長期で借りることの重要性

無担保、無保証で借りることができれば会社が潰れても経営者は責任を取る必要はありません。

創業時の資金調達では、経営者の責任を限定することは基本です。

これと同じくらいに経営の観点から大切なことは、なるべく長期で借りることです。

800万円の融資を返済条件1年で借りたとしましょう。

元本だけで毎月約67万円を返済しなければやってゆけません。

とても重い負担です。

儲かっていても、これではやってゆけません!

黒字倒産してしまいます。

しかし、創業融資を利用することができ、返済期間を84ヶ月に設定できたとしましょう。

毎月の元本の返済額は9万5千円くらいで済みます。

金利も、2%前後なので大きな負担となりません。

なんとか返せそうですね。

無担保、無保証で低金利の長期資金を貸してもらえるというのは、これから開業される方にとって大変にありがたい話です。

ビジネスが軌道にのるまでは、資金繰りは大変です。

返済期間が長く、金利が低ければ、毎月の元金と利息の支払総額は少なくて済みます。

低金利で返済期間の長い融資を受けることは、開業したビジネスを成功させるためには、とても大切なことです。

創業時の公的融資の成功条件

創業者に無担保、無保証で、長期融資をしてくれるのは、公的融資制度しかありません。

日本政策金融公庫と、信用保証協会がバックアップする制度融資です。

創業融資は、事業の実績がなくとも創業計画書という事業の青写真だけでお金を貸してくれます。

しかし、創業融資を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

  1. 自己資金があること
  2. 事業経験の的確な記述
  3. 信用情報に傷がないこと
  4. 税金、公共料金に未納がない
  5. 創業計画書の説得力
  6. 資金繰り計画書の添付
  7. 面談での説明に失敗しない
  8. 借入の目的に関して誤解を受けないこと
  9. できれば、日本政策金融公庫に紹介実績のある認定支援機関を利用する

以下、ひとつひとつ、ご説明させていただきます。

自己資金があること

自己資金とは、自分が所有している返済不要のお金のことです。

自己資金があることは、創業融資の審査ではとても大切です。

審査担当者は自己資金の有無をとても重視しています。

自己資金がしっかりしている方の方が、事業を軌道に乗せて、借入金をきちっと返済してくれる確率が高いからです。

自己資金が不足していると、起業のための準備不足と評価されてしまいます。

自己資金が不足していても、創業計画書の内容がとてもしっかりとしているために、十分な創業資金の融資に成功された経営者はたくさんおられますし、親類からの贈与などのさまざまな工夫により、自己資金扱いとしてもらう資金を膨らませる方法もあります。

ただ、自己資金が多いほうが、審査は有利であることは確かです。

自己資金は、通帳を見てチェックされてしまうので、うそをついてもすぐにばれてしまいます。

入金状況を精査されるので、借りたお金であればすぐに見つかってしまうのです。

自己資金の定義や、不足しているときの対処法は次の記事をご参照ください。

⇒自己資金について

⇒自己資金が不足するときの対象方法

ご自分で申し込まれた場合は、自己資金は、一般的には、100万円ぐらいはないと謝絶の可能性が高まります。

それ以下の金額だと、創業のための準備が不足していると判断され、審査を通るのは難しくなります。

事業経験の的確な記述

事業経験が不足していると審査はとても不利となります。

事業経験とは、勤務時代の経験です。

創業する事業について、どれだけの経験があるかが問われるのです。

起業する事業に関連する経験は、そのすべてを強くアピールしてください。

 

事業経験で、勤務時代に培った経験を強くアピールすることはとても大切です。

勤務時代に培った能力、経験の強みが、これから創業する事業の差別化要因に直結することを、わかりやすく、ロジカルに記述できれば、審査担当者に与える心証は、格段に向上します。

 

とくに営業的な能力を証明できれば、審査は有利となります。

数字的な営業実績や、社内表彰等についてアピールできるものがあれば、前面に出して下さい。

ここでうまくアピールできれば、ほかの審査ポイントでの失点をリカバリーできます。

信用情報に傷がないこと

信用情報は、必ず、チェックされます。

クレジットカードローン残高はないことが望ましいです。

完済するか、完済ができない場合は、その使用目的と返済計画を、創業計画書と整合性をとって説明した方がよいでしょう。

 

