企業経営は、絶対的な経営目標として、無借金経営を目指すべきです。

この場合の無借金とは、実質的な意味での無借金です。

『預金-借入金』の残高が、プラスとなればOKです。

形式的に借入金がゼロとなる必要はありません。

いざというときにために銀行とは付き合っていたほうがよいので、借入金そのものは、あってもかまいません。

借入実績や返済実績がないと、いざというときに銀行は貸してくれないからです。

 

なぜ、無借金経営を目指すべきなのでしょうか。

それは、より大胆な投資が可能となるからです。

市場が変化してそれに呼応するために投資が必要になったときに会社が借金漬けでは、投資余力は限定され、環境変化に対応しきれなくなります。

 

既存の事業が行き詰まり、新たな投資をしなければならない。

しかしすでに何億円も借金がある。

こんな状況を想定してください。

あらたな投資が利益を生み出すには、時間がかかります。

利益が出たとしてもわずかです。

借金の返済原資は、基本的には利益です。

すでにある借金とあらたな借金の返済が、新たに生み出される利益にのしかかってくるのです。

ですので、投資の収益性が明確でないかぎりは、不用意に資金調達をして投資をするべきではないのです。

 

不動産投資のための借入は、どうでしょうか?

借金をして自社不動産を持ちたがる社長がいますが、これは誤りです。

土地を買うと賃料がなくなるので、見せかけの利益が増えますが、借入返済という新たな財務負担が生じますので、会社の財務力は弱くなります。

とくに、東京近郊でへたに不動産投資をすると財務負担が重くのしかかります。

資金繰りが悪くなるので、結果として、会社の資金調達能力も低下します。

損益だけでなく、資金繰りをまでも考慮すると、自社物件は財務的には正しい選択ではありません。

 

創業時の借入は、どうでしょうか?

創業時の借入は、本業への投資なので、不動産投資とは、性格が異なります。

創業時には借金は、絶対に必要です。

事業を始めるのに、自己資金がたまるのを待っていたら、想定した事業構造を作れないので、ビジネスチャンスを逃すことがあるからです。

創業時の設備投資や在庫などへの投資は、必要であれば、躊躇なく、創業融資により賄うべきです。

創業者を支援する低金利の長期資金が、政府系金融機関により豊富に提供されています。

中には、無担保無保証という破格の要件の融資商品もあります。

利用しない手はありません。

 

ただ、大切なのは、その借金をできうるかぎり早い段階で0にする経営計画を立て、実行することです。

リアルな経営計画を立て、無借金経営を実現するためのロードマップを明確にイメージするべきです。

 

具体的には、経営計画の目標利益から逆引きで、売上数量、売上価格、仕入れ単価、採用人員等を決め、緻密に経営をしていく必要があります。

単に金額だけでなく、人員、売上数量までち密に計画を立てることにより、資源配分を適切に決定し、利益を極大化することができます。

経営計画は、正しい意思決定をもたらし、経営者をより早くゴールへ導いてくれます。

 

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借金をするというと、赤字と結びつけて考える方はすくなくありません。

しかし、経営という観点からするとこの先入観は、間違っています。

上場している優良企業の決算書を見てください。

借入をしていない会社は、ほとんどありません。

借金=赤字ではないのです。

 

利益を伸ばしている会社は、借金が減るどころか、借金が増えていきます。

利益を伸ばすためには、運転資金と設備資金を投入する必要があります。

その資金を借金で調達するために、借入が増えていくのです。

利益を伸ばすためには、借金は必要なのです。

 

理解しやすいように、簡単な設例で、ご説明します。

次のような業績の会社を想定しましょう。

 

≪借入による資金調達前≫

  • 売上 100百万円
  • 原価 80百万円
  • 粗利 20百万円
  • 人件費 12百万円
  • 販管費 8百万円
  • 利益 0円
  • 粗利率 20%

 

この会社が10百万円の資金を借りたとします。

金利は、2%としましょう。

会社の業績はどうなるでしょうか?

 

この資金で商品を買って売ります。

在庫が年間に6回転すると想定しましょう。

結論を操作したという印象をぬぐうために、回転期間は控えめに想定しています。

まず、売上は、次の額だけ増加します。

 

10百万円×6回転×売価125%=75百万円

 

10百万円の資金で6回仕入をして、それに25%の利益を乗せて売るので、年間で、75百万だけ、売上が増加します。

売上の総額は、100百万円から175百万となります。

粗利は、175百万円の20%、すなわち、35百万円となります。

 

経費は、どれだけ増加するでしょうか?

売上に正比例して増加してしまうと考えがちですが、決して、そんなには増えません。

固定費は、売上ほどには増えないからです。

売上が増えたら営業マンは増えるかもしれませんが、比例的には増えません。

管理者や社長の頭数は、変わらないでしょう。

ですので、人件費は、比例的には増えません。

事務所の広さも、それほど広げる必要はないでしょう。

地代は、ほとんど変わらないでしょう。

かりに、ここでは、人件費と販管費の増加率は、50%としましょう。

これでも、結論を操作したという印象をぬぐうために、かなり高めに設定しています。

すると、人件費は、18百万円、販売管理費は、12百万円になります。

借入をしたので支払利息も、20万円発生します。

金利は、2%です。

資金調達して、資金を在庫投資へ投入した後の業績は次のようになります。

 

≪借入による資金調達後≫

  • 売上 175百万円
  • 原価 140百万円
  • 粗利 35百万円
  • 人件費 18百万円
  • 販管費 12百万円
  • 支払利息 0.20百万円
  • 利益 4.8百万円

 

利益の増加額の方が、支払利息より大きいので会社の利益は増加します。

利益管理をしっかりとしている企業では、事業の収益率は、金利よりもはるかに高いのが通常です。

借金をして事業資金を投入すれば、利益は増加するのです。

なぜ、借金が悪という誤解がうまれるか?

