創業融資の自己資金について

▼自己資金は多いほど有利です

日本政策金融公庫の創業融資と自治体の制度融資では、自己資金の多寡はとても重視されています。

審査では、重点的にチェックされます。

統計的に見ても、借りられる金額は自己資金に比例しています。

自己資金が不足していても、創業計画書の内容がとてもしっかりとしているために、十分な創業資金の融資に成功された経営者はたくさんおられますし、さまざまな工夫により、自己資金扱いとしてもらう資金を膨らませる方法もあります。

ただ、自己資金が多いほうが、審査は有利であることは確かです。

なんで自己資金は重視されているのでしょうか?

必要資金をすべて借金でまかなった場合には、将来、そのビジネスが資金ショートを起こす可能性が高いからです。

自己資金が少ないほど、資金繰りが破綻するリスクが高いと見られてしまうのです。

また、審査担当者は、自己資金が足りないと、起業準備の努力や計画性が足りないと判断する傾向があります。


▼自己資金を補う方法

ですので、自己資金が不足しているときは、さまざまな方法で自己資金を補う必要があります。

主な手法をご紹介しましょう。

  • 親、兄弟、親類からの贈与 贈与契約書があり、親の財務状況がしっかりしていれば、自己資金として認めてもらえます。
  • 第三者割り当て増資 なぜ、第三者が出資してくれるのか、出資理由が明確であれば、問題なく、自己資金として認めてもらえます。
  • みなし自己資金 すでに使ってしまったお金でも事業用として使われていることを示すことができれば、自己資金として扱ってもらえます。
  • 現物出資 事業用資産に使われることをきちっと説明できれば、その分だけ銀行の評価は上がります。
  • 退職金 近い将来退職したときにもらえることが明らかであれば、自己資金扱いとなります。
  • 資産売却代金 売買契約書等の証憑が必要です。

などの方法があります。

なお、タンス預金は基本的にはだめです。

タンス預金は、銀行に預けずに自分で保管していたお金のことです。

基本的に信じてもらえません。


▼自己資金とは?厳しい定義

ところで自己資金とはいったいどんな資金でしょうか?当たり前のことかもしれませんが、まずはこの基本的な概念から確認しておきましょう。 自己資金とは、簡単に言えば、「誰にも返す必要がないお金」です。

例えば、給料から少しずつ、蓄えたお金は、だれにも返済義務をおいません。これは、自己資金の典型例です。

一方で、借金をして手に入れたお金は、自己資金とはいいません。いつか返さなければならないからです。
親から渡されたお金であっても、親が明確に贈与の意思を示していなければ自己資金とはみなされない可能性があります。いつか親から返済を求められるかもしれないからです。たとえ、形式的に贈与契約書があっても、親の財務状況が悪ければ、将来、返してくれと言われるかもしれないので、自己資金とはみなされないこともあります。

「返さなければならないか否か」が、判断の分かれ目です。 


▼見せ金に対するチェックはとても厳しい

一時的に借り入れたお金を自己資金に見せかけられないかという誘惑に駆られる方が結構います。この見せかけのお金のことを見せ金というのですが、見せ金の利用は、簡単に見抜かれてしまうことが多いということをご理解ください。

審査のときには、通帳の持参を求められます。まとまったお金がいきなり、通帳に振り込まれていればとても目立ちます。一時的な借金の場合は、その振り込まれたお金の出所について裏づけをしめすことができないので、簡単に見せ金であると見抜かれてしまいます。

日本政策金融公庫や信用保証協会などは、過去6ヶ月以上前に遡って通帳を確認します。最近は、1年近く前にさかのぼって通帳を確認することもあります。不自然な入金があり、それが見せ金であると判断されると著しく信用を損なうこととなります。

いろんな口実を考えるひとがいますが、あれこれと口頭で弁明しても、裏づけ資料がきっちりと示されなければ信じてもらえません。立証責任はこちら側にあります。もし、疑いをはらすことができなければ、お金は貸してもらえません。裁量権は、あくまで銀行側にあります。証拠をこちらが示せなければ、銀行側には融資を断る権利があるのです。銀行には融資を断った理由を開示する義務もありません。


