工藤聡生
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。
銀行ごとに異なる内容の決算書を出したらどうなるか?
会社によっては、銀行によって違う内容の決算書を提出していることがあります。
銀行によって決算書に対する指摘が異なるためです。
同じ銀行でも銀行マンごとに決算書を見て指摘することが異なることもよくあります。
銀行に喜ばれる望む決算書を捏造して、お金を借りようと考えるのです。
銀行同士は、顧客の決算内容について情報共有することは決してありません。
ですから大丈夫だろうと考えがちですが、他のルートとから銀行に見つかってしまうことがあります。
信用保証付き融資の場合には、銀行に渡した決算書は、信用保証協会に提出されます。
銀行ごとに異なる内容の決算書を出すと、信用保証協会に異なる内容の決算書が提出され、そこで悪意の決算操作がばれてしまいます。
信用保証協会に粉飾を指摘されれば、銀行も穏便に解決することはできなくなります。
帝国データバンクが調査にくると多くの会社は、決算書を見せます。
決算書を見せないと評点を下げられるからです。
帝国データバンクに見せた決算書と、銀行に提出した決算書が異なれば、粉飾は発覚してしまいます。
銀行の90%は、帝国データバンクの信用調査報告書に目を通しているからです。
二つの異なる決算書を見つけたら、銀行は、厳しい対抗措置をとってきます。
少なくともどちらかの決算書は、真実ではなく粉飾をしていることが、完全に証拠づけられるからです。
新規融資はもちろん断られます。
一括返済をもとめられたり、損賠賠償訴訟を起こされたりすることもあります。
確固たる証拠があるので、言い逃れは、できません。
決算書をいくか作っていると、経営者自身が実態かわからなくなってしまうことがよくあります。
はじめのうちはわかっていますが、2、3年と決算操作を続けていると過去の決算操作と当期の決算操作が混同してきて、正しい数値がわからなってきます。
会社に利益が出ているのかどうかも、わからなくなってきます。
複数の決算書を作っている会社では、会社経営者自身が会社の実態がわからなくなり、会社の倒産を早めることになるのです。
大げさな話ではありません。
これは悪意の決算操作をしている会社では、頻繁に起こる現象です。
粉飾決算から抜け出す方法
粉飾は、会社をどんどんとむしばんでいき、いつかは、会社は、袋小路に追い詰められます。
銀行に正直に相談しても助けてはくれません。
そんなことをしても、金融支援を打ち切られてしまうだけです。
粉飾から抜け出すには、経営計画に基づく、計画的な解消策しかありません。
経営計画に基づいて解消策を実施すれば、会社を強くするだけでなく、節税も図れます。
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