★ 星野リゾートも最初は八方ふさがりの中小企業だった

星野リゾートも最初から超優良企業だったわけではありません。

 

それどころか、現社長が会社を引きついだ時には、業績が停滞した中小企業でした。

しかも、リゾート法の制定により、大手資本が大型リゾートを建設して、観光ホテル業界に次から次へと参入していました。

大手の資本との競争にさらされた、資本力の乏しい中小企業でした。

先行きの見えない、追い込まれた状態だったのです。

 

その中で、星野社長は、一流ホテルへなるための変革に着手しました。

生き残れるかどうかわからないなかで、大志をいだいた訳です。

 

上を目指すには、サービスのレベルをあげなければなりません。

しかし、資本力の限られた中小企業なので、設備や人への投資はできません。

となれば、いまある人員で、サービスの質を上げるしかありません。

当然に、社員一人一人への要求は強まります。

ただ、業績が良いわけでなないので、給料は据え置きです。

社員からすれば、給料が上がらずに仕事が厳しくなるので、不満が高まります。

やめる人が続出しました。

3分の1がやめたそうです。

しかも、労働条件がよいわけではないので、ハローワークに求人を出してもひとは集まりません。

『星野にいったら殺される』という張り紙がハローワークに貼ってあったそうです。

やめた社員のいやがらせでしょう。

厳しい競争にさらされ、資金が不足し、人もなかなか採用できない。

いつ倒産してもおかしくない、八方ふさがりの中小企業だったのです。

 

どうすれば、この状況を打開できるか、深く悩んだようです。

サービスの質はあげたいが、だからといって、その分だけ、給与を引き上げることはできない。

どうすれば、社員がついてきてくれるのか。

そうすれば、思いを共有できるのか。

 

 社長が、まず、実行したのが、使命とビジョンの明確化です。

『リゾート運営の達人になる』というビジョンを掲げました。

『リゾート施設の運営マネジメントを手がけ、軽井沢を超えて全国展開する』と宣言したのです。

社員に仕事への意味、夢を与えようとしたのです。

仕事により深い意味を与えることにより、より大きな貢献を引き出そうとしたのです。

社長自らが、信じている夢だったので、社員へは伝わりやすかったと思います。

 

社長が会社の使命感を明確にして、将来のビジョンを描いたことは、少しずつですが、会社を確実に良い方向へ成長させる原動力にはなりました。

この言葉は、社長の心の底からの言葉だったので、訴求しました。

彼の真実の思いを伝えたものなのです。

だからこそ、行動との間に解離がなく、強い説得力をもったのです。

夢やビジョンで人々を動かしたければ、嘘や美辞麗句ではだめです。

社長自身がまずは熱くなることが大切です。

社長の本当の意思しか社員は説得できません

偽りの美辞麗句は、簡単に見破られてしまいますし、ますます、社員を遠ざける結果となります。

 

さらに、スタッフにどんどんと権限を与え、楽しみながら働いてもらえるように気配りしました。

高品質なサービスの定義は人によって異なります。

価値観や人生経験が異なる以上は、当然です。

せっかく従業員がやる気をだしても、こうるさい上司が自分の偏狭な考えを押し付けて、がみがみと口を差しはさんだら、従業員は、失望します。

『社長の期待に応えて、お客のために一生懸命やったのに、社長の口からでるのは、小言と責任転嫁だけ』ということになり、社員のやる気をたちまちに失われるでしょう。

個々の社員からやる気を引き出すには、判断に許容範囲を与えて、多少、自分と異なる考え方であってもだいたいの方向性が同じなら賞賛・承認すべきなのです。

社長は、考え方の個性を大切にしてあげたのです。

 

また、情報を公開して、社員に会社との一体感をもってもらうようにしました。

会社の数値を公開して、『社長が給料を独り占めしているわけじゃない。利益がでればみんなで共有する』というメッセージを送ったのです。

社員を共同体の構成員として扱うようにつとめました。

 

すなわち、仕事をする意味を与えてくれる使命を明確にし、社員にそれを実行する権限を実際に与え社員を共同体の一員として位置づけ利益を共有することにしたのです。

 

これらの施策は、じわじわとではありますが、強い効果が発現していきました。

会社と一体感をもって、社長とこの会社でがんばろうという気持ちが、少しずつ人々のなかで強くなっていったのです。

この社員のがんばりがサービスレベルの向上を生み、会社を強くしていきました。

 

もちろん、すぐに会社がよくなったわけではありません。

不満を持つ社員は常に現れるし、社長がどんなに夢をかたっても、通じずに辞めていく人もいます。

社員が自主的に判断して、完璧に現場を回せるようになるまで成長するには、まだまだ時間がかかったようです。

ただ、変化は、確実に蓄積し、今日の星野リゾートの礎が築かれたのです。

 

投資するカネがなくとも、利益を上げる方法はあります。

それが、ビジョンであり、権限の付与であり、人々を対等の存在として受け入れ、承認することなのです。

設備投資が成功の必須条件といわれる宿泊産業ですら、有効なのです。 

最大の経営資源であるヒトに関しては、払うべき対価は必ずしもお金だけとは限らないのです。

 

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