創業融資はとりあえず借りておいたほうがよい

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

赤字でも黒字でも資金は必要になる

ビジネスは、想定外の出来事の連続です。
事業計画どおりにいくことはまずありません。
サラリーマンとして事業経験が長いかたでも社長として仕事をやるのは初めてのはずです。
社長という頂点からの風景は、サラリーマン時代とはちょっと違います。
計画どおりに事業が進むことなどないのです。
一番、多いのが、軌道にのるまで予想より時間がかかってしまうケースです。
もちろん、事業経験があれば、やがては持ち直します。
経験がある方は、似たような苦難はどこかで経験しているので、乗り切り方がわかるのです。

ただ、赤字期間が想定よりも長くなると資金繰りが計画より悪化します
赤字で資金繰りが悪化した場合、銀行は、なかなかお金を貸してくれません。
赤字補填のためには、金はかさないというのが、銀行の基本発想だからです。
銀行は、前向きな投資のためにしか、お金を貸さないのが建前なのです。
そこで、あれこれ理由をつけてお金を引き出すわけですが、この作業は、思っているよりも手間と時間がかかります。

一方、創業融資は、実績なしに創業計画書という青写真だけでお金を貸してくれます。
借りやすいのです。
借りやすいときに借りておいて、苦しくなったときに備えておくというのは、財務的には健全な発想です。
金利は、2%前後と格安ですし、節税効果もあります。
とても安いので、財務的な安全性を保つための保険料だと考えればよいのです。

また、事業をやっていく中で、さらに拡大したい、人を雇いたい、車や設備を買いたいといった資金ニーズがでてくることもあります。
そのときにも、余裕資金をあらかじめ確保しておけば機動的に機会をとらえて一気に行動を起こすことができます。
資金調達に1ヶ月かかってしまえば、アクションをおこすのがそれだけ遅れ、売上機会を喪失してしまいます。
すでにある余裕資金を使えるなら、機会ロスはなくなります。

実績があると借りやすい

信用金庫や銀行は、融資審査のときに、会社の実績だけでなく、定性的な評価も行います。
定性的な評価とは、数字化しづらい経営の実力も評価するということです。
具体的には、市場の成長性、経営者の能力、販売力、技術力、計画立案能力などです。
この定性的な評価基準のなかでも重んじられているのが、融資の実績です。
つまり、お付き合いがどれだけあるかです。
借入と返済の実績があるのとないのとでは、借入時の対応は、まったく異なります。
新規貸付だと1ヶ月ぐらいはかかってしまいますが、融資の実績があれば、早ければ1週間で貸してくれます。
将来、事業を拡大したいときに機動的に資金を調達するためにも、日本政策金融公庫からはとりあえず、借りておいたほうがよいのです。

日本政策金融公庫から借りていると、ほかの金融機関から借りやすい

日本政策金融公庫の融資審査を通ることは、会社に信用を与えます
事業をさらに拡大したい、人と採用したいといった資金ニーズが出てきたときに、この信用があると、他の金融機関の審査は、各段に有利になります。
とくに信用金庫の受けは、よくなります。
信用金庫で制度融資を借りるときなど、スムースに資金調達ができるでしょう。
日本政策金融公庫で、無担保・無保証の創業融資を借りておけば、ノーリスクで会社の信用を高めることができるのです。

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