延滞記録があると、かなり厳しくみられます。

ただ、半年以内に延滞がなく、自己資金と事業経験がある程度あれば、あとは、創業計画書次第では、調達できることもあります。

このケースに該当する場合には、専門家に相談したほうがよいでしょう。

 

61日以上の遅延、債務整理、強制解約、自己破産などの場合は、5年間がまんして、異動情報が消えてから、申し込むべきでしょう。

信用情報は、CIC(https://www.cic.co.jp/)に問い合わせれば、簡単に確認できます。

税金、公共料金に未納がない

税金の未納とは、個人事業の方の場合です。

サラリーマンは源泉をされているので滞納はないはずです。

創業融資は、税金を原資としていますし、税金は、優先債権であるため、税金未納があるとまず融資はおりません。

水道光熱費などの公共料金、家賃、電話代金、などの滞納がある場合も、審査は不利となります。

支払能力を疑われるからです。

過去半年の通帳でチェックされますので、半年間は、滞納をしないようにしてください。

創業計画書の説得力

借りたお金が創業目的に使われると判断してもらえても、それだけではお金を貸してくれるわけではありません。きちっとした創業計画書(事業計画書)がなければ融資は受けられません。

日本政策金融公庫、制度融資ともに、創業計画書といわれる事業計画書をもとに審査されます。創業計画書の説得力、出来不出来はとても大切です。

創業計画書(事業計画書)というと、そんな難しいものは書けないとなげてしまうかたもいるかもしれません。ですが、実際は、ちょっとしたコツが必要なだけなのです。

私どもがとても残念に思うのは、せっかくいいプランをお持ちなのに、事業プランを紙に落としていないためいい評価を得られない方が意外に多いということです。

高額融資に成功した創業計画書は、次の要件をクリアしています。

  • 理念をきちっとかたっている。経営理念をきちっと説明することにより、『几帳面で、借金を必ず返してくれそう』という印象を与えられます。
  • 顧客層のターゲティングがしっかりとしている。>
  • ターゲティングのニーズを的確に理解して、明確でわかりやすい差別化戦略をとっている。
  • 差別化戦略と、事業経験(勤務経験)の強みを関連付けて説明できている。
  • 市場調査や、競合分析を怠っていない。
  • 具体的な顧客リストをもっている。飲食店やインターネット販売のような不特定多数を相手にするビジネスでも、膨大な潜在顧客リストをもっている創業者は、高い評価を与えられます。
  • >営業や販売促進の仕方が具体化している。『売り方がわかっているか?』ということです。営業や販売促進について経験があれば、その実績を詳述してください。自己申告でもかまいません。
  • 価格戦略がすぐれている。競合よりも良いものをより安く売るのが、創業企業成功の鉄則です。>
  • 売上予測の根拠が、価格×数量で詳しく説明されており、かつ、個別の状況や戦略を反映している。
  • 売上と経費のバランスが根拠だてて計画されており、返済計画が実現可能であること。

売上と経費についてですが、創業計画書では、事業の見通し(収支計画1年目)を記述させます。そこで、売上や経費の予測額を書き込まされますが、大雑把な数字を直感的に書き込むのではなくて、手間をかけて、ひとつひとつの勘定科目の数字を、基礎となる根拠から積み上げていってください。また、勘定科目間の整合性をきちっととってください。
要は、審査担当者にお金がうまく回りそうだなと思わせるのがキーポイントです。

なかには、日本政策金融公庫の記入例をまねて創業計画書を作ったのに断られるケースもあります。正直に申し上げて、あれはあくまで記入例であって、審査のエッセンスが凝縮されているとはいいがたいしろものです。

創業計画書しだいで融資の成否は決まります。創業計画書の作成方法の詳細については、また別のページで詳述させていただきます。

⇒創業計画書の書き方

資金繰り計画書の添付

資金繰り計画書は必ず添付してください。

創業融資に限らず、融資の審査の基本は、資金使途と返済原資の説明です。

資金を何につかってどうやって返すのかを流暢に話せるようにしておくことが大切です。

銀行は、資金繰りの説明がきちっとできる経営者が大好きです。

金の流れを掴んでいない経営者に借りた金が返せるはずがないと考えているからです。

36ヶ月分の資金繰り計画を頭に叩き込んで、それを面談ですらすらと言えれば、審査担当者の心証は、とてもよくなります。

面談での説明に失敗しない

常識的な言動をとってください。

まず、言葉遣い、服装、面接態度などの基本が大切です。

マナーを守ることができなかったり、真摯さにかけると思われると審査に悪い影響を与えます。

 

