会計の本質はシミュレーション

会計の本質的な目的は、過去の経営成績の提示ではありません。

たしかに提供しているのは過去情報ですが、本質的な目的は、将来において社長に正しい意思決定をしてもらうことです。

さまざまな意思決定に対応して、利益や資金繰りがどう変化するのを理解させ、適正に企業を運営してもらうのが目的です。

意思決定の数の分だけ、予測計算をして、どの意思決定がベストからを判断します。その意味で、会計の本質は、シミュレーションです。

 

シミュレーション計算は、とても重要です。

会計データにもとづいたシミュレーションを伴わない、経営の意思決定は、大抵が間違っているからです。

予想とはことなった経営結果を生み出してしまうのです。

 

たとえば、ある会社が、業績が横這いなので、価格を下げて売上数量を増やそうとしているとします。

この場合、つぎの三つの要素を考慮する必要があります。

・価格の引き下げがもたらすマイナス効果。売上単価がさがれば、当然に、粗利率も下がります。

・販売数量増加による売上増大効果

・仕入れ増加による原価低減効果

これらの効果を緻密に予測して、総合的に勘案し、最終的に損となるか得となるかを判断します。

ベストの結果となるぎりぎりの判断をします。

会計データを基礎とする、シミュレーションなしには、価格引き下げをやるべきかどうか、どこまで下げられるかは、正しくは判断できません。

 

顧客や商品の集中、取捨選択もシミュレーションなしには決められません。

たとえば、手間がかかるが、利幅がとても少ない顧客がいるとします。

思い切って、取引を停止したいと思っていても、経営者は、確証がなければ、売上を減らすのが怖くて、なかなか契約を切ることはできません。

失う粗利というマイナス要素と、削減できる営業人件費、販促費、物流費のコストというプラス要素を正確に総合勘案しなければ、判断はできないのです。

商品構成の変革も同じことです。粗利の高い商品に集中して本当に、利益がでるのかは、簡単には判断できません。

その商品を切り捨てることによって減る粗利と、削減できる営業コストを適正なデータに基づいて、比較検討しなければ、判断はできないのです。

さまざまな会計データをひっぱってきて、予測計算をしないと、期待に反して逆に利益が下がってしまうこともあるのです。

 

人的投資

どれだけ人を雇えるか。また、給与水準はどう設定するか。

これはすべての経営者を常に悩ます重大意思決定です。

この意思決定は、会計シミュレーションなしには、行えません。

人が戦力化するには、時間がかかります。

売上増大効果が見込めるのは、遠い将来です。

ですので、しばらくは、先行投資です。

コストが先行します。

ただ、効果発言が遅いといっても、人的補強がなければ売上が増加し続けるはずがありません。

綿密なシミュレーションしなければ、どの規模の人的先行投資をどの時期に実施できるのかは、判断はできません。

 

設備投資

設備投資も人的投資と同様です。

長期借入で買うわけですから、当然に、借金を完済しても、おつりがくるだけの利益増大効果が期待できなければ、投資はできません。

この利益は単年度の利益ではなく、長期的なスパンで考える必要があります。

長期的に十分な利益増大効果のある投資をしなければ、会社は長期借入金を返せずに資金繰りがつまり、立ち行かなくなります。

また、利益増大効果は、増加する粗利、関連する人件費、経費を網羅的に集計する必要があります。

多くの会社でこの利益増大効果は、借金を返せるぎりぎりの場合が多いので正確な計算をしないと、会社を窮地に追い込む誤った投資をすることになります。

 

中計との関係 

ここでいう会計にもとづくシミュレーションとは、中計とほぼ同じ意味です。

中期経営計画というと、どうも固定した目標という誤ったイメージを持たれるかたがいるので、あえてここでは、シミュレーションといっているのです。

中期経営計画は、実は、なんどもなんども作り直すものです。

意思決定の組み合わせの数だけ、中期経営計画はあります。

数多くのシミュレーションの中から、ベストの結果を選択します。

言い換えれば、多数のシミュレーションが、多数の誤った意思決定を排除してくれるのです。

経営環境をさまざまに予測して、なんども異なるシミュレーションを実施し、最適解にたどり着く作業なしに、正しい意思決定はできないのです。

この慎重さがなければ、会社は、潰れます。

 

当事務所の姿勢 

すべての顧客にこの会計データに基づくシミュレーション作業を実施しています。

年に一回しかお会いしないお客様で、中計のための料金をいただけない場合でも、よほどの時間的な制約がないかぎりは、実施するように心がけています。

正しい意思決定なしに、企業に生存はないからです。

正しい意思決定に導き、企業を生存させるのが、われわれの使命だと思っています。

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