それでは、なぜ、借金=赤字というイメージが定着しているのでしょうか?

赤字体質の会社が、経営改善を怠って赤字をたれ流し続け、借入により赤字補填をし続けることがあるからです。

計数管理に関心を示さない経営者が、よく陥るわなです。

 

借入による赤字補填は、麻薬のようなものです。

銀行に適当にうそをついてお金を借りられれば、経営改善という苦しみから逃れられるので、くせになるのです。

解決が難しい経営課題に取り組む必要もありませんし、社員を説得する必要もありません。

しかし、銀行は、膨れていく借金にいつまでも付き合ってくれません。

銀行は、赤字補填目的の融資はしないのが原則です。

ですので、やがては銀行に見捨てられます。

銀行に見捨てられると、資金が回らなくなるので、倒産します。

結果として、借金が残ります。

倒産すると、赤字補填のために借りた借金が残ってしまうのです。

これが、借金=赤字というイメージが定着してしまっている理由です。

 

しかし、借金が赤字を作り出しているのではなく、事業の赤字が、借金を作り出しているのです。

経営の失敗により、お金が無駄に使われていることが、借金の原因であり、借金が赤字を生み出しているわけではありません。

事業の収益性が、しっかりとしており、1~2%という低金利より上にありさえすれば、借金をすることより利益は減るどころか、事業規模の拡大により増加するのです。

銀行融資を調達する方法

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銀行借入には、4つの形態があります。 

  1. 手形割引
  2. 手形貸付
  3. 証書貸付
  4. 当座貸越

手形割引は、お客から受け取った手形を銀行に買い取ってもらって資金調達をする融資形態です。

手形は、満期日にならないとお金を払ってもらえません。そこで、期日前に銀行に手形を買い取ってもらい、期日前にお金を調達するのです。銀行は、期日に対応した支払利息分を控除してお金を払い込んできます。

例えば、6月末期日の手形100万円を、3月末に99万円で買い取ってもらいます。この差額の1万円は、金利相当額の割引です。

会社に信用がなくとも、割り引いてもらう手形が、しっかりした会社が発行したものであれば、割り引いてもらえます。上記の借入方式の中ではもっとも実行してもらいやすい融資形態です。

貸借対照表に借入金として計上されないので、財務比率を一切、悪化させないというメリットもあります。

ただし、手形が不渡りとなった場合には、会社は買い戻し義務があります。ですから、銀行は振出人と、割引を依頼する会社の双方の信用をチェックします。手形がちゃんと決裁されるか、万が一決裁されなくとも、割引をした会社に買い戻し能力があるかを事前に検討します。

会社に信用がついてくると、銀行は手形割引の枠を設定してくれます。枠の範囲内であれば、銀行は、すぐに割引をしてくれます。

 

手形貸付は、会社が銀行を受取人として手形を振り出して、額面の金額を借りる方法です。手形を担保として銀行からお金を貸してもらう方法です。

主に、短期資金の借入に使われます。短期資金ですので、使途は、運転資金に使われることがほとんどです。

運転資金とは在庫資金とか、掛売り代金とか、税金、賞与資金です。

返済方法は、半年から1年以内の、分割返済か一括返済です。

在庫や売掛金にあてる運転資金は、常に必要とされる資金なので、ころがされることがよくあります。ころがしとは、期日になったら同額で借りかえることをいいます。この場合は、実質的には、長期で資金を借りることになりますが、形式的には短期で決済と借入を繰り返します。

手形貸付の手続は後述の証書貸付のように面倒な手続は不要ですので、手続面だけをみれば便利な融資制度です。

担保は手形です。期日までにお金を返済しないと手形が不渡りとなり、銀行取引が停止となってしまう恐れがあるので、手形は担保として強力です。

 

証書貸付は、金瀬消費貸借契約書という証書に基づいて長期の資金を借りる方式です。借入金額、金利、返済期間、返済方法が記入され、署名と実印による押印が求められます。

使途は、設備投資か、あるいは、長期に必要とされる運転資金に使われます。

設備投資に使われる場合には、設備の経済的な耐用年数や会社のキャッシュフローをみながら返済期間が決定されます。

会社は、売掛金や在庫から買掛金の残高を控除した運転資金を恒常的かつ長期的に必要としています。この常に必要とされる運転資金を長期資金で借り入れることもあります。証書貸付は、このような長期的な運転資金の調達のためにも使われます。

返済条件は、長期の分割返済となるのが一般的です。返済間隔は、毎月~半年毎というパターンがあります。

返済期間が長期になる分だけ、銀行にとってはリスクがあるので、会社に信頼がないと、証書貸付は実行されません。

また、銀行は、返済期間が長くなり、短期貸付より高いリスクをとらなければならないので、金利は高めに設定されます。

 

当座貸越は、当座勘定を使って、一定金額(極度額)までお金を自由に借入をすることができる融資制度です。

返済期限に定めがないので、銀行のとるリスクは、証書貸付よりも高くなります。そのため、融資形態のなかではもっとも実行が困難な融資制度です。相当の信用がないと銀行は、当座貸越を設定してくれません。

通常は、担保が設定され、その評価額の範囲内で極度額が設定されます。

無担保で、当座貸越が設定されるのは、優良企業に限られます。