資本政策の作り方

▼資本政策の必要性

株式公開を目指す会社の株式の発行・移動プランのことを資本政策といいます。

資本政策の見本をお見せすると、なんでそんなまどろっこしい複雑なプランを作成しなければならないのかと思われるかたがいます。しかし、資本政策は絶対に必要なプランなのです。なぜなら、資本政策は、多くの相反する目的を同時に満たさなければならないので、頭の中だけのシミュレーションでは必ず見落としが生じ、失敗につながるからです。しかも、失敗すると多くの場合は取り返しのつかないことになります。

資本政策がクリアしなければならない目標は次の通りです。 

  1. 会社が事業を成長させるために必要な資金を調達する
  2. 経営者層が安定的に経営できるだけの持株比率を維持する
  3. 創業者にキャピタルゲインを確保する
  4. 役員・従業員の福利厚生を確保する
  5. 株式公開基準を満足させる
  6. 後継者への経営権の移動や相続税の納税資金の確保を考慮する

一つの目標を重視しすぎるとほかの目標がおろそかになります。

例えば、資金調達、経営者の持分比率の維持とキャピタルゲイン確保は、相反する目的です。バランスよく調和をとってゆく必要があります。このバランスをとるためには、エクセル等で資本政策を緻密にシミュレーションする必要があります。


▼よくある失敗事例(作成時の留意点)

会社の経営権を奪われる。経営者は、公開時の売出公募後においてもなるべく、過半数の持株比率を維持して経営権の安定化を図るべきです。また、特定の外部株主に3分の1超の持分比率をもたれて拒否権を与えてしまうのも、なるべく避けましょう。ただ、会社の成長のための資金調達が優先する場合には仕方がありません。ただ、その場合にも、投資家の理解を得てストックオプション等によって将来における経営権の回復をはかりましょう。

従業員が株式公開により、キャピタルゲインを稼ぎすぎ、士気が低下する。従業員が短期的な思考に走り、会社への貢献がおろそかになることがあります。大きなお金を手にした幹部社員がぞろぞろと退社してしまうということもあります。

事業計画の精度が低かったために、株価が予想と食い違い、資金調達額や公開後の持分比率、あるいは、キャピタルゲインが予想を大幅に下回ってしまう。

ベンチャーキャピタルへの第三者割当増資の価格が低かったために、経営に口出しされ、しかもその後の資金調達に支障が生じた。

税法基準をクリアしていなかったために、税率の高い贈与税や受贈益課税をされてしまった。 

事業承継プランが不十分であったために、相続時に多額の相続税が発生したり、あるいは、納税資金を確保し忘れたりしたために、後継者が株式を手放さざるを得なくなり、経営権を失った。


▼資本政策を失敗しないための留意点

上述した失敗を犯さないためにも、資本政策を作成する際には、以下の点に気をつけてください。

・基礎となる事業計画の精度が低いとすべての目的が達成できなくなります。事業計画は、現場からの意見もいれて現実的な内容にすることが大切です。経営者の直感や夢、楽観的予測をそのまま事業計画にするべきではありません。派手な計画を作れば、経営者はストレスを感じなくてすむかもしれませんが、誤った資本政策は長期的には経営者の首をしめることになります。

・業績予想、資金需要、経営者の意図等は一定しません。時とともに変化します。資本政策も定期的な見直し・変更が必要です。

・会計上や税務上の問題を考慮しましょう。開示する財務諸表に与えるインパクトや、税務上のリスクを熟慮しておく必要があります。

・会社法、証券取引法、公開前規制、株式公開基準を十分に理解した上でプランを立てる必要があります。


▼ベンチャーキャピタルや証券会社を信頼しすぎないこと

資本政策を作り際には、ベンチャーキャピタルや証券会社の助言はとても有用です。さまざまな専門家の意見のよいところを集約して自分の会社にあった資本政策を作成するように心がけましょう。

ただ、かれらも当然の権利として、稼がなければなりませんので、独自の利害を持っています。

ベンチャーキャピタルは、できればなるべく低い価格で多くの株式を手に入れたいと思うでしょうし、証券会社は公募売り出し時の営業政策を重視しなければなりません。かれらのメリットが必ずしも会社のメリットとイコールではないときがあります。

