自己資金が不足して借入が十分にできないときの対処法

創業融資では、自己資金の多寡は大切です。

自己資金が不足しているときの対処方法には、次のような方法があります。

  1. 親、兄弟、親類からの贈与 贈与契約書があり、親の財務状況がしっかりしていれば、自己資金として認めてもらえます。
  2. 第三者割り当て増資 なぜ、第三者が出資してくれるのか、出資理由が明確であれば、問題なく、自己資金として認めてもらえます。
  3. みなし自己資金 すでに使ってしまったお金でも事業用として使われていることを示すことができれば、自己資金として扱ってもらえます。
  4. 現物出資 事業用資産に使われることをきちっと説明できれば、その分だけ銀行の評価は上がります。
  5. 退職金 近い将来退職したときにもらえることが明らかであれば、自己資金扱いとなります。
  6. 資産売却代金 売買契約書等の証憑が必要です。

1番と2番については、次の記事でご説明させていただいております。ご参照ください。

⇒『創業融資の自己資金について』を参照のこと

ここでは、3番のみなし自己資金で自己資金を増額する方法と、4番の現物出資という方法により資本を増強し、銀行からの評価を改善する対処法をご紹介します。

 

▼みなし自己資金

自己資金不足に対処する方法として、『みなし自己資金』と呼ばれる手法があります。

会社設立前に設備投資や運転資金として使ってしまったお金は、すでに手元にありませんが、自己資金として認めてもらえることがあります。この自己資金のことをみなし自己資金といいます。

たとえば、買いためていた商材や、すでに購入済みの設備です。

手元にお金がなくとも、認めてもらった分だけ自己資金が増額し、その分だけ融資してもらえるお金を増やすことができます。

自己資金として認定してもらうためには、そのお金の支出が、事業目的のためであることを、創業計画書や通帳、証憑を使って説明し、審査担当者を納得させなければなりません。機械、備品、保証金、敷金等の設備投資の場合には、事業目的の支出であることを説明しやすいのですが、運転資金や経費の場合には、事業目的との関連を説明するのが、難しい場合があります。設備は、現時点でも使用しているので説明が比較的容易なのですが、運転資金や経費の場合には、他の目的のために使われた支出ではないことを証明するのが難しいからです。

みなし自己資金はどちらかというと例外的な取り扱いなので、創業計画書、通帳、証憑を使って、合理的な説明ができなければ、認めてもらえません。

運転資金として使われてしまった場合も含めて、みなし自己資金として認められた事例は、わたくしどもの経験でも多々ありますが、安易な口頭の説明だけではなかなか認めてもらえないことは念頭に置いておいてください。

 

▼現物出資とは?

通常、会社への出資はお金を払い込みますが、現物出資の場合には、お金に代えてものを出資します。

現物出資をする場合には、原則として、裁判所が選任した検査役の調査が必要とされています。この検査役の検査は、非常に手間がかかりますので、以前は、現物出資はあまり実施されませんでした。

ただし、新会社法では、以下のいずれかに当てはまる場合には、検査役の調査が不要となっています。

  1. 現物出資財産の価額が500万円以下の場合には、検査役の調査は不要です。
  2. 発行する株式数が、発行済株式総数の10分の1以下である。
  3. 公認会計士、税理士、弁護士等の評価証明書があれば、検査役の調査は不要です。ただし、現物出資する財産が、不動産の場合には、さらに不動産鑑定士の鑑定評価が必要とされます。
  4. 有価証券を現物出資する場合には、定款記載の価額が市場価格を超えないなら、検査役の調査は不要となります。
  5. 金銭債権を現物出資する場合で、評価価額が株式会社の帳簿価額を超えないときも、検査役調査は不要です。

通常は、1の規定を使って、現物出資額を500万以下に抑えて検査役の検査を避けて、現物出資を行います。

 

▼現物出資に関する銀行の評価

銀行もこれらの現物出資された資産が、事業に使われた場合には、自己資本の増加とみなしてくれます。

ですから、パソコン、ソフトウェア、事業用自動車などを現物出資することにより、資本を増強し、銀行の評価をあげ、借入可能額を増額することができることがあります。 事業用の資産を現物出資して、実際に事業用として使っていることを理解してもらえれば、格付けを大幅に改善することができるのです。

特に、日本政策金融公庫や制度融資で創業融資を借りるときには、自己資金(資本)の多寡で調達可能額が決まりますので、この方策は大変に有効なときがあります。

 

▼現物出資できる資産

現物出資できる財産とは、動産、不動産、有価証券(国債・社債・株券など)、鉱業権、漁業権、工業所有権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)、債権(貸付金など)、営業の全部又は一部、得意先・営業上の秘訣などです。

不動産等を現物出資される場合には、取得する会社側には不動産取得税、登録免許税が課され、出資者側には譲渡所得税が課される場合がありますので、メリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。

 

▼自己資金をどうしても増やせないときには?