そのうえで、どんな意地悪い質問が来ても感情的にならずに、創業計画書に沿って、相手の質問に丁寧にたんたんと対応してください。

はぐらかしたり、脱線したりすることは禁物です。

創業計画書が実現可能であることを熱意をもって説明してください。

借入の目的に関して誤解を受けないこと

創業時に公的融資で借り入れたお金を、次のように創業以外の目的のために使おうとする人があとを絶えません。

  • 別会社や既存事業の赤字の穴埋め
  • 個人の借金の返済

創業時の公的融資は過去の事業の実績を問わないので、既存の借金の返済に困っているひとたちにも、魅力的な融資制度なのです。

審査担当者が最初に警戒するのは、創業以外の目的にお金が使われてしまうことです。

そのために審査は厳重なものとなっています。

しかし、借金したお金の使用目的を見抜くのはとても難しいのです。審査する側としても、確実な確証をつかむことはなかなかできません。見積もり書などは簡単に偽造できます。提出された書類や面談から、経験と勘に頼って嗅ぎ分ける以外に方法はありません。怪しいなと思えば、融資を断ってきます。

結果として、本当に創業のために資金を使おうとしている申込者も、誤解を受けて、融資を断られてしまうことが実はすくなくありません。

まずは、別会社や既存事業の赤字の穴埋めや、個人の借金返済のためにお金を使うのではないということを明確に理解してもらう必要があります。

そのためには、職歴・事業の履歴、自己資金のため方、過去の事業実績、創業計画にそういった誤解につながる点がないかを十分に検討しておく必要があります。疑いにつながりそうな点を完全につぶし、かつ、資料間の整合性をとっておく必要があります。

できれば日本政策金融公庫に紹介実績のある認定支援機関を利用する

日本政策金融公庫と常時、コンタクトを取っている会計事務所であれば、ベテランの審査担当者を紹介してもらえるので、おざなりな対応をされたり、誤解をうけることがなくなります。

さらに、できれば、銀行勤務経験のある専門家がいる事務所を選んだほうがよいでしょう。

創業融資は、都市伝説が多いので、実際に銀行実務を経験し、銀行の論理がわかっている専門家がいる事務所を選んだほうが望ましいです。

金融は、貸し手側の経験が実際になければ、貸し手側の恐怖感や論理は、なかなか理解できません。

コンサルタントの役割

まれに融資を引き出すために、特別のノウハウや近道があると主張するコンサルタントがいますが、その言葉を信じてはいけません。

そんなものがあれば日本の大半の銀行はつぶれているでしょう。

創業時に公的融資を引き出すためにはひたすら正道を押し進んでゆくしか道はありません。

金融機関の鉄則は返せる会社に貸すのが原則です。それが金融庁の強力な指導である以上はそれ以外の選択肢は金融機関にはないのです。

上記の成功条件をクリアして、返せる会社であることを納得させる以外に公的創業融資を引き出す方法はありません。

間違った努力をして創業融資をうけるチャンスをふいにしてしまうことのないようにしましょう。

 

上記で述べた、創業時に公的融資を受けるための成功条件は、あたり前のことばかりです。

ただ、経験のない方にはこの当たり前のことを失敗せずに実行するのが難しいので、コンサルタントが必要となるのです。

山登りのガイドに似ています。

頂点にたどり着くにはガイドがいたほうがはるかに安全だし確実です。

ご不安を感じられたら、ご遠慮なく、当事務所の無料相談をお試しください。

当事務所は、無料相談の後に、営業電話等は一切かけませんので、ご安心してご活用いただけます。

創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

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お付き合いのある日本政策金融公庫のベテラン融資担当者と1時間ほど、お話しする機会がありました。

いままで1万社ちかい、創業融資を担当されてきたそうです。

創業融資の審査では、次の3点が大切と強調されておられました。

この3点は、制度融資にも共通することなので、ぜひ、注意をしてください。

 

