中小企業の三つの経営課題

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

私たちは、多くの中小企業の社長の苦悩に接してきました。
会社の業種はさまざまですが、中小企業からよく聞く悩みには、共通性があります。

  1. 売上が伸びない
  2. 人材がいない
  3. お金が足りない

この三つの経営課題は、本当によくお聞きします。
この記事では、この三つの悩みに対する、私どもなりのご提案をお伝えします。

1.売上が伸びない

社長の頭の中には、さまざまなアイディアが眠っています。
新商品、新企画、新たな販促手法…。
ただ、アイディアのほとんどは、ちょっとした欠点や障害、コストが気になって実行に移されていません。
完全なプランを練ってから行動を起こそうと思い、行動が遅れ遅れになってしまうのです。
しかし、売上を増やすには、とりあえず、行動を起こすべきです。
無責任な言い方ですが、どんなに考えても、正しい方法なんてわかりません。
とりあえず、実行して悪い点があれば修正していく。
たまたまうまくいけばそれを拡大する。
それしかありません。
頭のなかでいじいじと考えて行動を起こさないのが一番よくないです。
結局何も変わりませんし、売上も伸びません。
売上を増やすには、行動量を増すしかないのです
行動量を増やせば失敗も増えます。
しかし、失敗しなければ、成功のコツは永遠に見えてきません。

行動量を増やすには、社長がやることは一つです。
部下の行動量が増えるようにプレッシャーを与え続けることです。
失敗はせめず、どんどん積極的に行動させてください。
失敗からノウハウが蓄積され、売上はやがては改善されます。
会社の体力を無視して行動量を増やせといっているのではありません。
あらかじめ会社の体力が許す予算を決めてその中で、行動量を増加させ、意図的に失敗を作り出してください。
長期的には、失敗が成功の礎石となり、費やした予算を超える収益がもたらされるはずです。

2.人材がいない

人材が豊富な中小企業なんてありません。
中小企業は、いまいる人材にとりあえず動いてもらうしかありません。
どうすれば動くのかを考えるべきです。
いまの若者が職場に求めているのは、安心と自己実現です。
安心して働けて、面白い仕事がしたいのです。
社長とはまったく逆のことを考えています。
社長は、パフォーマンスが悪い人材にはやめてもらいたいと思っていますし、お金になれば、どんなきつい仕事でもこなしてもらいたいと思っています。
両者が真逆なことを考えているのが、社長の苦悩の原因です。

ただ、これからは人手不足の時代です。
こちらの論理を押しつけても人は確保できません。
社長の方が折れるしかありません。
まずは、安全、安心を実現することです。
社員が安心して働ける職場を目指してください。
それには、賃金制度の整備はかかせません。

次に必要なのは、会社のビジョンを明確に伝えることです。
そのビジョンを実現するためには、これこれの貢献が必要だと説得するのです。
安全な職場が確保され、社長が魅力的なビジョンを提示できれば、社員の面白い仕事がしたいという動機づけをくすぐることができるでしょう。
上から理由も言わずに命令を強制するのと、会社の夢を共有したあとに、貢献を求めるのでは、社員の動機づけは全く異なります。
人を動かすには、自己実現したいという欲求をうまく引き出すしかないのです。
会社の活性化のためには、社長の不断のコミュニケーション努力が欠かせません。

むろん、きれいごとだけでは、前には進みません。
社長が厳しく工程管理をしなければ変革は前にはすすません。
信賞必罰の評価も必要です。
あめだけでなく、むちの部分もどうしても必要になってきます。

どんなに安全で面白い職場をつくっても、できない社員がすべてできる社員になることはありません。
人はそう簡単には変わりません。
しかし、少数のポテンシャルのある社員は、上記のステップを組めば、必ず活性化します。
継続的、反復的にビジョンを語ることにより、おもしろい仕事がしたいという動機づけをうまく引き出すことは可能なのです。

3.お金がたりない

銀行の評価は8割、決算書で決まりますので、借りやすい決算書を作ってください。
資金調達は、第一義的には決算対策で対応するのが常道です。
ただ、決算対策の効果には限界があります。
また、会社の弱点を覆いすぎると粉飾となってしまいます。
粉飾は、民事訴訟や刑事罰となることもありますので、なるべく避けるべきです。

合法な決算対策で足りない場合は、経営計画で対応してください。
経営計画書は、金融機関に会社を理解、評価させる重要なツールです。
金融機関は、次のことを知りたいと思っています。

  • 会社は、どれだ儲けているのか?
  • 借りたお金を何に使うのか?
  • 借りたお金をどうやって返すつもりなのか?

金融機関は、会社の損益と資金繰りの状況が知りたいのです。
理解が進めば進むほど、多少、無理な要求も呑んでくれます。
良い経営計画書は、金融機関の会社に対する理解を促進し、評価を改善します。

注意しなければならないのは、数字の羅列だけでは、だめです。
金融コンサルタントに作ってもらった数字の羅列をポンと金融機関にわたしても評価が改善することはありません。
数字は、現実的で実現可能でなければなりませんし、根拠も明確にする必要があります。
また、その数字の根拠を社長が理解して、説明できるようにしておく必要もあります。
社長の魂のこもった経営計画を作らないと、効果はないのです。

general

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