銀行借入のためには、お金の流れのシナリオが大切です。

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

銀行からお金をかりるためには、資金使途と返済財源を明らかにする必要があります。
資金の使い途を明確にし、返済する財源が十分にあることを根拠だてて説明しないと銀行はお金を貸してくれません。
この『資金使途と返済財源』を難しく考えすぎてうまく説明できない経営者が少なくありません。
要は、使ったお金が、より大きなキャッシュインを生み出すことをわかりやすいシナリオで説明すればよいだけのことなのですが、ピンと来ていない方がほとんどです。

二つの例をあげて、説明のコツを紹介しましょう。

物を仕入れるためにお金を借りるのであれば、それが売れて、売掛金となり、入金するプロセスを具体的に描写してください。
『借りる100万円でAという商品を買うつもりです。
1か月以内に、120万円で売れます。
掛けなので、回収は、さらにその1ヶ月後になります。
余裕をみても3カ月後には、確実に借入金を返済できます。
Aという商品は、いままでも、売れ行きが良かったので売れ残ることはありません。
念のためにAという商品のいままでの売上実績をお見せしましょう。』
とても強いシナリオですね。

設備の場合も同様です。
たとえば、あらたに店舗を出すとしましょう。
『あらたに店舗を出店したいと思っています。
内装と保証金で、1,000万円がかかります。
売上が年間3,000万円で、税引き後営業利益と減価償却費の合計は、年間200万円の予定です。
すなわち、毎年200万円のキャッシュインがあらたに生み出されます。
したがって、借入金は、5年で返済できます。
他の店舗の過去の営業実績から判断して、この売上目標は、無理なく実現できます。』
こんな感じです。

コツは、お金の流れを物語風にわかりやすく語ることです。
借りたお金が、在庫や設備に転じ、それが、具体的にどれだけのキャッシュを生み出すかを間断のないひとつのシナリオとして描くのです。
さらに、過去の実績からしてそのシナリオに問題がないことも根拠づけます。
根拠資料は、シナリオを強化する役割を負っています。
金貸しに大丈夫だと思わせるには、貸したお金が貸した以上のお金を生み出すプロセスを明らかにすることが大切です。
この金の流れの物語こそが、銀行マンが求める『資金使途と返済財源』なのです。
資金を調達することは、とりもなおさず、ビジネスを拡大することです。
そのためには、流れるような自然なお金のシナリオが求められます。
優れた経営者になるためには、シナリオライティングの技術も身につける必要があるのです。

general

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