役員報酬及び役員退職金に関わる節税対策

▼役員報酬で節税する

会社の利益が出そうなときは、役員報酬を高めに設定します。

役員個人側も給与課税されますが、給与所得控除の分だけ節税となります。

報酬が800万円なら給所得控除額は、200万円にもなります。

役員報酬の限界税率が、法人税の実効税率と等しくなるまでは、役員報酬を増やして会社利益を抑えたほうが節税となります。 

ただし、役員報酬の改定は、決算期から3ヶ月以内にしかできません。

そのあとに増減させるとは、原則として報酬の一部が損金として認められなくなります。

役員報酬の設定を間違えると余計な税金を払わなければならなくなることがありますので、年間利益を的確に予測して、適切なレベルに役員報酬額を決める必要があります。  


▼役員報酬を1年未満で増減させる方法

役員報酬は、一旦、決めると期中は変更できません。

そのため、業績予測がくるって大幅な黒字になってしまったり、あるいは、その逆に役員報酬が重荷となって赤字になってしまったりすることがあります。

その場合には、事業期間を6ヶ月に短縮すれば、役員報酬額を変更できます。

事業年度の変更は、定款変更により簡単に実行できます。

税務署へは、申告期限までに届出を提出すれば問題ありません。

届出には、定款を変更した株主総会の議事録を添付します。

たとえば、3月決算の会社を9月決算に変えたければ、9月末までに定款変更を決議して、11月中に税務署に届ければ、決算期を変更できます。

臨時株主総会を開けば、10月から役員報酬を変更することができます。


▼役員報酬はいつから改定できるのか?

事前確定届出給与や利益連動給与といった役員報酬を除けば、役員報酬を経費にするためには、定期定額でなければなりません。

定期定額とは、一般的には、毎月の支給額が一定である給与を言います。

役員報酬は、通常は、期首から2〜3ヵ月後の定時株主総会で決議します。

しかし、節税や黒字化のために、もっと早く最初の月から、変更したいこともあります。

そのほうが、年間の役員報酬の増減額が大きくなるからです。

高い貢献をした役員への報酬をより早い時期から増額したいということもあるでしょう。

成果報酬はより早くもらえたほうが、役員もやる気がわくはずです。

これらの場合は、期首に臨時株主総会を開き、決議すれば、最初の月から役員報酬を変更することができます。

多くの方が、定時株主総会でしか、役員報酬は変更できないと考えておられますが、臨時株主総会を開けば、定時株主総会前に役員報酬は、変更できます

 

▼家族や親類を役員にして報酬を支払う

家族を役員にして報酬を払っている会社は多いと思います。

ただ、役員報酬は大きすぎると、過大な部分は否認されます。

過大かどうかの判断は、法的な手続の妥当性を問う形式基準と、職務の内容等を考慮する実質基準から判断されます。

株主総会議事録等を整備し、かつ、職務の内容を明確にしておく必要があります。

ただ、多少、職務の内容があいまいであっても、年間の報酬が、約200万円ぐらいまでであれば、否認されることはまずありません。

例えば、平成17年12月19日の裁決では、よき相談相手という曖昧な役割りしか果たしていない母親に対する適正な役員報酬は、年額186万円とされました。

ご家族を非常勤役員にして役員報酬を払う際の目安としてください。

もちろん、会社への貢献が明確であれば、もっと高額な役員報酬を払っても問題はありません。

 

▼役員報酬を未払のままにしておいたら否認される?

役員報酬の全額を払わずに一部の金額を未払いにしている会社は少なくありません。

それが、資金繰りが逼迫しているためであれば、税務上は、問題がありません。

合理的な理由があるからです。

ただ、7月と1月の源泉税の支払前であれば役員報酬をバックデートで調整できると考えて処理しているのなら、それは、誤りです。

定期同額以外の部分、すなわち、未払計上しておいて後日に一括して支給した部分は、賞与とみなされ、損金になりません。

中小企業の経営は不安定で過酷です。

決算状況に合わせて事後的に役員報酬を設定したいという心情は理解できますが、この処理は、数度にわたって国税不服審判所で争われ、いずれの裁決でも納税者敗争となっています。

税理士でも誤解している方がいるようですが、税務的には認められない処理ですのでご注意ください。

 

▼使用人兼務役員に賞与を支払う

役員に対する賞与は、経費にはなりません。

しかし、実態として、従業員と同じ仕事をしているのであれば、使用人分の賞与は、経費にすることができます。

その役員が社長の息子さんであっても、使用人としての仕事をしており、他の使用人と同じ基準で査定をされている限りは、賞与は経費になります。

従業員と同じ仕事をしているかの判定が、税調の際によく問題になります。

国税不服審判所の裁決事例を見ると、名刺、組織図、雇用保険関係の資料等から判断されていますので、資料を整備しておくことが大切です。

また、税法の規定上は、専務や常務の職制上の地位を有すると使用人兼務役員とは認められないと定められていますが、たとえ、常務、専務という肩書きを与えられていても実態的に平取締役であり、従業員として勤務している実態があれば、使用人分の賞与は、経費とすることができます。

平成14年1月31日の国税不服審判所の裁決で、常務取締役という肩書きをもつ従業員に対する賞与が認容されました。

この裁決では、業務上の実態や、定款、株主総会・取締役会等の議事録、決算書などから総合的に判断されて、税務署側の敗争となりました。

 

