工藤聡生
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士・税理士。
銀行による事業性評価に対応するための方法
事業性評価とは
金融機関は、いま、担保、保証に頼らず、会社の実態に基づいて借り手を評価するように金融庁に指導されています。
事業の実態を把握して、それに基づいて貸し付けることが求められているのです。
実効性が上げるために、金融庁から、さまざまな指標の公表が義務付けられています。
この公表する指標のことをベンチマーキングといいます。
すでに、顧客の経営指標の改善、貸し付け条件変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況、事業性評価に基づく融資を行っている与信先数、融資額などがベンチマークされ、公表されます。
事業の実態に基づく貸付をどれだけやっているかを公表させているのです。
本来は、顧客が金融機関を判断するための指標ですが、実際は、金融庁の方がこわいので銀行は、金融庁を怒らせないために、ベンチマーキングの数字を改善するために努力せざるを得ない状況に置かれています。
結果として、銀行の姿勢は、少しずつではありますが、確実に変化しています。
事業性評価の影響は
結果として、銀行の会社への評価の仕方が変わりつつあります。
会社の事業の実態を把握してそれに基づいて評価する傾向がだんだんと強まっています。
銀行はなにをヒアリングするか
それでは、銀行は、会社の実態を把握するために、具体的には、どんなポイントをヒアリングするのでしょうか。
主なポイントは、日本政策金融公庫の『経営ビジョンシート』を見ると理解できます。
- 何を作っているのか?
- どこから仕入れ、どこへ売っているのか?
- どの程度(量) 作っているのか?
- いくらで売っているのか?
- どのくらい儲かっているのか?
- 何人で作り、何人で売っているのか?
- 過去にどういう経営判断を行ってきたのか?
- 今後、会社をどの様に経営して行こうとしているのか?
- 外部環境はどうか?
- 競合先は?
- 課題は何か?
- 自社の強みと弱みは何か?
- 今後の見通しは?
財務を中心とした、会社の実態把握からはじまり、会社の戦略まで理解しようとしていることが伺えます。
銀行の事業性評価に対応するためには、会社側も、常日頃から、財務管理をしっかりとやり、自社の能力と適切な戦略を的確に回答できるようにしておかないとヒアリングに対応できません。
資金調達の観点からは、自社の経営状況と経営戦略を的確に説明する能力が問われるようになってきたと言えましょう。
信用保証協会付き融資には頼れない
信用保証会は、多額の貸し倒れが発生して財政がひっ迫しています。
信用保証制度は、改正され、審査は、今後厳しくなると言われています。
中小企業は、信用保証協会に頼りっぱなしの会社が少なくありませんが、今後は、事業性の評価を上げて銀行のプロパー融資を引き出す努力が、必要です。
わたくしどもの月次監査では、経営者とともに、会社の財務上の問題点と、打つべき戦略を一緒に考えるようにしているので、銀行による事業性評価に対する対応力を自然と身に着けることができます。
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