財務デューデリジェンス

優良な競合他社を買収して、会社規模の飛躍的拡大をはかれば、株式公開を一気に実現することも可能です。

手元資金がなくとも、合併、会社分割、株式交換といった手法を使えば、現金を使わずに、自社株式で他社を統合することができます。

 

▼デューデリジェンスの必要性

M&A(企業買収)の際や、ベンチャー企業へ投資する場合には、相手会社の事業内容を調査・検討しなければなりません。

調査をせずに、買収や投資をすると、「そんなはずではなかったのに!」と後悔することになるからです。

不当な高値で会社を売りつけられたり、簿外リスクを抱える会社と合併して、自分の会社の経営が危なくなったりしてしまいます。

買収やベンチャー投資のリスクを最小限に抑えるために実施する、調査・検討のプロセスのことをデューデリジェンスといいます。

デューデリジェンスは、経験がものをいう作業なので、リスクを発見するためには、経験のある弁護士と公認会計士を活用することをお勧めいたします。

 

▼デューデリジェンスとは?

デューデリジェンスは、ビジネス、法務、財務の三つの視点から総合的に実施する必要があります。

ビジネスデューデリジェンスの目的は、対象企業の事業の採算性・成長性を調査・検討することです。対象企業のブランド、顧客網、顧客との関係、技術や知的所有権、仕入先との関係等のビジネス上の優位性が本物かどうかを調査・評価します。企業価値を決定づける事業計画の妥当性についても、この調査で検証します。

ビジネスデューデリジェンスは、通常、買収側のスタッフが実施します。

法務デューデリジェンスは、法律・契約上のリスクや価値について調査します。

法務デューデリジェンスは、通常、弁護士に依頼します。

財務デューデリジェンスでは、経営成績や財政状態、資金繰りを調査し、買収や投資に際して把握するべき収益力に関する情報を収集します。現状の経営成績、財政状態、資金繰りを把握して、そこから、その会社の企業価値を決定するバリュードライバーが妥当かどうかを検証します。言い換えれば、財務諸表を精査して、その会社の価値が過大評価されていないかどうかを検証するのです。

財務デューデリジェンスは、通常は、会計事務所に依頼します。

財務デューデリジェンスは、以下で説明する、3つのステップで進められます。

 

▼財務デューデリジェンス@ 経営成績と財政状態の把握

まずは、過去の財務諸表や月次試算表を検証し、当該企業の経営成績や財政状態の現状を正しく把握します。

デューデリジェンスの監査ポイントは、依頼者と調査者が協議して煮詰めますが、通常は、数百の監査ポイントが列挙されます。

イメージをつかんでいただくために、典型的な監査ポイントを次に列挙します。

 

≪監査ポイントの簡単な例≫

  • 会計方針を把握し、検証する。
  • ものの流れ、資金の流れをフローチャートを作成して把握する。
  • 株主総会議事録、取締役会議事録、稟議書や各種議事録を査閲して、経営成績や財政状態に影響を及ぼしそうな事項を検証する。
  • 顧客や仕入先との主要な契約書を査閲する。
  • 組織図を入手して、検証する。
  • 役員名簿、従業員名簿を入手する。
  • 株主名簿を入手する。
  • 帳簿を査閲して異常な取引があれば、検証する。
  • 関係会社との取引条件を検証する。
  • 株主との取引の有無を把握し、取引条件を検証する。
  • 経営成績や財政状態、主要な経営指標の過去3〜5年の推移分析を実施し、異常な増減の理由を分析・把握する。
  • 部門別損益の把握と推移分析を実施して、異常な増減の理由を把握する。
  • 予算と実績との差異の原因を分析検証する。
  • 決算期後に重要な後発事象が発生していないかを検証する。
  • 勘定明細の分析を実施する。
  • 銀行残高証明書を入手して照合する。
  • 売掛金の滞留分析を実施して、回収可能性を検証する。必要であれば貸倒引当金を計上する。
  • 売掛金を相手先別、発生原因別に推移分析する。
  • 売掛金残高に架空計上額は含まれていないかを検証する。
  • 在庫に不良資産は含まれていないかを検証する。
  • 在庫の年令調べを実施する。
  • 固定資産の取得原価の妥当性を検証する。
  • 固定資産は、適正に減価償却されているかを検証する。
  • 固定資産に減損処理すべきものはないかを検証する。
  • 買掛金について相手先別に推移分析を実施する。
  • ものや資金の流れを全体的に分析したり(ビジネスアプローチ)、相手先別債務額の推移分析等をしたりして、簿外負債の有無を検証する。
  • 退職給付引当金が適正に計上されているかを検証する。
  • 賞与引当金が適正に計上されているかを検証する。
  • 製品保証引当金が適正に計上されているかを検証する。
  • 返品調整引当金等が適正に計上されているかを検証する。
  • 損害賠償の請求をうける可能性はないか。また、係争中の訴訟の有無を検証する。
  • 偶発債務や保証債務の有無を調査する。
  • 売上計上のタイミングは適正かを検証する。
  • 多額の返品の可能性はないか。過去の値引き・返品の分析を実施する。
  • 売上を商品別、顧客別、部門別、チャネル別に分析して売上高成長率や、利益成長率の実態を把握する。
  • 原価計算は適正に実施されているかを検証する。
  • 役員報酬額の妥当性を検証する。
  • 給与水準の妥当性を検証する。
  • ペイロールテストを実施する。

