銀行からの評価を上げて資金調達を有利にする方法

銀行からの評価は決算書で8割は決まってしまいます。

ですから、銀行へ提出する決算書には創意工夫が必要です。

まず、銀行融資を借りやすい決算書を作る必要があります。

ほとんどの会社が税金対策しか考えておらず、格付けを下げてしまうような処理を平気でやっています。

さらに、銀行から決算書の提出を求められても、決算書だけを提出してはだめです。

銀行の評価を上げたければ、経営計画書を添付して、決算書パッケージを作成し、銀行に提出するべきです。

決算書パッケージには、業績の推移と将来の施策についての説明文も加えてください。

提供する情報量が大きくなればなるほど、資金調達は有利になります。

さらに中小企業会計の適用に関するチェックリストも添付すると決算書の信頼性が増します。

決算書の内容は、社長自らが、銀行の担当者に説明するようにしてください。

社長の財務管理能力も銀行の重要なチェックポイントなので、社長自らが会社の財務状況を把握していることをアピールするのは大切です。

さらに決算書も出しっぱなしでは、銀行の評価はあがりません。その後も少なくとも四半期ごとに業績を報告する必要があります。

その際は、損益計算書や貸借対照表だけではなく、資金繰り表を提出して営業キャッシュフローが長期的にプラスであることをアピールすることが重要です。

銀行の格付けをあげて資金調達を有利にしたければ以下の作業をすべて実行してみてください。必ず成果があるはずです。

 

1. まずは、銀行から借りやすい決算書を作成してください。

税理士事務所が作成する決算書は、税金対策のためだけに作成されています。そのため、銀行の評価を下げてしまう会計処理をすることが多々あります。

銀行から借りやすい決算書を作成するようにしてください。

 

【銀行から借りやすい決算書にするために守るべきルール】

  • 不自然に大きな現金残高 損金にできない経費を、現金勘定に含めてしまった結果です。決算書の信頼性を損ないますので適正な残高にしましょう。
  • 過大な売掛金残高 業界平均や取引条件からあるべき残高は、銀行に推定されてしまいますので、安易に売掛金勘定を膨らませて粉飾すると信頼を損ないます。業界平均からかい離をしないようにしましょう。
  • 過大な在庫残高 在庫も同様に業種から適正在庫水準を簡単に推測されてしまいますので、安易に架空在庫を計上して粉飾するのは、誤りです。適正残高を心がけましょう。
  • 受取手形の割引 手形を割引けば、有利子負債が減り、債務償還年数が短くなり、格付けは改善します。
  • 未収入金 継続反復して発生するのであれば、売掛金として処理してください。運転資金が大きくなり、借入のときに資金使途の説明がしやすくなります。また、債務償還年数を計算するときは、有利子負債から運転資金を控除するので、債務償還年数も短くなり、格付けが改善します。
  • 仮払金 よく見かける勘定科目ですが、費用を未処理にしているだけではないかと疑われます。あまり多用してはならない勘定科目です。
  • 社長貸付金 中小企業の決算書ではよく見かける科目ですが、銀行がとても嫌がる勘定科目です。会社のお金を私的に流用していると疑われるおそれがありますので、期末には残らないようにするべきです。
  • 創立費・開業費 資産とはみなされないので、計画的に償却していくべきです。残高をいつまでも放置しておいてはいけません。
  • 買掛金と未払金の区分 原価に対応する債務を買掛金といいます。買掛金に相当しない債務は、未払金に区分してください。買掛金が小さくなれば、その分だけ運転資金が増加して借入のときに資金使途の説明がしやすくなります。また、債務償還年数を計算するときは、有利子負債から運転資金を控除するので、債務償還年数も短くなり、格付けが改善します。
  • 社長借入金 この勘定科目は、社長からの出資の一種とみなされますので、残高が肯定的に評価されます。積極的に『長期負債』の区分に独立表示しなければなりません。よく、長期借入金に含めて開示している決算書を見かけますが、とてももったいない処理です。
  • 長期借入金 返済期限が決算日以後1年超の借入金は、必ず長期借入金にしてください。安全性の指標が改善します。
  • 社長からの借入金が多額にある場合の対策@ 繰越欠損金の範囲内で債務免除をすれば、税金がかからずに自己資本を大きくすることができるので、安全性の指標が著しく改善します。
  • 社長からの借入金が多額にある場合の対策A 社長が会社への債権を現物出資することによって、借入金を資本金へ振り返ることができます。デットエクイティスワップといわれる方法です。これにより、自己資本比率が改善して、安全性の指標が著しく改善します。中小企業でもよく使われる手法です。ただし、債務超過状態であったりすると債務免除益を認定されることがありますのでご注意ください。
  • 家賃収入 減価償却費は、販管費に計上されているのですから、売上に計上しましょう。売上総利益、営業利益を改善できます。
  • 資産の売却収入 継続的に発生するものであれば、特別利益ではなく、売上に計上しましょう。売上総利益、営業利益、経常利益を改善できます。
  • 不良在庫の処分損 売上原価に含めてしまっている会社が多いですが、臨時的な損失なので特別損失に計上しましょう。売上総利益、営業利益、経常利益が改善します。
  • 見本品 売上原価に含めてしまっている会社が多いですが、れっきとした販促費なので販管費に計上しましょう。売上総利益が改善します。
  • 退職金 零細企業ではめったに発生しない費用なので臨時的な支出として特別損失に計上しましょう。営業利益、経常利益が改善します。
  • 特別償却 設備投資をした場合には、租税特別措置法により特別償却が認められることがあります。会計処理は、減価償却によらずに、剰余金処分により準備金とし積み立ててください。その分だけ決算書上は、減価償却費が減少して、営業利益、経常利益、当期利益が大きく計上され、格付けが改善します。
  • 減価償却の未計上 利益を大きく見せるために計上していないことを簡単に見抜かれてしまいますので、ある程度は、規則的に償却する必要があります。
  • 貸倒引当金の会計処理 差額繰り入れ法にしてください。会計的には正しい処理ですし、営業利益、経常利益が改善します。さらに財務スコアリングモデルではキャッシュフローがなぜか改善してしまうので、債務償還年数も短くなり、有利です。

