銀行がリスケを嫌がる理由

リスケとは、銀行借入の条件変更のことです。

資金繰りが苦しいので、当面の返済額を減らしてもらうことです。

英語のRescheduleの略語です。Rescheduleは、スケジュールを立て直すことを意味します。

 

リスケの際は、今は資金繰りが悪いので返せませんが、時間的な猶予をいただければ、会社を立て直すことは充分に可能ですので、当面の返済を勘弁してくださいとお願いします。

無理に返そうとすると、会社がつぶれてしまい、借入金の全額が貸倒れとなってしまうので、時間的な猶予を与えることは、冷静に考えれば銀行にとっても経済的なメリットがあります。

個人なら「とんでもない」と怒り出すかもしれませんが、銀行は大きな組織なので、事務的かつ淡々と対応してくれそうな気がします。

 

しかし、現実的には銀行はリスケをとてもいやがります。

経済的な合理性が明らかな場合でもとてもいやがります。

担当者は、結構、感情的になったりすることもあります。

銀行の嫌がる理由を理解していないと、リスケをお願いしたときにあまりの対応の冷たさに気持ちが萎えてしまいますので、理由を知っておく必要があります。

 

銀行がリスケを嫌がるには、組織としての理由と銀行員個人の理由の二つがあります。

 

実は、銀行は、債権に貸倒引当金という費用勘定を計上しています。

銀行は、融資先を格付けして、格付けごとに貸倒引当金を計上しています。

格付けは、良い順にならべますと正常先、要注意先(要管理先を含む)、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先となります。

ほとんどのお客は、問題なしと評価され、「正常先」に分類されていますが、財務状況に問題のある会社は、要注意先に分類され、さらに経営破綻に陥る可能性の大きいとみなされた場合には、「破綻懸念先」に分類されます。

貸倒引当金の繰入率は、銀行によっても異なりますが、ある銀行の例を挙げると、正常先の場合には、約0.2%、破綻懸念先になると約70%も積まなければなりません。

リスケが申し込まれ場合には、融資先が提出した経営改善計画がしっかりとしていれば、リスケは実行され、多くの場合に貸倒引当金の積み増しは必要ありません。

しかし、リスケを謝絶せざるを得ない場合には、融資先は、正常先から破綻懸念先に格付けをダウングレードされ、それに伴って銀行は、貸倒引当金を積み増さなければならなくなります。元金の約70%もの金額を費用として計上しなければならなくなるのです。その分だけ、銀行の利益は、食われてしまいます。

事例でわかりやすく説明します。

仮に銀行がある会社に1億円を融資しているとしましょう。通常は、正常先として評価されていますので、銀行が積まなければならない貸倒引当金は、20万円ぐらいです。年間の支払利息は、金利1%であったとしても100万円にはなりますので、銀行は儲かります。しかし、かりにこの会社がリスケを申し出て、かつ、謝絶せざるを得なかった場合には、7,000万円もの貸倒引当金を計上しなければなりません。

銀行は大損です。7,000万円だけ利益が減少して損益計算書を傷つけますし、同額だけ自己資本も減少します。

銀行は、通常の事業会社以上に収益性をとても重視しています。

ですから、財務諸表が傷つくのは、とてもいやなのです。

これが、銀行が組織として、リスケをとても恐れている理由です。

 

もうひとつ銀行がリスケを嫌がる理由があります。

それは、銀行マン個人の理由です。

銀行マンは、実は、加点評価されているのです。

銀行というとどこか減点評価の暗い組織を思い描きがちですが、実は、数値に基づいて客観的に加点評価されているのです。

主な評価基準は、新規顧客開拓、新規融資額、長期貸付額、マル保融資額などです。

数字で客観的に評価することができる項目ばかりです。

それでは、リスケはどう評価されるのでしょうか?

リスケに成功しても何の加点もないのです。

しかもリスケは本部決裁を受けなければならず、作成すべき資料は、複雑精緻です。

リスケの申込みがあると、その融資先のモニタリングはどうしていたのだと上司かれつっこまれる上に、チェックしなければならない資料は煩雑で、かつ、加点評価の対象にならないのです。

銀行マンがリスケを喜ぶはずがありませんね。

ですから、リスケをするときには、担当者に配慮しなければなりません。

稟議を通しやすい完璧な経営改善計画書を作成して、申込みは、業務が集中していない時期を選ばなければなりません。

銀行借入金のリスケの基礎知識

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