和のことをリスケといいます。
リスケを認めてもらうためには、経営改善計画を提出しなければなりません。

▼リスケを認めてもらうために、経営改善計画がクリアすべき条件
銀行に新たにリスケをしてもらうためには、実現可能性の高い抜本的な経営改善計画(実抜計画)を銀行に提出しなければなりません。

「実現性が高い、抜本的な経営改善計画」とは、次の3つの条件を満たしている事業計画です。
@ 10年以内に債務超過を解消
A 売上目標や利益目標が8割以上は達成されること
B 15年以内に全債務を返済する

要するに時間的猶予をもらえれば、返済できるということを示す必要があるということです。
ただし、客観的なデータをもとに立証しなければなりません。
適当に数字を並べただけの大雑把な計画とか、あるいは、売上の回復を期待する楽観的な計画は、リスケを断られる恐れがあるのでご注意ください。
 
▼経営改善計画が求められる理由

銀行が経営改善計画の提出を求めるのは、実現性の高い抜本的な経営改善計画があれば、格付けを下げなくともよいと金融検査マニュアルに規定されているからです。
格付けが下がらなければ、不良債権扱いとならず、貸倒引当金を積み増さずにすむので、銀行の財務諸表が傷つかずにすみます。
借り手も、不良債権扱いとならなければ、回収のための法的な手続をとられずにすむので延命することができます。

経営改善計画は、決算が赤字となってしまったときにも役立ちます。
損益が赤字となった場合には、通常は、格付けを要注意先に下げられてしまい、追加の融資を受けるのは難しくなります。
しかし、赤字が一過性のものであれば、格付けを正常先のままにしておいてもさしつかないと、金融検査マニュアルには規定されています。
口頭でいくら「赤字が一過性である」といってもなかなか納得してもらえません。
経営改善計画は、赤字が一過性のものであることを理解してもらうのにも有効です。


▼リスケを認めさせる経営改善計画の書き方
大雑把な計画や、売上回復に期待する楽観的な計画では、リスケは認めてもらえません。

詳細なデータに基づいて、現実的に作成する必要があります。
そのためには、まず、現状分析をしっかりと実施しなければなりません。
とくに、商品別、得意先別、部門別の損益分析を時系列に実施して、会社の赤字原因を冷静に分析することが大切です。
同業他社とも比較することによって会社を多角的に分析して経営課題を明らかにしてください。


現状分析をしっかりと実施しないで、適当に経営改善計画を作ると経営改善計画は大きく未達となり、最終的には、格付けを下げられてしまいます。
そうなれば、法的な回収手続をとられ、会社の存続は危うくなります。それを避けるためには、現状分析に真剣に取り組む必要があります。(ステップ1:現状分析)。


現状分析が終わったら、その分析に基づき、資金繰りを改善するための対策を練ります。

資金繰りを改善するための対策

・コアとなるビジネスへの集中とリストラ
・資産売却
・役員報酬削減
・人員、人件費削減
・経費削減
・製品・サービスの改良
・あらたな顧客の発掘
・社員毎の具体的な行動計画

これらの対策案に基づいて、数値計画である経営改善計画を策定します。
経営改善計画が『実抜計画』の条件を満たすまで、対策案を何度もなりなおして、経営改善計画も何度も修正します(ステップ2:対策とシミュレーション)。

計画が完成したら次は実行です。
立派な経営改善計画をつくっても、つくりっぱなしでは、『正常先』の格付けを維持することはできません。
リスケの更新を断られ、回収手続をとられてしまいます。
リスケは半年から1年ごとの更新なのです。
80%以上は、達成しないとリスケは更新してもらえません
PDCAサイクルをスタートする必要があります。
PDCAサイクルとは、計画から行動、分析、行動改善にいたる経営管理活動をいいます。計画未達となった場合の原因分析を毎月、実施することによって利益を改善する仕組みです。


計画(Plan)⇒実行(Do)⇒計画と実績の差異分析(Check)⇒改善(Action)

要するに毎月、厳しく数字をチェックして、なにがなんでも80%以上は、計画を達成するということです。

この月次の差異分析や改善案を毎月、銀行に提出すると、銀行からの信頼を高めることができます。
ステップ3:PDCAサイクルとモニタリング対応

⇒『経営改善計画の事例』へ

▼経営改善計画が満たすべき必須条件

経営改善計画をつくっても現実性に乏しければ、謝絶されてしまいます。
かりにリスケを認められても、計画未達となり、半年か1年で打ち切られてしまいます。
そうなれば、会社は、要注意以上の格付けを維持することはできず、不良債権扱いとなり、銀行は法的な回収手続きに入ります。
経営改善計画を作るときには、次のことは守ってください。

  • 経営悪化を他人のせいにしない。
  • 役員報酬を下げる。社長自らが出血する。
  • リストラによる人員削減を織り込む。犠牲を払う覚悟を見せる。
  • 売上増加は、織り込まない。売上増加を見込むと甘いと思われるからです。
  • 売上高、原価率、必要人員、経費は、過去の実績に基づいて、保守的に計画する。過去の実績に基づいて、現実的に計画していることがわかる資料を添付する。

この条件をクリアするためには、前述したように、現状分析をしっかりして、リアルな経営改善計画を作成しなければなりません。
 

▼経営改善計画書の内容
以下が、銀行に提出する経営改善計画の目次です。

  • 返済条件変更のご依頼
  • 経営改善計画
  • 10ヵ年損益計画書
  • 資金繰り実績と予定
  • 金融機関取引一覧表
  • 月次予算実績比較分析表(継続開示)


▼経営改善計画書の有効性
綿密な経営改善計画書を作成して、銀行の支持を取り付けたケースは、わたくしどものお客でも多々あります。
リスケを終了し、新規融資を再開している例も少なくありません。

▼口頭の説明では通じない

経営改善の計画なら、口頭で銀行の担当者に説明しているといわれる経営者が多いのですが、経営改善計画は、口頭では受け付けてくれません。
銀行のリスケの承認手続きにおいては、全く考慮されません。
会社自身が経営計画を作らないのに、100社以上のお客を抱えている担当者が上司や本部を説得するため、経営改善計画をつくるはずがありません。
評価対象とならないうえに内容に基礎的なミスがあれば、担当者は、文字通り飛ばされることになるでしょう。
経営改善計画書は、会社自身が作るしかないのです。