資金繰り表の重要性

銀行がお金を貸してくれるかどうかについては、明確な基準があって、こちらがどう努力しても、結果は変わらないと感じている経営者は少なくありません。

しかし、これは大きな間違いです。

融資担当者は、実は迷った末に結論を出すケースが多いのです。

提出する資料に説得力があれば、結果をよい方向に変えることは充分に可能なのです。

 

とくに資金繰り表は、強力な武器となります。

 

資金繰り表とは、お金の出入りを表す表です。

決算書の損益計算書とは異なります。

損益計算書は、販売や仕入れの事実に基づいて会社の損益を表します。

資金繰り表は、販売代金の入金や仕入代金の支払いの事実に基づいて会社の資金繰りを表します。

販売と入金のタイミングは、多くの場合にずれています。小売やレストランの場合ですら、お客がクレジットカードで支払いをすれば、販売と代金入金のタイミングはずれるのです。

また、仕入れと仕入代金の支払いのタイミングも異なることがほとんどです。

ですので、販売と仕入の事実に基づき、会社の損益を表す損益計算書と、入金と出金の事実に基づき、会社の資金繰りを表す資金繰り表は、異なる結果となります。

損益が黒字でも資金繰りはマイナスであったり、その逆の状況は、頻繁に起こります。

 

銀行がお金を貸すときにもっとも重視するのは、使途と返済財源です。

使途が前向きであり、かつ、返済財源がしっかりしていれば問題なくお金を貸してくれます。

資金繰り表は、使途が適正であり、回収に問題がないことをアピールするための力強い訴求資料です。

 

しかし、資金繰り表を作っていない会社は、意外に多いのが実情です。

決算書とは異なり、税務署に提出することを求められていないからです。

ただ、繰り返しますが、銀行にとっては、決算書を同じぐらいに重要な書類です。

形式は、決算書と異なり、自由です。貸借対照表と損益計算書の形式は、ほぼ決まっていますが、資金繰り表には細かい作成ルールはありません。

決算書が最短の単位が月次であるのに対して、資金繰り表は、場合によっては、日繰り表が必要となります。

決算書が、在庫や売掛金の調整を通じて粉飾が可能であるのに対して、資金繰り表、とくに資金繰りの実績表は、粉飾が不可能です。

粉飾が不可能である点が、銀行が資金繰り表を重視する理由のひとつです。

 

よくできた資金繰り表は、次の条件をクリアしています。

  • 売上や仕入予測が、基礎資料に基づき、しっかりと予測されている。求められれば、一覧表を開示できる。
  • 資金使途と返済財源が無理なく説明されている。
  • 予定と昨年の実績の差異を合理的に説明できる。

この条件を満たすしっかりした資金繰り表を作成できて、かつ、経営者がそれを口頭でしっかりと説明できれば、会社の資金調達能力は飛躍的に強くなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次