▼見せ金だと誤解されないようにすること

本当に自分のお金である場合にも、注意が必要です。通帳から判断して少しずつためていったお金であることが明らかであれば誤解されることはありませんが、問題は、一時的に資金移動があった場合です。例えば、昔から貯めていたお金を口座間移動したとき、資産を売却したとき、株式の売却、貸付金を回収したときなどの場合です。まとまったお金が突如、通帳に払い込まれているので借入による見せ金なのか、自己資金であるかがはっきりしません。通帳を見る限りは、相当額のお金が突然に振り込まれているからです。

売買契約書などの証憑をいわれなくても自主的に用意して、面談の時に持っていき、審査する側に疑念をもたれないようにしましょう。銀行は理由を言わずに融資を断ることができます。積極的な資料準備が必要です。


▼親・兄弟・親類からのお金は、贈与契約書を作成しておこう

親からの支援であれば、正式な贈与契約書を用意しておきましょう。通帳上は、いきなりまとまったお金が入金しますので、なんらかの書面がないとやはり、それが本当に親からの支援なのかが疑われますし、親の名義で振り込まれていたとしても、贈与の意思が明確でなければ、やはり自己資金とはみなしてもらえないかもしれません。

さらに、贈与契約書があっても必ずしもそれだけでOKというわけではありません。

贈与契約書があっても融資を断られてしまうこともあります。

親子の関係ですから、贈与契約書を形式的に用意しても、あとで返金する約束になっているのではないかと疑われることもあるのです。

ですので、親の財務状況も積極的に説明しましょう。

『親はお金があるので、本当に返す必要はない』というところまで説明する必要があります。


▼友人・知人に出資してもらい自己資金を増やす

自己資金が不足した場合には、友人・知人からの出資を受ける方法もあります。株主になってもらい、お金を出してもらうのです。出資してもらった分だけ会社の自己資本は大きくなります。

将来の株式の値上がりや配当をアピールして出資してもらうのです。「将来は共同経営者として会社に参加してよ」という言い方も効きます。魅力的な事業計画を見せればなおさら効果があるでしょう。

出資を受けられる場合は、友人、知人を事業協力者として説明できるようにしておいてください。

かれらとの関係が長期的なパートナーシップであると説明できないと、自己資金とはみなしてもらえないからです。

そのお金が出資を受けたのちに、すぐにその友人・知人の手元に戻るようであれば、それは、見せ金ですので出資とはみなされません。 見せ金とは、出資したと見せかけておいて、登記後に出資者に返済されてしまうお金のことです。

見せ金と疑われただけで、銀行から融資を断られることがあります。見せ金ではないかと疑われないためには、出資の経緯等をきちっと説明できるようにしておきましょう。

出資をうけた経緯を理路整然と説明できないと見せ金と疑われてしまうことがあります。友人の素性・関係、友人には出資することによってどんなメリットがあるのか、または、御社のビジネスにどんな関わりあいをもつのかを、審査担当者に理解してもらえることが重要です。 

なお、見せ金は、見つかれば公正証書原本不実記載罪で刑事責任を問われることがあります。刑事責任を問われるのは極めてまれなことですが、リスクの大きな行為だということをご理解しておいてください。

さらに、経営を安定させるためには、議決権の過半数、望ましくは3分の2以上を確保する必要があります。多額の出資を受けると、経営の安定に必要な議決権を失ってしまうことがあります。とくに持分の過半数を自分で持っていないと会社を追い出されることもありますので注意してください。

ただ、多額の出資を受けた場合にはどうしても過半数の持分の維持が難しくなります。他人から多額の出資をうけたときは、ストックオプションを利用して、持分の維持をはかることができます。ストックオプションを発行するためには、自分が持分の大部分を持っている段階で会社法に定められた手続きを踏み、正式の付与契約を締結する必要があります。ストックオプション契約の雛形は、ベンチャー投資や株式公開関連のコンサル経験のある司法書士か会計事務所に依頼すれば手に入れることができます。


