お金をためる経営
儲かっているのか、損をしているのか、まったくわからないという経営者は、少なくありません。
例えば、利益は出ているはずなのに、現預金残高が減っているということがよくあります。
経営者は当然に不安になります。
税理士に利益がでていると言われて節税対策のために保険に入ったのに、なんで、預金金残高はこんなに減っているのだろう?
税理士に聞いてもちゃんと答えてくれない。
本当は、お金を失っているのではないだろうか?
とても不安だ。
お金を貯めるには、どうしたらよいのだろう?
思い返せば、いつも資金繰りに追われてきた。
税理士から渡された試算表を穴が開くほど見ても、自分が金持ちになっているのか、貧乏になっているのかわからない。
こんな悩みを多くの中小企業の経営者が抱えています。
試算表は、多くの場合、節税対策や銀行対策のために、さまざまな決算操作がされているので、本当に、儲かっているのかどうかわかりません。
また、一方では、お金の動きだけを見ていても、やはり、業績を反映しているのか、一時的な要因なのかは、判断がつきません。
理由は簡単です。
会社は、一時的な資金支出を無数に行っているからです。
在庫投資をしたり、仕入を先行させたり、売掛が一時的に膨らんだり、設備を買ったり、借入を返済したりしたときは、お金が減りますが、業績が落ちているわけではありません。
業績とは無関係の一時的な資金支出です。
会社の業績が良いのに資金が減ることは、よくあるのです。
逆のことも起こります。
業績が悪くとも、一時的な資金収入によって現預金残高が増えることもよくあります。
ただ、一時的な資金収入は長続きしません。
本質的な業績がわるければ、やがて資金残高は減少に転じます。
現預金の動きだけでは、会社の業績はわからないのです。
しかし、なんの指標や適切な分析もなく、やみくもに経営していれば、いつまでたってもお金はたまりません。
どうしたらよいのでしょうか?
安心してください。
実は、ちゃんとした指標と分析手法は、あります。
しかも、お手元の試算表から簡単に計算できます。
それは、付加価値と資金繰り表です。
付加価値が増え続ける限りは、長期的には、一時的な資金支出に影響されることなく、必ず、社長はリッチになります。
付加価値とは、社長の本当の給料といってもよいでしょう。
さらに、資金の動きが、資金繰り表で合理的に説明できれば、やがては、付加価値の累積が、長期的に会社の資金力を強化していくはずです。
付加価値とは?
付加価値の計算は簡単です。
当期利益に、役員報酬、社長が使った福利厚生費、節税商品の経費を足したものが、付加価値です。
これが、会社の作りだす付加価値です。
これが社長の本当の給料です。
計算は、本当にシンプルです。
試算表の当期利益に、役員報酬を足して、社長が個人的につかった交際費や、車両費、旅費などを足し、さらに節税対策で経費にした保険料などを加えるだけです。
もともと役員報酬は、節税目的で設定された枠にすぎません。
資金がないので、計上された役員報酬の全額が払えずに、社長借入金が増加していことはよくあることです。
役員報酬が増えても、その分会社の利益が減るので、社長の実質的な利益は変わりません。
だから、当期利益と役員報酬を合算して判断するのです。
社長が使った福利厚生費は、実質的には社長が享受する利益です。
節税のための支出がかなり含まれていることがあります。
なので、これも足します。
保険のような節税対策は、実質的には、含み益を作りだしているのでこれも加えます。
数十秒ではじき出せますのでぜひ、ご確認ください。
付加価値が前期から増加しているようであれば、経営は間違っていません。
しかし、付加価値が減少していたら、経営を徹底的に見直す必要があります。
会社は、弱くなりつつあるわけですから、商品・サービスの内容、営業・販促の方法を徹底的に見直す必要があります。
もっと儲かる商品・サービスへ重点を少しずつ移してください。
資金繰りは、一時的な立替払いが多すぎて業績の判断指標にはなりません。
それに対して、付加価値は、会社の業績を表しています。
付加価値が伸びていれば、業績は改善しており、社長の本当の給料は伸び続けています。
資金繰り分析を平行して実施する。
付加価値と資金繰りの乖離については、資金繰り表によってその原因を明らかにする必要があります。
原因は、減価償却費か、運転資金、固定資産購入、借入やその返済のいずれかです。
ただ、いくつかの要因が複合しているので、資金繰り表を作らないと解析はできません。
しっかりと解析して、資金減少が本当に一時的なものなのか、業績が悪化しているのかを確かめる必要があります。
会計事務所や経理に頼んで、作ってもらってください。
プロなら簡単に作れる資料です。
まず、付加価値分析をして本当に儲かっているかどうかを確かめてください。
次に、資金繰り表で、資金の動きに問題がないかを確認してください。
付加価値がプラスで、かつ、付加価値と資金繰りの乖離が、一時的なものであったり、または、健全な投資や銀行取引によるものであったりすれば、経営方針に問題はないと判断できます。
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