自己資金を膨らませる裏ワザ

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

お店を開きたいと思っています。
ただ、自己資金が100万円しかありません。
創業融資で借りられるのも、よくても200万円ぐらいと聞きました。
これでは資金が足りません。
そこで、あるコンサルタントから裏ワザを教えてもらいました。
教わった裏ワザとは、次のようなものです。
友人から100万円を借りて、定期預金に入金をして通帳記帳する。
自己資金の100万円も一緒に定期預金にして記帳する。
合わせて定期預金の残高を200万円にする。
その後、お金をおろして友人に返済する。
定期預金通帳は、そのままにしておく。
自己資金の残高を倍にすることができるので、借入額も倍の400万円以上にすることができる。
ただ、この方法がうまくいくのか不安です。
日本政策金融公庫の面談のときは、通帳以外のこともいろいろと調べられると聞いています。
はたして、この方法で切り抜けられるのでしょうか?
数人の友人に頼んだところ、数日の間だけであれば、100万円を融通してもらえそうです。
友人には絶対に迷惑はかけなくないと思っていますが、この方法なら、友人に損害を与えることはないので、試してみたいと思っています。
ご意見をお聞かせください。

この手法も含めてさまざまな裏ワザと言われる手法は、よく耳にします。
結論から言うとこの方法は、お薦めできません。
理由は単純です。
ばれやすいのです。
日本政策金融公庫の審査担当者は、通帳の残高だけを見るわけではありません。
お金の流れを把握しようとします。
ですので、突然に入金してきた100万円の出所を説明できなければ不審に思います。
こちらの説明が納得できなければ、理由も言わずに謝絶をしてきますし、その面談の記録はずっと残ります。
ご質問者さまの場合には、突如入金したお金を合理的に説明するのは難しいでしょう。
日本政策金融公庫が通帳をみるのは、お金の流れから、ローンの有無、ローンの返済状況、税金・公共料金・家賃の支払い状況、収入の推移を把握するのが目的です。
通帳は、面談当日まですべての通帳を見せなければなりませんので、100万円が返済のために引き出されていたら、何の意味もありません。
すくなくとも、面談まではお金はいれっぱなしにしておかなければなりません。
ただ、審査担当者は、質問者様の収入と支出の実態を把握してしまうので、100万円の入金はとても不自然に思うでしょう。
合理的な説明は、無理なはずです。
裏ワザと言われながら、じつはともて幼稚な方法なのです。
本来貸してもらえたはずの200万円が借りられなくなるだけでなく、悪い履歴が残ってしまいます。

人間は、うしろめたいことをしていると、どこか暗い雰囲気をかもしだします。
裏ワザに頼る人は、事業計画もおざなりになりがちです。
結果として幼稚な事業計画を元気なくおどおどと説明することになってしまいます。
下手な裏ワザに頼るよりも、緻密な事業計画を作って情熱的に語ったほうが効果的です。
日本政策金融公庫には、自己資金が少なくとも創業者には金を貸せと、プレッシャーがかかっています。
資金は不足しているが、パワーと計画性にあふれた創業者だと思ってもらうようにエネルギーをそそぐべきでしょう。
そうすれば、資金調達額を増額できるチャンスも出てきます。
わたくしどものお客でも、前向きなエネルギーと緻密な事業計画で、自己資金の3倍以上の創業融資に成功したかたはたくさんいます。
エネルギーを前向きな方向に使われることを強くお勧めします。

general

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