担保がなければ借りることはできないのか?

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

担保がなければ銀行は大きな資金は貸してくれないと考えている経営者がいます。
あるいは、誰も保証人になってくれないからうちは調達できないと思い込んでいる経営者もいらっしゃいます。
いずれも都市伝説とはまではいきませんが、ちょっとした勘違いです。

担保や保証人を『保全』といいます。
借り手が返せなくなったときの、保険のようなものです。
借り手が返せなくなったときに、担保物件を売却したり、保証人に代位弁済をさせたりして、貸金を回収するのです。
保全手段はないよりもあった方が有利であることが確かですが、銀行は実は、多くの中小企業の経営者が考えているほどには、保全を絶対視はしていません。
銀行が重視しているのは、会社の資金繰りの実態です。
借りたお金を事業資金に投入して、果実をつけて増殖できる会社かどうかが、もっとも大切なのです。
保全は2次的な判断要素にすぎません。

土地は一般的には路線価で評価され、掛け目をかけて担保価値は計算されます。
掛け目は一般的には、70%程度です。
路線価自体が市場価値の80%程度で評価されているので、担保価値は、市場価値の6割弱でしかありません。
収益物件については市場価格で評価をして掛け目を乗じることもあるようですが、いずれにしても、とても保守的に担保評価をしています。
それでも、不動産を競売にかける際には、膨大な事務コストが発生します。
また、競売にかけたとしても、時価よりもはるかに低い価格で落札されてしまうことは少なくありません。
ときには、落札者が出なかったりする場合もあります。
不動産担保は、処分に事務工数や時間がかかる上に、確実に資金が回収できるとは限らないのです。
銀行からすると、実は、回収手段として安全・確実とは言えないのです。

また、保証人については、金融庁は、経営に参加しない第三者を保証人にするなと指導するようになりました。
銀行にとっては、金融庁の『お達し』は絶対なので、第三者保証人は保全としては、そもそも使えないのです。

銀行が重視するのは、資金繰りの健全性です。
大切なのは、会社の資金繰りが長期的には健全であることを理解させることなのです。
融資を通せる、できる銀行マンほど、会社の資金繰り実態に関心を示します。
担保や保証人を差し出すことにやっきになるのなら、むしろ、資金繰り表をきっちりと作って、会社に返済能力をあることを一生懸命にアピールするべきです。

general

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