予算管理で利益を絞り出しましょう

国税庁の調査によれば、中小企業の7割は赤字です。
一方で、予算管理をしている企業の6割は黒字というデータがあります。
23万社の中小企業の財務データを分析した結果なので、信頼できる数値です。
予算管理を実施することにより、黒字化率が30%も改善できるのです。
予算管理は、コストをほとんどかけずに実施できる経営手法です。
やらなければ損です。
上場企業は、ほとんどが黒字です。
上場企業は、大手が多いので売上は確保しやすいかもしれませんが、その分、人件費など固定費の負担が大きいので、黒字化するのは、はたで見るほど楽ではありません。
労働法へのコンプライアンスがあるので、人は簡単に首にできません。
それでも、黒字化企業が多いのは、予算管理体制がしっかりしていることが背景にあるといわれています。

予算とは、いわば、資源配分計画です。
売上は、どれぐらい達成できるか。
その売上代金を、仕入れ、人件費、販売費にどのように配分するのか。
それにより、どれだけの純利益が稼げるか。
将来のために、どんな投資をするか。
投資のための原資が利益でカバーできなければ、残りの必要資金をいかに調達するか。
予算とは、最適な資源配分を通じて利益を極大化するための計画です。

ただ、計画どおりにものごとは進みません。
計画と実績との差異をモニターしなければ、経営はこけます。
予算は、作成するのと同じぐらいに、毎月、実績との差異を分析し続けることが大切です。
予算を作成して、実績との差異を毎月分析して、『どうしようか』と悩み続けていれば、会社が赤字に陥ることはまずありません。

しかし、中小企業には、管理作業にコストをかける余裕はありません。
教科書に書かれているような面倒くさい予算管理をするだけの人員がいません。
そこで、簡便的な予算管理の方法をご紹介します。
手続きは、一見すると簡便ですが、それでいて予算管理の強力な利益生み出し効果を享受することができます。
ステップごとに予算管理の方法を説明いたします。

1.利益目標を設定する。

中小企業の場合は、利益目標は、経営者がトップダウンで決定するべきです。
中小企業の社員は、利益意識があいまいであることが多いので、大企業にように、幹部の意見を集約するというプロセスをとったら、いつまでたっても利益目標は決まりません。
まず、過去の実績の推移から、将来のなりゆきを予測します。
成り行き予測をすると、7割の中小企業は、赤字が継続し、ほっておけば債務超過状態となります。
それを回避する戦略、戦術を考え、会社を強くするために稼がなければならない最低限の利益目標を、社長と会計事務所が協議して決定します。
会社のことをよくわかっている社長と手慣れた会計事務所が協議するので1~2時間の協議で利益目標は決まります。
大企業にように利益目標の設定に1か月もかける余裕は、中小企業にはありません。

2.予算作成

売上予算、目標限界利益率、人件費予算、その他の経費予算の4つの個別予算を作成します。
第一ステップの利益目標を実現するための予算です。
大企業のように現場に予算案を一から作らせていたら、物事は前に進みません。
中小企業のスタッフは仕事を掛け持ちしていることが多く、また予算管理の仕組になじみがない人が多いからです。
これも社長と会計事務所が、協議して設定します。
具体的には、前年度の実績をもとに、目標利益から逆引きして、予算目標を決めます。
ここで作る予算は、単純なものとするのがコツです。
中小企業は、複雑な予算体系を維持管理することができないからです。
人員計画、在庫計画、投資計画等も必要ですが、最初は、あえて作成する必要はありません。
まずは、売上予算、目標限界利益率、人件費予算、その他の経費予算からスタートしましょう。

3.差異分析とアクション

さまざまな角度から、予算目標と実績の差異分析を分析し、今後のアクションを検討するステップです。
差異分析により、戦略の練り直しから戦術の変更まで実施します。
SWOT分析等により、戦略そのものを考えなおし、ターゲット、製品などビジネスの大枠ををみなおしてもらう場合もあれば、営業手法等の個別の戦術の変更を検討してもらう場合もあります。
中小企業の場合には、差異分析を現場に丸投げすると何も結論が出ないことが多いので、これも社長と会計事務所が一緒に分析を実施します。

4.社員の評価と連携させる。

一方で、社員ごとに細分化しなければならない予算もあります。
売上、目標限界利益率は、社員や部門ごとに細分化して責任をもたせます。
予算の達成状況で評価します。
社員や部門ごとに達成状況を公開すれば、生産性は、数十パーセントは改善します。
大赤字の会社でも黒字化できます。
ここで大切なのは、達成状況を公開することです。
経理がこそこそ資料とつくっているだけでは、効果はありません。
個人ごとに業績が測定されているという意識を、社員にもってもらうことが大切なのです。

中小企業の場合には、個人や会社の業績にかかわらず、年齢や経験をもとにおおざっぱに給与を決めてしまっています。
いまの世代はそれでは動きません。
予算目標の達成状況と人事考課を結びつけることにより、社員の動機付けをさらに、強めることができます。

個人ごとの予算達成状況を公開して、さらにそれに基づいて報酬を決める。
これにより、社員の生産性は飛躍的に改善します。

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