財政状態(自己資金)がしっかりとしていること

簡単にいうと、資産から借金を引いた純資産がプラスかということです。

プラスであっても、クレジットカードローンなど金利の高いローン残高は、よく問題とされます。

ただ、残高が残っていれば、だめということはありません。

さらに、延滞も、一度でもあればだめということはありません。延滞が1、2度ぐらいしかなく、概ね返済状況が良好であれば、それだけで否決されることはないそうです。

将来的に、資金収支が回るようであれば、なんとかなるようです。

 

住宅ローンは、金額は大きいのですが、低金利の借り入れですし、毎月の返済額も決まっています。

また、資産としての家と土地があります。

したがって、多くの場合、問題となりません。

 

事業経験があること

公庫では、未経験者は、倒産が多いというのが通説です。

出資する経営者が、自ら事業経験がないと、審査は厳しくなります。

 

収支見込の根拠がしっかりしていること

創業企業は、過去の実績がないので、かわりに、見込みの根拠が問われます。

まず、支出の中身が、なぜ、事業に必要なのか、明細化する必要があります。

もっとも大切なのが売上の根拠です。

たとえば、潜在顧客リストがあれば、説得力を持ちます。

不特定多数のビジネスであれば、市場調査をして、競合と自社を比較し、競合の売上から自社の売上予測を導いたりして、説得力を持たせる方法が考えられます。

そのほか、売上に根拠を持たせる方法は、さまざまです。

いずれにしても、漫然とした売上予測では、稟議が通りづらくなり、審査は厳しいものになります。

座席が10席あって客単価が5000円で、6回転だから売上30万円といった手前味噌的な予測では、通らないようです。

 

実績がある企業への融資ではないので、審査担当者に応じて、判断は、属人的になる部分があります。

ですので、審査担当者を自分のファンにするように、面談に望んでください。

以下、日本政策金融公庫の創業融資に失敗する主な原因と対策についてご説明いたします。

謝絶の履歴は、残ってしまいますので、以下の記事を参考として入念に準備をされてください。

理由1 自己資金の不足

自己資金が少ない場合は、創業融資の審査では、厳しい判断をされます。

自己資金とは、自分で貯めたお金です。

創業融資は、実際には、自己資金の2倍から3倍しか貸してくれません。

自己資金は、そのかたの創業を準備するための行動、あるいは、資金管理能力として判断されるからです。

半年分の通帳を精査されるので、知人からの借入やカードローンで一時的に調達したお金を自分で貯めたものと見せかけようとしても、簡単にばれてしまいます。

 

自己資金が少ない場合は、親族や友人からの出資や、現物出資などにより、できるだけ資本を増強してください。

親族や友人からの出資は、見せ金と思われやすいので、共同事業だという説明を計画に必ず加えてください。

現物出資とは、会社の事業に使われる車や設備などの現物を出資して資本金を増強する行為です。

 

それでも自己資本が不足する場合は、会社の強い将来性を売り込むしかありません。

見込み客や卓越した営業力があることをうまくアピールできれば、少額な自己資金でも十分な資金を借りることができます。

この戦術をとるときは、見込み客リストや、営業実績資料の作り込み方が大切となるので、できれば、経験のある専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

理由2 信用情報に傷がある

信用情報に問題がある方は、融資の審査は、不利となり、ほとんどの場合、謝絶されます。

具体的には、次の場合は、返済能力に疑問を持たれるので、厳しい目で見られてしまいます。

  • クレジットカードローン残高がある
  • ローン残高はないが過去24カ月以内に滞納がある

延納があった場合は、残高がなくとも、信用情報に記載されてしまいます。

 

延納の事実は、大きなマイナスとして働きます。

ただ、直近6カ月に、遅延がなく、かつ、自己資金と事業経験がある程度そろっていれば、創業計画書次第では、借りられることもあります。

 

また、異動情報が、信用情報として残っている場合は、まず、融資審査は通りません。

時がたち、異動情報が消えるのを待った方がよいでしょう。

異動情報とは、

  • 5年以内に、61日以上の延滞がある
  • 5年以内に、クレジットカードの強制解約、債務整理、代位弁済があった
  • 10年以内に、自己破産した

などの事実のことです。

 