 

2. 経営計画書を求められなくとも決算書パッケージに閉じこむ。

銀行に提出する決算書には、経営計画書も一緒に閉じこみましょう。

それによって銀行は、会社の将来性を知ることができます。

また、計画的な経営ができる会社であるという評価は、格付けを改善します。

 

3. 業績の概要と今後の経営方針をA4用紙1枚で簡単に説明する。 

業績の経緯と将来の施策を箇条書きした説明書を決算書に添付しましょう。

会社の強みを理解してもらう記述を必ず織り込んでください。

 

4. 『中小企業会計の適用に関するチェックリスト』を織り込む。 

『中小企業会計の適用に関するチェックリスト』は、信用保証協会付き融資を受けるときに、よく提出を求められます。

このチェックリストは、決算書が、「中小企業の会計に関する指針」に準拠していることを税理士や会計士に確認させるために使われます。

提出すると多少は金利が安くなります。

このチェックリストは、求められなくとも積極的に決算書に添付して、決算書が会計基準に沿って会社の業績を適正に表示していることをアピールしましょう。

 

5. 社長自らが銀行に報告 

決算書は、社長自らが銀行に持参して、業績の概要と今後の経営方針をきっちり説明するべきです。

社長に財務管理能力があることを銀行にアピールしましょう。

 

6. 四半期ごとに報告
すくなくとも三ヶ月に一度は、銀行に渡して、財務状況の報告をしたほうがよいです。
損益計算書や貸借対照表だけでは不十分です。資金繰り表もつくって、報告もするようにしてください。

資金繰り表の説明では営業キャッシュフローが長期的にプラスであることを理解してもらうのが大切です。営業キャッシュフローが長期的に黒字の会社だと思わせれば、資金調達は必ずうまくいきます。
税理士事務所に頼むと損益計算書と貸借対照表しか用意してくれないことが多いので資金繰り表も作ってくれるように念押ししてください。