▼塩漬けの株式を解約したくない

貯蓄を株式やFXに投資している人の中には、投資が塩漬けになっているために資金化するのをいやがられるかたがいます。私どもでは、なるべく、それをいったん解約して、会社の資本(自己資金)に充当されることを勧めています。

投資にはあくまで余剰資金を充てるべきものでしょう。換金性の高い資産があるのであれば、まずは、将来の生計をたてるために必要な開業資金へ投入すべきです。まずは生活基盤を構築することが先決です。投資なんかにお金を回している場合ではありません。

どうしても株式を手放したくないということなら、いったん解約して資本金として会社に投入し、会社名義で同じ銘柄の株式を買えばよいのです。すばやく実行すれば相場も大きくかわらないでしょうから、ほとんど同じ価格で再購入できます。 値上がり益と会社の当初の創業赤字が相殺され、結果として節税になったということもありますし、損がでた場合も会社の場合は赤字を繰越し、将来の黒字と相殺できます。


▼自己資金を増やすそのほかの手法

⇒自己資金が不足して借入が十分にできないときの対処法

 

▼自己資金をどうしても増やせないときには?

ほかのところでリカバリーしてください。

実は、方法はいろいろとあります。

  • 事業計画をきちっとつくって数字に強いところを見せる。詳細な売上予測をもとに損益計画をきちっと作って事業が確かなものであることをアピールする。
  • サラリーマン時代の営業成績をアピールして営業力があることを示す。
  • 潜在顧客名簿で箔をつける。売り先があることをアピールする。
  • わかりやすく、ビジネスフローを説明する。審査担当者にビジネスへの理解を深めてもらう。
  • サラリーマン時代の事業経験、達成したことを強くアピールする。
  • とにかく、前向きな意欲を前面に出して粘る。熱意でリカバーできる場合も稀にあります。

わたくしどもがサポートした事例でも、こういった対策によってリカバリーできた成功例は少なくありません。決して、諦めないでください。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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自己資金が少ないので親からお金を出してもらいました

日本政策金融公庫の新創業融資制度について質問です。

新規開業にあたり、自己資金が200万円しかなかったので両親から300万円出してもらいました。

それでも足りないので日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用して、500万円を借りたいと思っています。

日本政策金融公庫のHPでは、創業資金総額の10分の1の自己資金があればよいと書かれています。

でも、ネットでは、自己資金は、3分の1は必要だという記事をよく目にします。

どちらが本当なのかよくわかりません。

わたしの場合、融資は受けられるのでしょうか?

担保は、ありません。

借入、クレジットカードローン等は一切ありません。

同じ業種で10年以上、勤務してきた経験があります。

 