ほかのところでリカバリーしてください。

実は、方法はいろいろとあります。

  • 事業計画をきちっとつくって数字に強いところを見せる。詳細な売上予測をもとに損益計画をきちっと作って事業が確かなものであることをアピールする。
  • サラリーマン時代の営業成績をアピールして営業力があることを示す。
  • 潜在顧客名簿で箔をつける。売り先があることをアピールする。
  • わかりやすく、ビジネスフローを説明する。審査担当者にビジネスへの理解を深めてもらう。
  • サラリーマン時代の事業経験、達成したことを強くアピールする。
  • とにかく、前向きな意欲を前面に出して粘る。熱意でリカバーできる場合も稀にあります。

わたくしどもがサポートした事例でも、こういった対策によってリカバリーできた成功例は少なくありません。決して、諦めないでください。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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自己資金を膨らませる裏ワザ

お店を開きたいと思っています。

ただ、自己資金が100万円しかありません。

創業融資で借りられるのも、よくても200万円ぐらいと聞きました。

これでは資金が足りません。

そこで、あるコンサルタントから裏ワザを教えてもらいました。

教わった裏ワザとは、次のようなものです。

 

友人から100万円を借りて、定期預金に入金をして通帳記帳する。

自己資金の100万円も一緒に定期預金にして記帳する。

合わせて定期預金の残高を200万円にする。

その後、お金をおろして友人に返済する。

定期預金通帳は、そのままにしておく。

自己資金の残高を倍にすることができるので、借入額も倍の400万円以上にすることができる。

 

ただ、この方法がうまくいくのか不安です。

日本政策金融公庫の面談のときは、通帳以外のこともいろいろと調べられると聞いています。

はたして、この方法で切り抜けられるのでしょうか?

 

数人の友人に頼んだところ、数日の間だけであれば、100万円を融通してもらえそうです。

友人には絶対に迷惑はかけなくないと思っていますが、この方法なら、友人に損害を与えることはないので、試してみたいと思っています。

 

ご意見をお聞かせください。

 

この手法も含めてさまざまな裏ワザと言われる手法は、よく耳にします。

結論から言うとこの方法は、お薦めできません。

理由は単純です。

ばれやすいのです。

日本政策金融公庫の審査担当者は、通帳の残高だけを見るわけではありません。

お金の流れを把握しようとします。

ですので、突然に入金してきた100万円の出所を説明できなければ不審に思います。

こちらの説明が納得できなければ、理由も言わずに謝絶をしてきますし、その面談の記録はずっと残ります。

ご質問者さまの場合には、突如入金したお金を合理的に説明するのは難しいでしょう。

 

日本政策金融公庫が通帳をみるのは、お金の流れから、ローンの有無、ローンの返済状況、税金・公共料金・家賃の支払い状況、収入の推移を把握するのが目的です。

通帳は、面談当日まですべての通帳を見せなければなりませんので、100万円が返済のために引き出されていたら、何の意味もありません。

すくなくとも、面談まではお金はいれっぱなしにしておかなければなりません。

ただ、審査担当者は、質問者様の収入と支出の実態を把握してしまうので、100万円の入金はとても不自然に思うでしょう。

合理的な説明は、無理なはずです。

裏ワザと言われながら、じつはともて幼稚な方法なのです。

本来貸してもらえたはずの200万円が借りられなくなるだけでなく、悪い履歴が残ってしまいます。

 

人間は、うしろめたいことをしていると、どこか暗い雰囲気をかもしだします。

裏ワザに頼る人は、事業計画もおざなりになりがちです。

結果として幼稚な事業計画を元気なくおどおどと説明することになってしまいます。

下手な裏ワザに頼るよりも、緻密な事業計画を作って情熱的に語ったほうが効果的です。

日本政策金融公庫には、自己資金が少なくとも創業者には金を貸せと、プレッシャーがかかっています。

資金は不足しているが、パワーと計画性にあふれた創業者だと思ってもらうようにエネルギーをそそぐべきでしょう。

そうすれば、資金調達額を増額できるチャンスも出てきます。

わたくしどものお客でも、前向きなエネルギーと緻密な事業計画で、自己資金の3倍以上の創業融資に成功したかたはたくさんいます。

エネルギーを前向きな方向に使われることを強くお勧めします。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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居酒屋を転貸で開業したい

