創業計画書の業種経験の書き方

日本政策金融公庫と制度融資の創業融資では、創業計画書に記述されている事業の経験はとても重視されます。

勤務時代の事業経験に強みがある創業者は、その強みを使って、創業した企業を成功させられるだろうと審査担当者は、考えるからです。


▼業種経験が豊富でない方のアピールの仕方

事業の経験について未経験ですとあっさりと創業計画書に書かれる方がいます。それは、お金はかしていただかなくても結構ですと言っているようなものです。 

日本政策金融公庫の新創業融資制度の場合には、業種の経験が6年以上あることが要件の一つに挙げられています。ですが、6年未満だからといって全く評価されないわけではありません。創業資金の融資においては、業種経験はとても重視されていますので期間が短くとも必ず創業計画書に記載するようにしましょう。

この条件がつけられている理由は、事業経験がある人の方のほうがない方にくらべて、格段に会社経営に成功する率が高いからです。 業界のことを知っているので、お客のニーズを肌で、わかっています。また、事業に伴うリスクをよくわかっているので、落とし穴にはまったりすることも少ないのです。

業種経験の期間が短い方が創業計画書の業種経験になにも書かない気持ちは理解できます。自分は該当しないと考えてしまい、創業計画書に書いてもしかたないと思ってしまうのでしょう。また、経験がなくても、ほかの条件にひっかかって貸してもらえるだろうと甘くみてしまうのです。だが、それは誤った判断です。創業計画書になにも書かなければ、その業界のことがなにも分かっていないと思われます。

それでは開業資金は貸してもらわなくても結構ですといっているようなものです。

業種経験とまでは言えたくとも、なんらかの経験があることを創業計画書上でアピールしてください。例えば、食品卸の会社につとめていたかたが居酒屋を開業するために、開業資金の融資を申し込んだ場合を例にとって文例を挙げます。以下は、わたくしどもが指導した実際の成功事例です。

『わたしは、食品卸の営業時代は、飲食店を担当する部門に属しており、その中でも、居酒屋のお客さまを数多く担当しておりました。

漫然とお客周りをしているだけでは受注を伸ばすことができないので、お店様さまに喜ばれるように、さまざまな助言を差し上げてきました。

たとえば、池袋の○○というお店とか、新宿の××というお店とお付き合いさせていただいておりました。

お客さまが売上を伸ばすことができるように、他社の成功事例をお伝えしたり、お酒や食材の最新売れ筋動向について分析して助言したり、在庫管理のしかたについてご提案したりさせていただきました。

居酒屋を経営されておられる会社さまは、自分のお店で起こっている、限られたことしか知らないことが多く、私の助言が、売上の改善や利益の向上につながったとずいぶんと喜んでいただけました。そのおかげで、営業成績も常にトップクラスでした。

毎日のように居酒屋の経営者とお話させていただき、私のほうが勉強させていただいたことも随分とあります。そういったやりとりの中で、どうすれば、居酒屋の売上をのばし、利益を出せるのか、こつを理解できるようになりました。』

多少、無理があっても、自分の経験と開業されるビジネスの関連性を創業計画書上で強調してください。決して嘘をついてくださいといっているのではありません。人生のどこかでやりたいビジネスと接点があったはずです。接点がなければそもそも開業しようとは思っていないはずです。その接点を、恥ずかしがらずに虫眼鏡で拡大して創業計画書上でアピールしてください。

とくに、営業・マーケティング・商品開発・人事管理、利益管理などのご経験のあるかたは、そのご経験を詳述してください。

これらのスキルは、業種は関係なく応用できる汎用スキルです。

実際にほかの業種でも役立ちます。

うまくいけば、高く評価してもらえますので、臆せずにアピールしてください。

 

▼業種経験が豊富な方がよく失敗する点 

業種経験の期間が長ければそれでOKというわけではありません。事業のことを熟知していると思わせなければ創業資金は貸してくれません。たとえば新創業融資制度の場合も6年以上の経験があっても断られる人はたくさんいます。ですから、事細かにキャリアや成功体験を創業計画書上で強調してください。経験の幅広さと業績をアピールする必要があります。さきほどの居酒屋の場合を例にとり、居酒屋に勤務されていたかたが開業する場合を例に挙げます。 これも私どもが指導した成功事例を加工したものです。

『店長時代には、スタッフの採用・面接から、在庫管理、売れ筋商品の分析と店舗管理の全般を任されていました。

とくに最後に配属されたお店は、赤字店だったのですが、1年で黒字化に成功しました。

黒字化するためにさまざまな方策を講じました。キャンペーンを積極的に展開して集客につとめ、スタッフの接客態度を改善して明るい店作りに努めました。

食材の鮮度管理や調理手順もルールをきっちりと守って、商品の品質を落とさないように細心の注意を払いました。とにかくお客さまに喜ばれる店作りを目指しました。それが、黒字化につながったのだと思います。

その後も、日常業務に埋没することなく、将来は独立するのだという明確な目標をもって前向きに仕事に取り組み続けました。店長としての数年の経験から、お客様が望んでいること、売れる商品と売れない商品の違い、スタッフの採用・教育・やる気の引き出し方といった、居酒屋経営に欠かせないノウハウを身につけられたと思っております。』

自分の優れた点、自信のある面を臆せずに堂々と創業計画書に書き連ねてください。創業計画書に記載される業種経験はとても重要な記述です。

 

