経営者が決算の時に気を付けるべきこと

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

まず、決算日前に会計事務所と事前検討会を実施するべきです。
そこで、ほぼ数値を固めて、関連した作業もほぼ完了させる必要があります。
大切なのは、決算日前というタイミングです。3月決算であれば3月31日前に開催する必要があります。
決算日から2か月後の申告書日直前になって、なんの対策もなくあわてて会計事務所に資料を丸投げして決算書を作成し、申告書の控をそのまま銀行へ渡すということをやっていては、会社は成長しません。
以下で述べる必要な対策が手遅れになってしまうからです。

【節税対策】

まず、実施するべきは、税額シュミレーションです。
これは、それこそ、決算日前の期中から実施するべきでしょう。
節税対策は、はやめに実施しなければ多くの場合、効果が希薄化します。
節税効果と実施時期の早さは、比例するからです。
節税は、多くの場合、現金支出をともなうので、資金繰り表とのニラメッコとなります。
投資を優先するか、節税を優先するのか、戦略的な判断を行います。
その判断のためにもシュミレーションは、早期実施が原則です。
また、税金を支払うための資金を確保するという観点からも、事前検討会の開催は不可欠です。
納税資金の確保のためとはいえ、銀行との交渉には時間がかかるからです。

【資金調達対策】

資金調達対策も、事前検討会の重要検討項目です。
決算は赤字だと資金調達上は致命的です。
一方では、見え透いた粉飾は、銀行の見抜かれます。
決算日前にシュミレーションをして、実効性のある黒字化対策を立てる必要があります。
資金調達は、節税とは逆にはたらくことも考慮しておく必要があります。
利益を圧縮しすぎると銀行の格付けに影響がでます。
銀行が気持ちよく、貸してくれるのは、おおざっぱにいえば、利益の10倍までです。
決算によって銀行の格付けは強く影響を受けるのです。
積極投資を考えている会社は、資金調達が可能な決算書となっているかどうかを検討しなければなりません。
節税のために利益を圧縮しすぎると必要なお金を貸してもらえなくなります。
税金コストも資金調達コストの一種という割り切りが必要な場面もあります。
いずれにしても、決算日まえにこれらの観点から決算対策を考察しないと手遅れとなります。
銀行からの格付けは、利益だけで決まるわけではありません。
期末時点において、一時的に借入を返済しても改善したりします。
社長借入があれば、それを資本金へ組み入れれば、かなり改善します。
これらの検討も、決算日後では手遅れなので、事前検討会で検討する必要があります。

【保険見直し】

保険の見直しも、決算のときに検討すべき課題です。
保険は、いざというときに備えたリスク対応資金です。
社長の遺族の生活を守るための死亡退職金、会社をすくなくとも半年間、維持するために必要な販管費と借入返済額に基づいて再評価します。
これらのコストは、決算が近づくにつれて、最新の数値がわかりますので、事前検討会は、保険を見直すにはよい機会なのです。

【経営計画】

来期の経営計画もこのタイミングで練ります。
決算数値には、再現性があります。
ですので、決算数値がほぼ固まれば、翌期の経営計画を練ることができます。
何にどれだけ投資してビジネスをいかに変革していくか、また、その必要資金はどうやって調達するかを、翌期が始まる前に計画検討します。
設備投資、在庫投資、売掛金増加等による必要資金を見積り、その資金をどうやって調達するのかを計画します。
決算日前に翌期のビジネスプランを描くのは経営上とても重要です。
翌期になってから経営計画を作るのでは、遅すぎます。
必要なアクションが遅れれば、機会損失は甚大です。
経営計画は、資金調達でも威力を発揮するので、作成タイミングは、事前検討会の時です。
はやめに銀行に提出して理解を得るべきです。
決算日後では遅すぎます。
それでは、投資が必要な時期までに資金調達ができなくなる恐れがあります。
経営計画を作るこつは、成長、資金調達のために、どれだけの利益を確保しなければならないのかをまず最初に決めることです。
そこから逆引きして、必要売上を決め、販売計画に落としこんでいきます。
生き残るためには、どれだけの売上が必要かをまず導き出し、そこから、生き残りに必要なコストや投資を見積もるのです。
こういった生存のための方法を考える時期は、次の事業年度が始まってからではありません。
事業年度開始前の前期末です。
でなければ、戦術、戦略のない空白期間が生じてしまいます。

general

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