新創業融資制度の形式的要件は満たしておられます。

ただ、ちょっと懸念される点がありますので、借りられるかどうかは、日本政策金融公庫の審査次第です。

融資審査は、銀行側に自由裁量権がありますので、大丈夫と思わせることができなければ形式要件を満たしていても融資は否決されてしまうことがあります。

懸念点についてご説明いたします。

新創業融資制度は、制度の要件としては、創業資金総額の10分の1があればよいことになっています。

さらに、ご質問者様の場合には、同一業種で10年以上の勤務経験がおありになるので、自己資金の要件は形式的にはありません。

しかし、融資の審査は形式条件が満たされれば、自動的に可決されるわけではありません。

実際の審査では、好ましくは、自己資金は創業資金総額の3分の1はあることが望ましいとされています。

公表はされていませんが、これが実質的な審査の目安となっております。

ご質問者様の場合には、総額が1,000万円なので330万円です。

最悪でも、4分の1の250万円は欲しいところです。

問題は、ご両親からの資金提供です。

ご両親からの資金が、借入なのか贈与なのかをはっきりさせる必要があります。

親とは言え、将来返済しなければならないということであれば、自己資金とはみなされず借入となります。

となると、自己資金比率は、5分の1となり、とても低くなってしまいます。

これでは謝絶される確率が高くなります。

なので、贈与契約書を作り、親から資金を贈与してもらう必要があります。

贈与を受けた場合は、自己資金比率は、2分の1となり申し分はありません。

ただ、ご両親の財務状況が良好でないと、贈与契約が締結されたとしてもそれは形式だけであり、実際には将来返済しなければならないのではないかと勘繰られます。

となると、やはり心証はよくありません。

審査担当者からするとちょっとひっかかるところが残ってしまうということになります。

この理由から、親からの贈与の割合が高い場合には、謝絶されてしまうことが少なくありません。

 

こういった場合には、他の部分でリカバリーを図る必要があります。

具体的には、

  • 事業計画書をしっかりと作り込む。
  • 資金繰り計画を作り込む。
  • 事業経験を売り込む。

といった努力が必要です。

 

まず、事業の仕組み、流れを詳細に煮詰めて、しっかりとした事業計画を作ってください。

事業を詳細に設計し、かつ、損益計画も根拠を明確にして丁寧に作り込めば、審査担当者に信頼感を持たせることができます。

十分な開業準備ができているなと思ってもらえます。

 

また、資金繰り計画を詰めて、必要資金を明確にして、返済計画も実現可能性の高いものをつくるのは、創業融資に限らず、融資対策においては常に有効です。

金融機関は、『できるだけ借りたい』とか『返せると思う』といった曖昧な姿勢を嫌います。

 

事業経験については、勤務経験と、これから創業する事業の強みを関連づけるようにしてください。

自分の強みが、会社の強さを必然的に生み出すという筋書きを作るのです。

また、営業経験をアピールすることは、とても効果的です。

営業実績、社内表彰、マスコミ記事、勤務時代のお客で創業後も付き合ってもらえそうな潜在顧客のリストなどが添付可能であれば、必ず添付してください。

 

ご質問者さまの場合には、自己資金が弱いので、ほかの部分でリカバリーをはかり、全体として合格点に持ち込むように努力されるべきです。

ご不明な点がありましたら、当事務所の無料相談会をご気軽にご活用ください。

さまざまなご助言をすることができると思います。

 

▼創業融資を調達する方法

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
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  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
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自己資金の倍額以上を借りたい

不動産屋で起業を目指しています。

当面は、マンション業者の販売代行をメインにし、やがては物件の売買をやりたいと思っています。

現在25歳で業界経験は3年です。

業界経験は、短いですが営業には自身があります。

 

同僚の数人が私についてくると言っています。

ですので、相当額の創業資金が必要です。

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用しようと思っています。

自己資金は200万円しかありませんが、1500万円を借りることは可能でしょうか。

 

こんにちわ、税理士の工藤聡生です。

 

新創業融資制度では、6年間の業種経験がない場合には、創業資金総額の10分の1の自己資金が要求されています。

質問者様の場合には、自己資金が創業資金総額である1700万円の10%を超えており、この要件を満たしておられます。

ただ、この要件を満たしているからといって必ずしも貸してくれるとは限りません。

この要件は、あくまで必要条件であって、十分条件ではないのです。

 

創業融資制度には、日本政策金融公庫と信用保証協会をベースにした制度融資の二つがあります。

ともに、自己資金は、借入額の半分以上あった方がよいとされています。

これは、暗黙の実質要件です。

ほとんどの創業融資は、この要件内でしか実行されていません。

 

ただ、自己資金の倍額以上の融資を実現させた事例もないわけではありません。

自己資金の倍額以上の借入を受けたければ、創業者の強みを積極的に立証する必要があります。

具体的には、営業実績が優れているとか、特殊な技術を持っている等々の強みが求められます。

とくに営業実績はアピールがしやすいです。

強い営業実績がある起業家は、成功確率が高いからです。

創業で、まずはものを言う力は販売力です。

勤務時代の営業データ、表彰実績、マスコミ記事等があれば強いアピールになります。

ぜひ、創業計画書に添付してください。

さらに、過去の実績をアピールするだけでなく、培ってきた潜在顧客の一覧を提示できれば、アピール力はさらに増します。

 