▼事業経験の有効なアピールの仕方

勤務時代に営業担当者や部門責任者であった方は、売上や部門利益の実績が残っているはずです。

数字的な実績があるかたは、必ず、アピールしてください。

数字のアピールは、とてもわかりやすく、審査担当者の心証に残り易いので、絶対に資料を創業計画書に添付してください。

また、社内コンテスト等で入賞した経験や、マスコミで取り上げられ記事がある場合にも、必ず、資料を創業計画書に添付してください。

とても良い心証を与えることができます。

 

▼事業経験がどうしても不足している場合の対処方法

事業経験のある方をパートナーとして企業に迎え入れるのも1つの方法です。

ただ、審査担当者は、形だけパートナーにしているのではないかと疑ってきますので、わずかでもよいので、会社に出資してもらって、取締役になってもらうべきでしょう。

共同経営者との出会いや関係については、歴史的に説明できるようにしておいてください。

株式会社は、過半数の株式を所有していれば、絶対的な支配権を維持できますので、会社をのっとられる心配はありませんが、人間関係は揉めると面倒ですので、信頼のできる方を選ぶようにしてください。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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借りづらい業種はありますか?

創業融資において借りやすい業種、借りることが難しい業種があれば教えてください。

友人がIT系で創業したのですが、日本政策金融公庫で断られてしまいました。

友人はITだからだめだったのではないかと言っていました。

わたくしもIT関連で起業しようと考えているので不安となり、ご質問させていただきました。

 

創業融資の対象となっていない業種はありますが、金融、性風俗等々、極めて限られています。

通常は、業種によって不利な取り扱いを受けることはありません。

創業融資は、国の予算を使って開業支援をしている制度なので、業種によって不公平な取り扱いはできないのです。

 

基本的には、資金使途と返済財源をきっちりと説明できれば、創業融資はどんな業種でも借りることができます。

厖大な時間をかけて創業計画書や資金繰り表を作成するのはそのためです。

 

資金の流れについて理解してもらうためには、ビジネスの流れについてもわかってもらう必要があります。

融資の審査担当者は、あらゆる業種に精通しているわけではありません。

とくにITについては詳しい人はいません。

ビジネスの流れがよくわからなければ、当然に審査担当者は資金使途や返済財源に不安をいただきます。

よくわらないものに不安をいだくのは人間の一般的心理です。

『何にお金を使うのだろうか?』

『本当に売上はたつのかな?』

審査担当者は、資金使途や返済財源に確信を持てなくなります。

ですので資金使途や返済財源について審査担当者を納得させるためには、その前提としてそのビジネスの基本について理解を得る努力が必要となってきます。

 

ご友人の場合には、ビジネスがやや複雑でその説明を十分にしなかったためにこういった不安をもたれてしまったのでしょう。

わたくしどもは多くのIT企業の創業のお手伝いをしましたが、ITだからといって借りづらいということは一度もありませんでした。

ただ、フロー図などをつかってビジネスの理解は得られるように努力しました。

決して手の込んだフロー図ではありません。


▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
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  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
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  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
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  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
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  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
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大学4年生です。起業希望です

現在大学4年です。 

できればすぐにでも起業したいと思っています。 

ただ、現在、800万円の教育ローンがあります。

起業の際には、投資や融資を受けようと思っていますが、この教育ローン債務は、障害になりますか。

教育ローンをある程度、返済してから起業した方がよいでしょうか。

 

税理士の工藤がお答えします。

 

教育ローン自体は、無計画な支出により発生したクレジットカードローンとは性格がことなり、創業融資や投資を受ける際に、大きなマイナス評価になることはありません。

なお、創業融資とは、起業家の多くが活用する、公的な金融機関が提供する融資制度です。

 

ただ、私が気にかかっているのは、質問者さまのビジネス経験です。

画期的な技術開発に確実に成功する目途があるのならともかく、事業経験がない状況での起業はおすすめしません。

ほとんどの場合に失敗します。

 

どの業界にも成功のための特有の要因があります。

これらの成功要因は、本には書いてありませんし、だれかに聞いても教えてくれません。

教えてくれるひとがいるとしても、それはそのかたの主観なので、必ずしも自分に適合するとは限りません。

 

また、銀行や投資家は、経営者の経験を重視します。

日本政策金融公庫などの公的な銀行は、もちろん、ベンチャーキャピタルや未公開株式に投資する個人投資家も、アイディアだけでは評価はしてくれません。

経営者の経験と成功確率とは比例していることは、多くの事例で実証されているからです。

事業開始に必要な十分な資金を確保するという観点からも、資金の出し手にアピールできる事業経験を構築するべきです。

 

事業で成功するためには、事業に協力してくれる人脈の確保は、不可欠です。

自分ひとりだけの才能ですべての問題を解決することはできません。

自分の不得意な分野を補ってくれる人脈を構築することは、事業を成功させるうえでとても大切です。

この観点からも事業経験が必要です。

遊びの友人と信頼できるビジネスパートナーは異なります。

ビジネスの経験を通じて、信頼できる人材を見つけ、よい関係を構築してください。

 

ITやバイオテクノロジーの世界では、事業経験が乏しくともいきなり独立して大成功された方は何人もいます。

圧倒的な技術開発力、あるいはあらたなビジネスモデルに対する嗅覚があったのです。

ただ、こういった嗅覚を持っているかたは、本当に稀です。

この嗅覚は偏差値とは別の能力です。

自分に天才的な嗅覚があるとひとりよがりな思い込みをしてリスクをとるのは、とても危険なことです。

 

起業したい分野ですぐれたノウハウのある会社に入って、そこで、事業経験を積み、人脈を築き、独立のための準備をしっかりとされてから、起業された方がよいでしょう。

 

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