なにが会社のとってベストなのかは、会社自身が判断しなければならないのです。

ベンチャーキャピタルや証券会社を疑ってかかれというつもりはありませんが、『信ずれば制せられる』面があることも否定はできません。

できれば、利害のない専門家の意見を利用されることをお勧めします。例えば、会計事務所はクライアントの利益しか考えませんので、有用な助言を得られるはずです。


▼資本政策を実現するための具体的な手法

いかに資本政策で使われる主な手法についてご説明させていただきます。

株主割当増資 新株引受権を既存株主に持分比率に応じて割り当てて行う新株発行増資のこと。発行済み株式数を増加させることができるとともに、会社の資本を増強することができます。

第三者割当増資 特定の第三者に新株引受権を付与して新株を引き受けさせる増資。資金調達の時によく用いられる手法で、既存株主の持分比率を低下させます。

ストックオプション 企業がその役員、従業員等に報酬として付与するもので、一定期間中に一定の価格で株式を購入することができる権利をいいます。主に役員、従業員の業績向上への動機付け強化、福利厚生目的で使われる手法です。

株式分割 1株を複数の株式に分割して発行済株式数を増加させ、株式の流動性を高める手法です。

従業員持株会 従業員持株会は、民法上の組合で、従業員が会社の株式を定期的に購入する制度です。安定株主確保、従業員のモチベーション向上・資産形成を目的として設定されます。

金庫株 株式会社が発行した自社株式のうち、その会社が自ら、取得し保有している株式のこと。意見が相違し離脱してゆく株主から株式を買い取るときなどに使われる手法です。

≪株式公開した会社の実例です。クリックすれば拡大します≫

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▼資本政策の作成手順

資本政策を作成する流れについてご説明いたします。

事業計画の作成 損益計画、資金収支計画を作成します。事業計画は、現場から情報を積み上げて精度の高い計画をつくりましょう。経営者の夢や楽観的予測をそのまま事業計画にして、結果として経営者の首をしめてしまう資本政策となってしまう事例があとをたちません。資金収支計画も必要な資金調達額を予測するために必要です。資金調達の不足は、資金繰りを圧迫しますし、また、過度の調達は経営層の持分比率を低下させ、その後の資金調達を圧迫します。多からず少なからずの必要資金額を的確に予測する必要があります。

目標の設定 必要資金調達額、目標株価、経営層の持分比率、創業者のキャピタルゲインの額をまず決めます。

各種手法の検討 設定された目標を実現するために、株主割当増資、第三者割当増資、ストックオプション、株式分割、従業員持株会等の手法を組み合わせます。諸目標を調和よく満足させる最適解を求めてシミュレーションを何度も繰り返します。シミュレーションを実施するために、通常はエクセルなどの表計算ソフトを使います。

定期的な見直し 時の経過につれて経営状態は、変化します。経営状態の変化に応じて、将来の事業計画も変わりますし、資本政策の目標も変わってきます。そのため、資本政策は、毎年数度は定期的に見直す必要があります。

 

▼当事務所の取り組み

当事務所は、株式公開の実務経験のある公認会計士や専門家が在籍しております。かれらは、株式公開実務や資本政策について、豊富な経験と知識を蓄積しております。資本政策について実際のノウハウを有している事務所は、とても限られております。他事務所さまを軽視するつもりは毛頭ありませんが、大手の税理士事務所の大半ですら、ノウハウはほとんど有しておりません。実際に大きな会計事務所に行かれて質問されれば、「あまり力は入れていません。」という素直な回答が返ってくるでしょう。会計士・税理士の大半は、うそをつくのを嫌うので正直に答えてくれるはずです。

当事務所では、報酬体系はご利用されやすいように、良心的に設定しております。良心的な料金設定が可能となっているのは、十分な経験と実例が蓄積されているが故に、効率的に仕事をこなすことができるからです。

無料相談実施中ですので、ご気軽にご連絡ください。

 

▼株式公開の基礎講座

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