質問者様の場合には、業種経験が3年とやや短めです。

日本政策金融公庫に十分な業種経験があるとみなしてもらうためには、6年以上の経験が必要です。

業種経験の記述を補完しなければ、自己資金の倍額以上の調達は望めません。

ですので、質問者様の場合であれば、まず、勤務時代の営業成績をアピールしてください。

たとえば、支店でナンバーワンだったとか、アピールできる実績があればまずそれを提示してください。

当時の管理資料等があれば、創業計画書に添付してください。

さらに、潜在顧客の一覧を列挙できれば、強いアピールとなります。

不動産の販売を委託してくれそうなマンション業者や、不動産を購入してくれそうな会社の一覧を作製し、それぞれの潜在顧客の担当者、あなたとの良好な関係性について詳しく記述してください。

記述が具体的かつ詳細であればあるほど、審査の際に威力を発揮してくれます。

 

当税理士事務所には、自己資金の2倍以上の調達をサポートした事例が少なからずあります。

ご不安があれば、ご気軽に当税理士事務所にお問い合わせください。

 

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福祉タクシー事業を始めたい

介護タクシーを開業予定です。

さまざまな職を経験してきましたが、運送業や介護での経験があるので、介護タクシーならそれを生かせるからです。

また、近隣地区に需要がありそうなのでぜひ挑戦したいと思っています。

ただ、自己資金は50万円しかありません。

友人は、経験が十分にあるし、介護関連の知り合いも多いので、そこをアピールすれば、日本政策金融公庫は、300万円ぐらいは貸してくれるだろうと言ってくれています。

本当でしょうか?

 

税理士の工藤がお答えします。

 

福祉タクシー事業で主な支出は、車両購入費、機械器具購入費、当初の人件費、広告のためのチラシ代などです。

幅広いお客様のニーズに対応するためには、大きめの車両を買ったほうがよいでしょう。

ですので、創業のための総資金は、多めに400〜500万円と見込んだほうがよいと思います。

 

日本政策金融公庫や制度融資の創業融資は、自己資金の2倍が目安です。

必要資金の少なくとも3分の1は、自己資金でまかなう必要があります。

かりに400万円が必要とすれば、少なくとも3分の1の133万円が自己資金として必要です。

残りの267万円を創業融資で調達することになります。

 

確かに自己資金の倍という条件は実質要件なので、必ずしも明確な規定があるわけではありません。

自己資金の2倍以上の借入に成功される創業者のかたも確かにいます。

しかし、それは稀なケースです。

このまま申し込むと自己資金不足で謝絶される可能性は否定できません。

 

また、福祉タクシーは決して儲かるビジネスではありません。

車両の燃料代、メンテナンスコスト、ちらし代を引くと、わずかな利益しか残りません。

そこからさらに、税金を払い、借金を返済し、残りが生活原資となります。

生活を維持するだけの売上を確保するのは大変です。

スタッフを雇用した場合は、生活を成り立たせるためには、相当期間を要するでしょう。

借入額が大きくなると返済額も大きくなります。

返済額が大きいと、生活が圧迫されます。

たとえ貸しくれるとしても、自己資金の倍額を大きく上回る借入をするべきではありません。

 

車両購入は、リースを使う手もあります。

ただ、リースにしたからといって資金負担が減るわけではありません。

利幅の低いこの事業を継続させるためには、自己資金割合を増やした方がよいことに変わりはありません。

 

福祉タクシーは、国土交通省から認可を受けなければなりません。

審査基準において所要資金の50%の自己資金が求められていますので、この観点からも自己資金が50万円ではちょっと不足してます。

 

もう少し、自己資金をためられてから、開業されるべきと思います。

その間でも、知人のネットワークを利用して、福祉タクシー事業を開業予定であることを告知して、営業活動をすることもできます。

 

保守的に資金繰り計画を作成して、冷静に事業開始時期を再考されてください。

 

創業時の資金繰り計画でお困りなら、なんなりと工藤公認会計士税理士事務所へお問い合わせください。

多くの創業者を支援してきましたので、現実的な資金計画をアドバイスすることができます。

初回相談は無料です。

 

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見せ金ではありませんか?

