信用金庫、地方銀行、メガバンクのどこと付き合えばいいの?

「信用金庫、地方銀行、メガバンクのどこと付き合えばいいの?」

これは、お客様から、よく聞かれる質問です。

ずばっとお答えしたいのですが、一概には、どのタイプの銀行が良いと断言することはできません。

それぞれに一長一短がありますので、そこを理解したうえで、自社の現状を考慮して付き合う銀行を選定されるべきです。

信用金庫は、地域密着型の銀行なので、小さな会社にも足しげく通って資金需要にこたえてくれようとしてくれます。

小さな会社は、すくなくともひとつの信用金庫とは、お付き合いするべきでしょう。

ただ、金利は高めです。資金調達が一般顧客からの預金にたよっており、資金市場から調達する比率がメガバンクに比べると劣っているためです。また、貸し出し規模が小さいので、顧客あたりの事務コストがかさんでしまうのです。

1社に10億円を貸して、2%の金利をとるよりも、1千万円を100社に貸し出して2%の金利を取るほうが、はるかに手間がかかります。人件費がかさみますね。ですから、貸し出し金利は、ちょっと高くなるのです。地方銀行よりも、平均して0.5%、メガバンクよりも1%は高くなります。

ただ、言い換えると小さな会社に対する小規模な貸し出しにもちゃんと対応してくれているということです。ベンチャー企業からすればちゃんと相手にしてくれると解釈することもできます。

地域密着型なので、貸し剥がしや貸し渋りをしているという噂がたつのを恐れているので、小規模な会社も、親切に付き合ってくれます。

 

地方銀行も、地域密着型です。信用金庫よりも、金利も安く、大きめの資金需要にも答えてくれます。その分、信用金庫よりもちょっと敷居が高くなっています。

保証協会付の融資が中心となります。信用保証協会からは、信頼が厚いので、保証協会付の融資をひっぱるときにはとても頼りになります。メガバンク経由で断られた融資が、地方銀行経由だとOKになることもあります。

地方銀行は、地元では存在感が強く、殿様商売の観があります。しかし、首都圏の支店ですと、地元と違って、優良な貸出先が多くはないので、営業に積極的だということです。

 

メガバンクは、金利も安く、資金量も豊富なので、大口の融資に強いのが特徴です。ただ、小さなベンチャー企業に対しては、はっきり言って冷たいです。

よく言われるのは、資金の引き上げが早いということです。だめだなと思ったら、さっと引いてしまうので、小さなベンチャーは気をつけて付き合う必要があります。

メガバンクは、保証協会付の融資よりも、プロパー融資を借りるときに力を発揮します。保証協会付の融資は、1億円程度が限界です。それを超えると、銀行のプロパー融資を使わなければ、運転資金や設備資金が調達できなくなり、事業に差し障りが出てきます。銀行から調達すべき資金量がその程度になったら、メインのすくなくとも1つは、メガバンクにする必要があります。

成長しているベンチャー企業は、メガバンクと早めにお付き合いを始めておくべきでしょう。

 

信用金庫のメリットとデメリット

▼メリット@ 小さな会社にやさしい

信用金庫と付き合うメリットは、なんといっても小さな会社にもやさしく対応してくれるということです。

小さな会社に対しても定期的に顔を出して、資金需要がないかを聞きとってくれます。

銀行は、敷居が高いと思っているベンチャー企業の経営者にとっては、とてもありがたいことです。

メガなどは、少なくとも5億円ぐらいの売上規模がないと相手にしてくれません。

売上が小さいと借せる金額が小さくなってしまい、事務工数がかかってしまうので、収益性を重視している大手銀行にはうまみがないのです。

 

▼メリットA 貸し渋り・貸し剥がしをしない

不景気が続くと、借金を返せない会社が増え、不良債権が増加します。

不良債権は費用となるので、銀行の自己資本は減少します。

自己資本比率の低下を避けなければ、最悪の場合は、業務停止に追い込まれてしまうので、体力のない銀行は、貸し渋り・貸し剥がしを始めます。

貸し渋り・貸し剥がしは、銀行の総資産を減らせるので、短期間に自己資本比率を改善することができるのです。

銀行が一旦、貸し渋り・貸し剥がしの方針を立てると、各行員は、その達成額で評価されるので、手のひらをかえしたように貸し渋り・貸し剥がしに走ります。

とくにメガは、ドライに行動する傾向が顕著です。

それにくらべて、信用金庫や地方銀行は、地域密着型の銀行なので、メガほどには、冷徹に貸し渋り・貸し剥がしをすることはありません。

信用金庫は、比較的安心して長期的に付き合うことができるのです。

 

▼デメリット@ でも金利が高い

デメリットとしては、金利が平均でメガなどよりも1%、地方銀行よりもだいたい0.5%は高いということです。

これは、信用金庫が欲深いからではありません。

信用金庫は、小さな融資取引を積み重ねているので、その分だけ、事務工数も多くなり、人件費がかさみます。

例えば、1億円を1社に貸しても、1千万円を10社に貸しても、銀行の金利収益は変わりませんが、銀行マンは10社の取引先を回らなければなりませんし、事務処理も会社ごとに発生しますので、工数は10倍になります。

