信用金庫から借入するメリットとデメリット

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

メリット① 小さな会社にやさしい

信用金庫と付き合うメリットは、なんといっても小さな会社にもやさしく対応してくれるということです。
小さな会社に対しても定期的に顔を出して、資金需要がないかを聞きとってくれます。
銀行は、敷居が高いと思っているベンチャー企業の経営者にとっては、とてもありがたいことです。
メガなどは、少なくとも5億円ぐらいの売上規模がないと相手にしてくれません。
売上が小さいと借せる金額が小さくなってしまい、事務工数がかかってしまうので、収益性を重視している大手銀行にはうまみがないのです。

メリット② 貸し渋り・貸し剥がしをしない

不景気が続くと、借金を返せない会社が増え、不良債権が増加します。
不良債権は費用となるので、銀行の自己資本は減少します。
自己資本比率の低下を避けなければ、最悪の場合は、業務停止に追い込まれてしまうので、体力のない銀行は、貸し渋り・貸し剥がしを始めます。
貸し渋り・貸し剥がしは、銀行の総資産を減らせるので、短期間に自己資本比率を改善することができるのです。
銀行が一旦、貸し渋り・貸し剥がしの方針を立てると、各行員は、その達成額で評価されるので、手のひらをかえしたように貸し渋り・貸し剥がしに走ります。
とくにメガは、ドライに行動する傾向が顕著です。
それにくらべて、信用金庫や地方銀行は、地域密着型の銀行なので、メガほどには、冷徹に貸し渋り・貸し剥がしをすることはありません。
信用金庫は、比較的安心して長期的に付き合うことができるのです。

デメリット① でも金利が高い

デメリットとしては、金利が平均でメガなどよりも1%、地方銀行よりもだいたい0.5%は高いということです。
これは、信用金庫が欲深いからではありません。
信用金庫は、小さな融資取引を積み重ねているので、その分だけ、事務工数も多くなり、人件費がかさみます。
例えば、1億円を1社に貸しても、1千万円を10社に貸しても、銀行の金利収益は変わりませんが、銀行マンは10社の取引先を回らなければなりませんし、事務処理も会社ごとに発生しますので、工数は10倍になります。
コストが10倍になるということです。
信用金庫は、少額の融資取引が多いので、コストがかかってしまっているのです。
この余計に生じるコストをカバーするために金利をやや高めに設定しています。
ただ、メガや地方銀行だからといって常に金利が安いとは限りません。
金利は格付けに応じて決定されるので、メガの提示した金利のほうが、信用金庫の提示した金利よりも高いということもあります。
メガが、その会社に対する信用格付けをとても低く見ている場合には、逆転現象が起こりえます。

デメリット② 資金量

信用保証協会の融資の場合には、信用保証協会の保証付き融資が中心となります。
信用保証付き融資は、無担保保証の一般保証枠がありますので、貸し出せる金額には、おのずから限界があります。
信用金庫も、プロパー融資を出してくれますが、資金量が大手銀行ほどには潤沢ではありませんので、億単位のお金になってくるとハードルが高くなってきます。
売上が5億円を超えるぐらいになったら、運転資金も億単位のお金が必要となってくるので、融資の依存割合を地方銀行、商工中金、メガにシフトしていく必要があります。
会社が大きくなったら、昔からの付き合いだからといっていつまでも信用金庫だけに頼っていてはいけません。
資金量に限りがあるので、必要な資金を調達できない恐れがあるからです。

general

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