会社を設立する予定です。

資本金額は、600万円にするつもりです。

ただ、そのうち、400万円は借入で調達します。

親に借りたり、カードローンを利用する予定です。

自己資金は、200万円しかありません。

借金の返済は、毎月、役員報酬の中から返済していきます。

資本金は、すべて事業目的に使用し、返済には充てません。

こういったケースも、『見せ金』に該当してしまうのでしょうか。

 

かりに『見せ金』に該当しなくとも、将来、お金を借りるときに悪い影響はありませんか。

 

税理士の工藤がお答えします。

 

まず、見せ金の定義をはっきりさせましょう。

見せ金とは、取締役等が払込取扱金融機関以外の者から借り入れた金銭を株式の払込みにあて、会社成立後又は 新株発行の効力発生後に、払込金を引き出して借入先に返済することを言います。

御社の場合には、資金を事業目的に使用し、直ちに借入金の返済に充当するわけではないので見せ金に該当しないでしょう。

ただ、役員報酬を大きく設定して、そのため、決算が大赤字となるような場合だと、見せ金と解釈される余地はあります。

ですので、役員報酬は、会社決算が黒字となる範囲に設定した方が無難でしょう。

 

将来、銀行からの借入をする場合には、会社の業績が黒字であれば問題はないでしょう。

会社と個人は別人格です。

会社が黒字となる範囲で無理なく役員報酬を設定して、その中から社長が個人の借金を返済しているので、会社の資金繰りや業績が損なわれていないからです。

 

ただ、借入の一部のカードローンがその時点で残っていると、銀行はお金を貸してくれません。

高い金利の借入に手を出している上に、その資金使途が資本金であることがわかると、銀行の評価は下がります。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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自己資金の要件は、緩くなる傾向にあります

以前は、自己資金は、借入予定額の半分は必要とされました。

自己資金の倍までしか借りることができなかったのです。

制度上の要件はともかく、実際の審査は、この基準で運営されていました。

『実質的要件』と言われるものです。

 

ただし、国が開業率を上げたいという思惑から、日本政策金融公庫には、圧力をかけています。

結果として、『実質的要件』は、甘くなる傾向にあります。

ただ、国は、具体的な判断基準を示しているわけではなく、とくかく甘くしろと言っているだけなので、この国の圧力の解釈の仕方は、担当者によってまちまちです。

 

担当者によっては、少額融資であれば、判断が緩くなる場合があります。

『1000万円を借りるなら、さすがに2分の1の自己資金が必要だが、500万円ぐらいの融資なら、2分の1の自己資金は不必要だろう。』

これは、ビジネスが軌道にのれば、500万円ぐらいの借金なら問題なく返せるだろうという、審査担当者の判断が背景にあります。

 

あるいは、自己資金の貯め方に注目する担当者もいます。

仮りに借入予定額の2分の1がなくとも、こつこつと給料をためてきた経緯が明らかなら肯定的に評価するというものです。

計画的な行動ができる申込者は、評価するという考え方です。

 

また、給与水準が低く、貯金が難しかった方には、判断を甘くするという場合もあります。

これは融資担当者が、起業家のおかれた境遇を斟酌するものです。

 

担当者により、考え方は統一されていません。

人により国の圧力に対する対応に仕方は異なるのです。

ですので、戦術は、審査の担当者別に変える必要があります。

 

しかし、自己資金の不足については救いの手を差し伸べるという傾向が強まっていることは確かです。

 

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