居酒屋を居抜きで貸してもらい、開業したいと考えています。

現時点でも、利益がそこそこ出ているお店です。

飲食で9年間の経験があり、さらに売り上げを伸ばす自信があります。

ただ、住宅ローンを借りたばかりなのでかなりの借金があります。

頭金にお金を使い、手元には、100万円しかありません。

必要な資金は700万円なので、600万円を借りる必要があります。

日本政策金融公庫、信用金庫、銀行のどこに頼めばよいでしょうか。

 

税理士の工藤がお答えします。

日本政策金融公庫か、制度融資を使って信用金庫から借りるべきでしょう。

日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している公的な金融機関です。

制度融資とは、自治体がバックアップし、信用保証協会が保証してくれる公的な融資制度です。

創業者には、こういった公的な金融機関しか融資はしてくれません。

また、窓口は、信用金庫や信用組合の小さいな金融機関の方が都市銀行よりも親身になって相談に乗ってくれます。

日本政策金融公庫と制度融資は、両方申し込めるので、どちらかを選択するのではなく、双方にトライするべきでしょう。

 

借金があるということですが、住宅ローンなので、クレジットカードローンなどとは異なり、それほどマイナス評価はされません。

借金と見合いで住宅という資産を持っているので、今後の事業計画で稼げる所得内で返済していけるぐらいの借入金であれば、融資審査で足をひっぱることはありません。

ただ、自己資金の額はちょっと少なすぎます。

創業融資の申込の際に作成する創業計画書をちょっと工夫しないと、貸し手はもらえないでしょう。

創業融資は、自己資金の2倍が融資額の限度額の目安なのです。

あなたの場合には、200万円が上限です。

個別の融資制度には、こういった上限額は、要件として、明記されていませんが、これが実態です。

たとえば、新創業融資制度は、要件上は、事業経験が6年以上あれば、自己資金はとくに求められていませんが、実際上は、自己資金の倍以上の金額を貸してくれることはまずありません。

ただ、この上限を超えて貸してくれることがないわけではありません。

確実に返せる要素がある場合には、この上限を超えて融資をしてくれます。

あなたの場合には、飲食において9年という長い経験があるのは有利な要素です。

とくに営業実績に誇れるものがあれば、この倍額の壁を突き抜けることが可能です。

勤務時代にお店の売り上げをあなたの手腕で大きく伸ばした等の実績を示せれば、高い信頼を得ることができます。

また、転貸を受ける店が、現時点で利益が出ているということもとても有利な要素です。

ただ、言葉でいうだけではだめで、具体的な営業数字を示してください。

過去数年の客観的な売上、経費、利益の推移を示すことができれば、強い説得材料になります。

借入申込時には、ぜひ、添付資料として提出してください。

あと注意点していただきたいことが二つあります。

一つ目は契約関係です。

転貸を受けるとことですが、契約関係を明確にしておく必要があります。

というのも金融機関は、重大な法令違反があると貸付ができないのです。

転貸の契約関係が明瞭に定められてあなたの権利が保証されており、かつ、大家の了承を得ている必要があります。

次に、資金繰計画表を作って、最低でも向こう36か月の資金繰りを明らかにしてください。

なぜ、600万円の資金が必要なのか、その使途を明確にする必要があるからです。

設備投資、在庫投資、人件費、経費それぞれにどれだけの資金が必要なのかを明確にし、借りたお金をなにに使うのかを明らかにするのです。

同時に、借入金の返済を行なう財源が将来、十分に確保されていることも示す必要があります。

売上から人件費、経費、法人税を引いた純利益から十分に借入金返済額を支払えることを立証する必要があります。

公的金融機関とはいえ、金貸しですから、借りた金の使い道と返済のめどをはっきりとさせなければ貸してはくれません。

設備投資については見積書の提出も必須です。

以上、創業計画書の作成についてご不明な点があれば、ご遠慮なく、工藤公認会計士税理士事務所の無料相談をご活用ください。