★ 顧客満足度調査

中小企業では、あまり顧客満足度調査は実査されていません。
その手間をかける体力がないということもあるでしょうが、やり方がわからないというのが実情でしょう。
ただ、統計的に分析したことはありませんが、、実施している企業の方が、実施していない企業よりも、業績ははるかによい印象をもっています。
また、経営者は、常に漠然とした不安に苛まされていますが、顧客満足度調査の活用の仕方がわかってくると、それから、かなり解放されるようです。
お客が求めているものをより確実に把握できるようになるからです。
経営者は、ストレスで病気になる方も多いので、不安からの解放は、大きなメリットでしょう。

そこで、劇的な効果を収めた事例を、ひとつご紹介します。
社会人向けのセミナーを実施している会社で、数年前から、講師に対する顧客満足度調査を開始しました。
講師は、全部で5人いました。
評価は、おおむね、平均化していましたが、ただ、一人だけ極端に評価の低い講師がいました。
この評価の結果は、講師へ公開されました。
その評価の低い方は、20代後半の女性だったのですが、とてもショックを受けたようでした。
本人には、自分の授業がつまらないとか、わかりづらいという自覚がなかったのです。
本人は、かなり追い詰められたようです。
一時は、生徒が恐くて、会社にいくのがいやな時期もあったようです。
また、他の講師の方々は、ちょっと個性が強いかたが多かったので、どちらかというと気の弱い彼女は、居心地が悪い思いをすることがよくあったようですが、この調査をきっかけとして、周囲の目が厳しくなり、冷たい扱いをうけ、孤立を深めていったようです。
退職は、時間の問題かもしれないと、社長は、心配したそうです。

彼女は、なんとかしなければならないと感じ、当初、授業で媚びるような態度をとり始めたようです。
しかし、それは逆効果でした。
評価は、まったく改善しないどころか、悪化しました。
そのことが、彼女をさらに傷つけたようです。
媚びても評価が落ちるのですから、自分をみじめに感じたのでしょう。

社長は、『気にする必要はないんじゃない。お客は、気まぐれだからさ。』とおおよそ、教科書に載っている顧客満足度調査のフィードバック手法とは真逆の適当なアドバイスを続けてなんとか元気づけようとしたようです。
このくだりを社長から聞いたときは、あまりに教科書的な対応からかけ離れているので、思わず笑ってしまいました。

ただ、この出来事が、彼女に考えるきっかけを与えたことも確かなようです。
自分のセミナーのどこがわかりづらいのか、どう説明すれば伝わるのか、真剣に考え始めたのです。
少しずつですが、セミナー内容に、彼女なりに創意工夫を凝らし始めました。
顧客の評価も、少しずつですが、改善していきました。
もともと、まじめな方だったので、その後も、努力を継続しました。
1年後には、ダントツの人気講師となり、会社の売上をひっぱっていくようになりました。
実際の顧客満足度の得点表をわたしも見させてもらっていたので、この急成長の話には、大変に驚きました。
彼女が、新人講師の教育もするようになったので、会社全体のレベルも飛躍的に改善し、営業利益も一桁、増えました。
厳しい現実を突きつけることが、彼女個人だけでなく、会社全体の大きな成長につながったようです。

ところで、社長の彼女への対応を不思議に感じたので、なぜ、そんないい加減なアドバイスをしたのか、質問しました。
社長がいうには、彼女は、もともと思いつめる傾向のある子なのであえてなにも言わなかったといっていました。
彼女の場合は、具体的なアドバイスは、彼女の生真面目な性格を考えると逆に追い詰めてしまうことは自明だったので、意図的に放置したということです。
彼女が、大きく成長できたのは、彼女の地道の努力もありますが、彼女の性格に対応して、的確に対応した社長の度量の大きさのおかげでもあると思います。
顧客満足度調査の成否は、そのやり方にあるのではなく、そこから得られた情報を活用するリーダーシップにあるのです。
みなさんが、顧客満足度調査を実施する場合の、参考となれば幸いです。

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