経営成績と財政状態の実態を把握すると、多くの場合は、株価は修正されます。企業価値の算定方法が、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチのいずれの方法をとっている場合でも、企業価値の修正につながります。財務諸表が修正されることになるので、純資産が修正されますし、経営成績の修正は、事業計画の修正をもたらすので、DCF法による企業価値も修正されることになるのです。

買い手にとっては、買収金額や投資額の大きな減額・値引につながることが少なからずありますので、財務デューデリジェンスは、とても重要な必須作業です。

 

▼財務デューデリジェンスA スタンドアローン問題

ある企業グループに属する会社を買う場合には、その会社が負担するべきコストがすべて財務諸表に適正に計上されているかを注意深く分析する必要があります。その会社が本来負担するべきコストを関係会社に負担させ、経営成績が過大に表示され、結果として会社の価値が過大に評価されていることがあります。

この見えないコストを反映させて、その会社の正確な収益力を把握しないと、高い買い物をさせられることになります。

たとえば、次のような事例はよく見かけます。

  • 経理、財務、総務、システムといった機能を関係会社に頼っている。
  • 人件費や退職年金コストの一部を関係会社が肩代わりしている。
  • 出向社員については、人件費コストを全額負担していない。
  • 関係会社の営業力やブランドに頼って販売している。
  • グループ会社の影響力によって、有利な取引条件で、販売が可能となっている。
  • 関係会社と一緒に仕入れることによってボリュームディスカウントを享受している。
  • 関係会社の信用によって金利を優遇してもらっている。
  • 事務所を間借りしており、事務所コストの全額を負担していない。
  • 関係会社が広告宣伝費や販促コストを支払い、十分な金額が請求されていない。
  • 研究開発活動はすべて関係会社で実施されている。

これらのコストを追加計上し、修正された財務諸表に基づいて、対象企業は評価されなければなりません。さもなければ、買い手は大きな損をこうむることになります。

 

▼財務デューデリジェンスB 事業計画の修正

上記の調査・分析に基づき、企業価値を修正します。

過去の財務諸表を調査分析したり、スタンドアローン問題を検証したりすることによって、売り手が主張している企業価値の前提は、必ずといっていいほど修正され、買収価格や株価は減額されます。

例をあげれば、

  • 過去の経営成績が修正され、売り手が予測しているほどの売上高成長率の実現は不可能であることが判明する。
  • 人件費や経費が、売り手が主張している以上に発生するであろうことが予測されるために、予想営業利益が減少し、企業価値が減少する。
  • 在庫や売掛金といった運転資金が、売り手が主張する以上に膨らむので、将来フリーキャッシュフローが減少し、結果として企業価値が減少する。
  • いままで、設備投資が抑えられていたことが判明し、将来において必要な設備投資予定額が売り手が主張しているよりも大きいことが判明し、企業価値が減少する。
  • 金利などの融資条件が今よりも悪くなることが避けられないことが判明したり、あるいは、過去の経営成績や資金繰りが、売り手の主張するよりも悪いことが判明したりして、資本コストが上昇し、企業価値が減少する。

財務デューデリジェンスを適正に実施することによって、株価そのものを下げたり、あるいは、支払い条件やそのほかの契約条件を有利に変えたりすることが可能となります。

財務デューデリジェンスは、価格だけでなく、買収スキームそのものの変更をもたらすこともあります。

財務デューデリジェンスを実施することによって、買い手は、大きなベネフィットを手にいれることができます。

財務デューデリジェンスは、特殊な作業なので、経験のある公認会計士に依頼するのが一般的です。

 

▼当事務所のとりくみ

当事務所では、豊富な実績をもつ会計士が、良心的な価格でスピーディに財務デューデリジェンスを実施させていただいております。いずれも大手監査法人でデューデリジェンスサービスを提供してきたものばかりです。監査法人系コンサルティングファームの半額位の費用で、はるかに迅速なデューデリジェンスサービスを提供させていただいております。

 

▼株式公開の基礎講座

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