コストが10倍になるということです。

信用金庫は、少額の融資取引が多いので、コストがかかってしまっているのです。

この余計に生じるコストをカバーするために金利をやや高めに設定しています。

ただ、メガや地方銀行だからといって常に金利が安いとは限りません。

金利は格付けに応じて決定されるので、メガの提示した金利のほうが、信用金庫の提示した金利よりも高いということもあります。

メガが、その会社に対する信用格付けをとても低く見ている場合には、逆転現象が起こりえます。

 

▼デメリットA 資金量

信用保証協会の融資の場合には、信用保証協会の保証付き融資が中心となります。

信用保証付き融資は、無担保保証の一般保証枠が8千万円ですから、貸し出せる金額には、おのずから限界があります。

信用金庫も、プロパー融資を出してくれますが、資金量が大手銀行ほどには潤沢ではありませんので、億単位のお金になってくるとハードルが高くなってきます。

売上が5億円を超えるぐらいになったら、運転資金も億単位のお金が必要となってくるので、融資の依存割合を地方銀行、商工中金、メガにシフトしていく必要があります。

会社が大きくなったら、昔からの付き合いだからといっていつまでも信用金庫だけに頼っていてはいけません。

資金量に限りがあるので、必要な資金を調達できない恐れがあるからです。

 

銀行マンの評価のされ方

銀行からお金を借りたければ、銀行マンと仲良く付き合っていかなければなりません。

銀行マンと仲良くするためには、彼らがどう評価されているのかを知る必要があります。

かれらも人の子です。

自分の評価、すなわち、給料とか出世が大切でないはずがありません。

 

銀行というと暗くて厳格なイメージがあります。

どちらかというとお役所的な印象をお持ちのかたも多いと思います。

銀行員は、公務員と同様に減点評価されているのではないかと思いがちです。

 

しかし、それは全くの誤りです。

銀行員ぐらい、加点評価されている職種はありません。

営業ノルマが数字で与えられ、営業成績に基づいてドライに評価されます。

 

営業ノルマは多岐にわたりますし、職種によってもウェイトは異なります。

経営者にとって接点となる渉外担当者の評価は、新規融資先、長期の融資額、マル歩(信用保証付き融資)で決まります。

そのなかでも、新規融資先の獲得は、最も高いウェイトが置かれています。

銀行の売上は、利息です。

売上を伸ばすには、新規融資先を開拓しなければなりません。

しかし、新規融資先の開拓は容易ではありません。

どんな会社でもよいわけではありません。格付けで正常先に該当する会社でないと返済が危ういので、融資審査を通りません。お金を貸したら確実に返してくれる会社を開拓しなければならないのです。

どこの銀行でも、格付けで正常先に該当するお客を次から次へと開拓できる渉外担当者はめったにいません。

新規融資先をたくさん開拓できる渉外担当者は、銀行ではスターです。給料や昇進も優遇されます。

成績優秀者には、さらに頭取賞、理事長賞、専務賞といった表彰もあたえられます。

銀行マンは、営業成績を確保するために必死に働いているのです。

銀行マンと太いパイプを作るためには、かれらが置かれている環境や動機付けを理解して接する必要があります。

銀行の選び方

どこの信用金庫や銀行と付き合ったらよいか迷っている方は少なくないでしょう。

わたくしどももどこの銀行がよいかと聞かれることがよくあります。

 

融資を引き出せるかどうは、その銀行の支店長や担当者の姿勢といった個別要因にも影響されますので一般的に優劣を付けるのは難しいのですが、財務体質の良い銀行のほうが、融資に積極的な傾向があります。

 

信用金庫や銀行にも儲かっている銀行とそうでない銀行があります。

いわゆるメガを言われる3行でさえ、財務力には差があります。

自己資本比率が低かったり、あるいは、不良債権比率の高かったりする銀行は、融資に積極的な姿勢をとりづらいです。

自己資本比率の悪化を防ぐには、短期的には、貸付金総額を抑える必要があります。

貸付金総額を増加させると、総資産が増加するので自己資本額が同じであれば、自己資本比率は悪化してしまうからです。

銀行は自己資本比率が一定値以下まで落ちると金融庁に是正措置を発動されてしまうので自己資本比率の維持は、絶対的な経営目標です。

自己資本比率や不良債権比率は、銀行や信用金庫のホームページで情報を公開していますので、簡単にチェックすることができます。

不良債権比率が高く、貸出金総額が減少傾向にある銀行や信用金庫に借入を依存するのは、慎重に検討したほうがよいでしょう。

 

貸付金総額を抑えることを、役所は遠まわしに経営合理化を実施していると表現しています。

いわゆる「経営合理化」を進めている銀行や信用金庫は、中小企業庁のサイトで公開されていますので、参考にしてください。

メイン銀行にするつもりの銀行が、経営合理化に取り組んでいたりすれば、肝心のときに事業資金を貸してもらえない恐れがあるので、要注意です。

 

今後は、銀行の不良債権比率は急増するだろうといわれています。

表面的に今の数字はよいが、潜在的に不良債権を大量に抱えている銀行は、少なくないと言われています。

現在の比率だけでなく、収益率や不良債権比率の推移に着眼するべきでしょう。

不良債権が増加傾向にある銀行や信用金庫は要注意です。

最新の財務状況をホームページでチェックしておいたほうがよいでしょう。