個人情報は、CIC(https://www.cic.co.jp/)で簡単に確認できます。

スマホからでも簡単にチェックできます。

不安な方は、確認しておいてください。

 

なお、よく質問を受けますが、住宅ローン残高は、融資審査に影響することはありません。

理由3 税金が完納されていない

個人で事業をしていたときの税金の未納がある場合は、謝絶されます。

また、延滞の事実があっただけでも、審査は不利となります。

税金は、ほかの一般債権に優先する債権であり、借入返済に先立って徴収されてしまうということもありますが、それ以前に、日本政策金融公庫は、100%政府出資の公的金融機関であり、創業融資の原資は、国の税金ですので、その税金をはらっていない人には貸せないということです。

そもそも、税金の支払いというのは、コンプライアンスの根本であり、重大なコンプライアンス違反がある方には、貸すことができないというのが、金融機関の原則的な考え方です。

理由4 公共料金などに支払い遅延がある

水道光熱費などの公共料金家賃電話料金の支払遅延がある場合も、支払い能力に疑いを持たれるため、審査は難しくなります。

これらの事実は、過去半年から1年分の通帳を精査されて把握されます。

したがって、その期間は、支払遅延がないようにしてください。

また、通帳からカードローンを借りていることがわかってしまうこともあるので、気を付けてください。

理由5 創業計画書が幼稚

創業融資は、事業実績は問われずに、自己資金と創業計画書だけで融資の可否が判断されます

ですので、その創業計画書で手を抜いたら、審査担当者は、『大丈夫だ』と思ってくれません。

『大丈夫だ』という心証が形成されないと、お金は貸してくれません。

創業計画書で失敗された人は、次のような失敗をされています。

  • いままでの事業経験と起業する事業に関連性が見いだせない。
  • 事業内容の不明瞭で、説明もあいまいでわかりづらい。
  • 売上根拠があいまい。
  • 売上の規模や予測と原価、人件費、地代、販促費等がバランスしていない。
  • 資金繰り計画を提出していないか、あっても幼稚である。あるいは、資金繰り計画の内容を聞かれても、まともな説明ができなかった。

理由6 面接での失敗

繰り返しになりますが、創業融資は、自己資金と創業計画書だけで融資の可否が判断されます。

その創業計画書をきちっと説明する場が、面談です。

そこで、審査担当者の疑問を解消して、こちらの事業計画を理解してもらおうという努力を怠れば、よい結果は、生まれません。

面談での失敗をまとめると次のような類型に分類できます。

  • 言葉遣いや態度に問題がある。
  • 動機づけや熱意がまったく感じられない。
  • 創業計画書の中身を聞かれても、まともな返答ができない。
  • 審査担当者の質問をはぐらかして、ピント外れな回答を続ける。

日本政策金融公庫の創業融資に失敗した場合の対策

まずは、原因を把握することから始める必要があります。

原因によって今後の対策は、変わってくるからです。

 

自己資金が問題なら、お金をためるのが、ベストです。

ただ、事業経験のアピールの仕方を変えたり、潜在顧客リストを見せることによってリカバリーできる場合もあります。

 

信用情報に問題があるなら、時の経過を待って信用情報が消えるのを待つしかありません。

信用情報は、登録期間があるので、時が経過すれば解決します。

 

創業計画書が不十分であるなら、創業計画書を練り直し、ロールプレーをして、より的確に説明できるようにすれば、乗り切ることができます。

 

断られた場合には、一般的には、半年待って再度、挑戦することになります。

その間に、事業規模を小さくしてでも創業ができるなら、規模を小さくして実績を積んでください。

半年間の売上実績は、大きなアピールとなります。

実際に売る能力があるということを証明できるからです。

創業融資の申込者は、青写真ばかりなので、売上実績は審査担当者への大きなアピールとなります。

 

日本政策金融公庫の創業融資に失敗する原因は、たった一つというよりも、いくつか要素が複合的に組み合わさった場合の方が多いです。

したがって再チャレンジも、いくつかの対策を組み合わせて対応することになります。

創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

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起業当初は、想定外の事態が起こり、資金不足になることもあります。

