大きな設備投資があるときに消費税対策

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

消費税の計算方式は、次式によります。

受け取った消費税-支払った消費税=消費税の納税額(還付してもらえる額)

支払った消費税の方が大きければ、そのマイナス分は還付してもらえます。
次のような場合には、還付となります。

  • 経費等が多額に発生し、しばらく赤字が続くと予想される。
  • 多額の設備投資を予定している。
  • 輸出業を営んでおり、売上の大半が免税取引である。

しかし、還付を受けるには次の要件を満たしていなければなりません。

  • 1つは、「課税事業者」であること。「免税事業者」は、消費税の納税義務がないという特典がある反面、支払った消費税の方が大きくても還付は受けられません。
  • もうひとつは「簡易課税方式」でなく「原則課税方式」を選択していることです。「簡易課税方式」とは、受け取った消費税に対して一定の比率をかけて、消費税を算出する方法です。支払った消費税の多寡に関わらず、消費税の納税額は、受け取った消費税から計算されてしまいます。大きな買い物をして、支払った消費税が大きくても、受け取った消費税に一定率を乗じて納税する消費税額が決まるので、還付を受けることは出来ません。

大きな設備投資を予定しており、消費税の還付が期待できるときは、「免税事業者」であるならば「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となることを選択し、また、「簡易課税方式」を採用しているのであれば「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して、原則課税方式を選択しておく必要があります。
この届出書は強制ではなく任意提出のため、提出を忘れやすいので注意が必要です。
これらの届出の提出期限は各課税期間開始の日の前日(設立1期目は事業年度終了日)までに税務署に提出する必要があります。
課税事業者を選択すると2年間は、継続しなければなりません。
2年目に納税が発生しても免税事業者に戻ることはできません。
長期的なシミュレーションを実施する必要があります。
また、適用をやめようとするときには、やめる課税期間初日の前日までに、「課税事業者選択不適用届出書」を税務署に提出しなければなりません。

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