節税をやっていたら銀行借入は、減らない

長期的には、利益が発生しなければ、現金は増えませんし、借金も減りません。
利益の大きさと現預金とは、基本的には、正比例関係にあります。
これは、揺るがない事実です。

ただ、短期的には、利益が出ても現預金が減ったり、借金が逆に増えてしまうこともあります。
さまざまな要素が入り込み、利益と現預金の関係は複雑だからです。
利益以外に、税金、運転資金増減、固定資産投資、借入金の増減も、現預金の増減に影響しています。
ただ、利益以外の要素は、所詮は短期的な要素です。
在庫が増えたり、固定資産の取得を取得して、現預金が減ったとしても、それらの投資が間違ったものでなければやがては現預金残高は増加します。
在庫を減らしたり、回収サイトを短くして売掛金を減らしても、利益が出ていなければ、やがては現預金残高は減少していきます。
一時的な効果しかありません。
恒常的に、現金を増やして借入を減らしたければ、利益を計上するしかないのです。

利益が出ると税金が発生します。
それがいやで、やたらと節税対策に走る人がいます。
しかし、それは、永遠の貧乏を選択するのと同じです。
節税は、必ず、何らかの経済価値の減少を伴ないます。
いや違う、例外はあるだろうとおっしゃる方もいます。
実際に、税理士が、さまざまな手法を喧伝しています。
役員報酬、退職金支給、役員の福利厚生費、短期前払費用、少額減価償却資産、中古資産の減価償却、税額控除、特別償却、保険、不良資産処分、未払計上、引当金計上、資産の評価減、売上・リベートの計上時期、節税商品、赤字会社との合併、消費税免税、課税事業者選択等々、いろいろとあります。
しかし、注意深く観察すれば簡単に理解できることですが、すべての節税対策は、経済価値の減少をその前後に伴います。
結局は、現預金の支払いを伴うのです。
税金をゼロをするということは、会社に残る経済価値を放出して、ゼロにするという行為と同じであり、結局、いつまでたっても、お金はたまりませんし、借金は減りません。
節税対策は、本質的にお金を貯めるとか、借金を減らす行為とは真逆の行為なのです。

良い例が保険です。
保険は、現金支出をともなうので現金が減ってしまいます。
ましてや節税効果は、繰り延べ効果しかありません。
いつかは税金は発生するのです。
保険商品によっては、支払った保険料よりも多くの解約返戻金が戻ってくるものがあります。
しかし、保険料が巨額であり、投資の固定期間が長く、その利回りは、きわめて僅少です。
投資としても、絶対に選択すべきでない商品ばかりです。

航空機のオペレーティングリース、不動産投資などの、そのほかの節税商品も同様です。
節税効果は所詮は繰り延べにすぎません。
巨額な資金が必要となり、投資を固定する期間が長く、しかも実質的な利回りがわずかなものばかりです。
純粋な投資としても、疑問符のつくものばかりです。

利益はそのままにして税金だけを減らすというのは、実は不可能なのです。
人気の節税商品は、税金の繰り延べに過ぎず、しかも投資期間が長く固定される割には、利回りがとても低く、富の形成を阻害するものばかりです。
不可能なことをやろうとするから、お金がまったくたまらなくなるのです。

節税努力が全部、無駄と言っているのではありません。
経済価値の喪失がすでに起こっているなら、とることのできる税務上の恩典はすべて拾いあげなければなりません。
所得分散、退職金、株式譲渡による資金還流などの低い税率を適用できるスキームは、時には、とても有効です。
適用できる税務上の恩典は、すべて適用するべきでしょう。
必要以上の税金を払うことは、避けなければなりません。

しかし、税金を減らすために不必要な経済価値の減少を招くことは愚かなことです。
節税努力のほとんどは、この不必要な経済価値の減少であり、富そのものの形成を阻害しています。
リスケになった会社の社長や、会社が潰れそうになった社長さんが良く相談に来られます。
彼らが、よく言うのが、『良い時期にもっと会社にお金をためておけばよかった』です。
このセリフは、よく耳にします。
『あのときに変なことをせずに、会社に資金を残しておけば、こんなに苦しい思いをすることはなかった』と嘆いている方は少なくありません。
会社には、税引き後利益しか残らないのです。
税金を零にしようとおもえば、必然的に利益もゼロ、税引き後利益もゼロとなります。
その結果、会社には富が残らず、すかすかの栄養失調の状態が続きます。
ちょっと業績が落ちれば、簡単に倒れてしまうのです。
会計事務所の多くのがこのことを理解せずに、誤った指導をしていることが、中小企業の7割が赤字に陥り、財務体質が貧弱である要因の一つです。
税理士に勉強が足りないのです。

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