ですので、起業家は、融資はとりあえず受けておいた方が無難です。

日本政策金融公庫などの創業融資を受けるために、クリアしなければならない条件を列挙いたしました。

  • 開業する店舗や事務所と仮契約をしていますか。 開業する場所が特定できる状態でないと借入はできません。
  • 売上先は確保していますか。 企業相手なら潜在顧客リストがあると借りやすくなります。
  • 売上の見積もり根拠はしっかりとしていますか。 根拠とは、たとえば、飲食店なら予定地の通行料、商社、メーカーなら、サラリーマン時代の販売実績です。
  • 経費の見積もりはできていますか。 経費には、生活費(役員報酬)も含まれます。
  • 毎月、いくらなら返済できますか。 売上から経費を控除した利益が、基本的には、借金の返済に充てられる金額です。まずは、いくらなら返せるかを計算します。返せる額の範囲内で、融資額は決めるべきです。でないと倒産していまいます。返済額可能額からまずは『借りてよい額』を決めましょう。
  • 自己資金はありますか。 自己資金は、100万円以下だとちょっときびしくなります。自己資金がすくないと、開業のための準備姿勢がなってないとか、あるいは、資金管理能力がないと評価されることがあるからです。
  • 設備投資額は明確になっていますか。 設備投資とは、機械設備、器具、車両、ソフトウェア、敷金、保証金などです。見積りを必ず取ってください。
  • 当初の運転資金は十分ですか。 最初の在庫投資や、売上が伸びるまでの資金や、売上が入金するまでの資金は充分ですか。
  • 借入額を決めましょう。 設備投資額と運転資金から自己資金を引いたお金が『借りるべきお金』です。『借りるべきお金』が『借りてよいお金』を越えてしまっているなら、設備投資額と運転資金を見直して切り詰めてください
  • 果たしたいミッションは明確ですか。 動機付けがしっかりとしてないと創業融資では評価を下げられます。
  • どうやって競合に差をつけますか。 創業前も創業後もつねにこの問いを自分に問いかけ続けないと、長くは生き残れません。融資においても当然にこの問いは投げかけられます。

日本政策金融公庫の融資制度には、認定支援機関を利用することを条件としているものもあり、専門家が認定支援機関であれば、利用できる融資制度の幅が広がります。

たとえば『中小企業経営力強化資金』です。

金利が低く設定され、借入の上限額も高く設定されている融資制度です。

選択肢が広がるという点では、認定支援機関を活用することには、メリットがあります。

 

ただ、税理士の間では、認定支援機関となるのは、トレンドなので、多くの税理士が登録しています。認定支援機関だからといってその専門家がかならずしも、資金調達が得意で、日本政策金融公庫と繋がりが強いとは言えません。

 

日本政策金融公庫と繋がりのある専門家を使わないと、利用できる支店は、もよりの支店となります。

また担当者は、支店側が勝手に決めてしまいます。

一方、提携している専門家だと、支店と担当者を指定することができます。

日本政策金融公庫にかぎらず、金融機関は担当者によって姿勢や対応が異なります。

やる気まんまんのひともいれば、とっつきづらい人もいます。

創業者にとっては、融資は初めての経験で、不安だらけです。

しかも絶対に失敗は許されません。

積極的で柔軟な担当者を指定できることには、メリットがあります。

 

また、その専門家が日本政策金融公庫の支店や担当者から信頼を得ていれば、担当者は、多少の融通はきかしてくれます。

助け舟を出してくれたりまします

借りれらる可能性が高くなるということです。

これは当然のことです。

まったく見ず知らずの人を審査するのと、信頼できる筋から紹介されるのは、態度が異なったものになるのは、人間心理の常道でしょう。

 

ちなみに、当事務所は、中期経営計画によって、すべての顧客の経営をサポートしています。

通常の会計事務所よりも、黒字化率が高いのが特徴です。

黒字の会社が多いので、倒産する会社は、あまりありません。

ですので、日本政策金融公庫からすると、当事務所経由で貸した貸付金は焦げ付きが平均よりも明らかにすくなく、当事務所の作った創業計画書や支援体制には、大きな信頼を寄せていただいております。

支店の幹部のかたとも定期的にお会いさせていただいております。

 

創業融資の無料個別相談を実施中 詳細はこちら