▼妻がみなし役員とされるのを回避して、妻への賞与を全額損金にする

使用人であっても、いくつかの要件を満たすとみなし役員とされ、支給した賞与や変更した給与が否認されてしまいます。社長の奥さんは、みなし役員として扱われやすいので注意が必要です。

みなし役員とされてしまう要件のひとつに、経営に従事しているという条件があります。奥さんを経営の意思決定や執行に関係にない業務に従事させることによって、みなし役員とされないようにしましょう。

 

▼役員賞与を損金にする

役員賞与は、税法上は、損金になりません。ですから、支払っても税金が減りません。しかし、人事政策上、どうしても報酬の一部を役員賞与として支給したいときがあります。その場合には、事前確定届出給与という制度を利用すれば、損金算入が可能です。所定の届出書を次のいずれか早い日までに、納税地の所轄税務署長に提出することが要件とされています。

  • その給与に係る決議をする株主総会等の日から1ヶ月を経過する日
  • 事業度開始の日から4ヶ月を経過する日

 

▼退職金の活用

退職金は、節税効果の大きな費用です。退職者の月額報酬額が大きいか、勤続年数が長ければ、大きな額の退職金の支払いが認められますので、会社の税金を大きく減らすことができます。また、退職金については、もらった個人の税金も少なく算定されるようになっています。

退職金の税金は次の点で優遇されています。

  • 課税所得の計算上、退職所得控除を控除できる。
  • もらった退職金から、退職所得控除を差し引いた金額をさらに半分にした金額に課税される。
  • 分離課税がされるので、ほかの所得があっても、税率が累進しない。

退職金は、株主総会の決議があれば、未払計上によっても損金に計上できますので、支払う資金が決算期末までに確保できなくても、損金処理できます。

 

 ▼退職金はいくらまで認められるか?

役員退職金は無制限に損金算入が認められているわけではありません。不相当に高額な部分は、損金として認められません。

算定の目安として、功績倍率方式という計算方法がよく利用されています。

 役員退職金=最終月額役員報酬×勤続年数×功績倍率

功績倍率は、社長、副社長、専務、常務、取締役等の役位によって異なります。社長であれば、一般的に3倍くらいです。

この計算方法等を参考として、退職金を不必要に少額に設定したりしないようにしてください。せっかくの大きな節税のチャンスを逃してしまいます。


▼退職前に退職金を支給する

完全に退職をしていない場合でも、役員退職金を経費に計上できる場合があります。

法人税の基本通達に、取締役が、非常勤になったり、監査役になったり、あるいは、職務の重要性が落ちて役員報酬が50%以上減少した場合には、退職金を支給し、経費にすることができると規定されています。

退職金は、大きな金額となるので法人の所得を大幅に圧縮できますし、かつ、所得税上も優遇されています。

ただ、役員退職金については、形式上、この通達を充足していても、事実認定で否認されることも多いので、注意してください。

代表取締役が監査役に退いて役員退職金を支給したのですが、税務調査では否認され、裁判となった事例もあります。

監査役に退いたものの、以前として筆頭株主であり、15年にわたって代表取締役を務めており、現在も会社の経営に影響を与えることができると「事実認定」されてしまったのです。

この事例では、平成20年に東京地裁で納税者が勝訴しましたが、基本通達を安易に解釈して役員退職金を支給しても、実際の税調では、否認されることがあることはご留意ください。

役員退職金が否認された場合は、インパクトが大きいので、慎重に稟議書、契約書、取引先との交渉記録、メールなどの書類を整備しておく必要があります。

 

▼小規模企業共済を利用して節税

小規模企業共済とは、中小企業のオーナーのための退職金制度です。掛金を積み立てておくと、その掛金に応じた退職金を受け取ることができます。経営者自身が掛金を支払わなければなりませんが、全額、所得控除できるので、その分だけ、役員報酬を増額し、会社の税金を減らすことができます。掛金の分だけ、役員報酬を増額した場合、社長個人はこの所得控除がとれるので、税金は増えませんが、会社は、役員報酬額が増加するので、節税となるからです。会社が節税できるだけでなく、経営者の老後の生活の備えにも役立ちます。

 

▼生命保険による節税と死亡退職金のメリット

生命保険は、その使い方によっては、節税だけでなく、リスクマネジメントに役立てることができます

例えば、定期保険の場合、支払った保険料はすべて会社の経費になります。また、かりに役員が死亡して、保険金を受け取った場合には、死亡保険金を役員の遺族に支給する原資となりますので、遺族の生活を守れますし、税金の面からも、死亡保険金と相殺できるので、税金の負担がもろにかかることはありません。

また、死亡退職金は遺族に掛かる相続税の計算上も節税になります。

死亡退職金は、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるので、その分だけ相続税がすくなくてすみます。

 

▼節税対策と税務調査対策の基礎知識

  1. 税務調査に狙われる会社とその対策
  2. 税務調査の方法と対策
  3. 税制改正 最新の税制改正情報です。
  4. 売掛金、在庫、前払費用等に関わる節税対策
  5. 固定資産に関わる節税対策
  6. 生命保険を使った節税対策
  7. 負債に関わる節税対策
  8. 売上の計上の仕方で節税
  9. 役員報酬及び役員退職金に関わる節税対策
  10. 給料及び退職金に関わる節税対策
  11. 福利厚生費に関わる節税対策
  12. 交際費に関わる節税対策
  13. 積極投資による節税対策 設備、人、試験研究への投資による節税手法です。
  14. 重加算税を回避する方法 重加算税は大きな不利益をもたらすペナルティです。
  15. 消費税の節税対策
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  18. 銀行融資を調達する方法
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