ローカルベンチマーキングと銀行による事業性評価

この記事の著者
代表者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政経出身、公認会計士・税理士。

ローカルベンチマーキングとは、経済産業省が推奨する『健康診断ツール』です。
英語をカタカナにしただけなので、直観的には意味がわかりづらいですが、『優良なものと比較して、改善をはかる方法』と考えてください。
優良なものの判断基準として、さまざまな基準が提示されています。

メリット

目的は、このツールを使って経営者と金融機関とが、一緒に会社の健康診断を行い、対話を深めて、金融機関に会社の事業をより深く理解してもらい、会社の成長のためにもっと積極的に支援をしてもらうことにあります。
さらに、ものづくり補助金などの申請のときに、計画の基礎にもなります。

流れ

6つの財務情報と、商流および業務フロー、4つの非財務情報といった様々な視点から、会社を診断します。
健康診断ツールなので、まず、会社の課題に気づきをもつのが、最初のステップです。
次に、その課題に対して、自社の強みを生かして会社を成長させるアイディアを出し合います。
診断は、社長が中心となって、金融機関を巻き込むのが理想です。金融機関に会社の成長可能性を理解してもらうのが、目的だからです。
金融機関と一緒に分析をすることにより、会社の課題と強み、主要施策、成長可能性を共有し、成長分野へ、より積極的な融資支援をしてもらうのです。
金融機関には、会社は、弱点を隠す傾向があります。
とにかくよいことをいって、お金を引き出そうとします。
そうではなくて、課題も含めて、自社の情報を積極的に金融機関に開示して、金融機関に、自社の強みや課題解決の後に実現する成長性を深く理解してもらうのです。
課題もわかってもらわなければ、強みは理解してもらえません。
言い換えれば、過去の数値には、表れない、強みや非財務的な会社の成長性を、金融機関に理解させるのが目的といえましょう。
金融機関は、財務以外の情報にも目を向けて会社の成長性をしっかりと捉えるべきだという考え方が背景にあります。
その意味では、数値に現れない定性情報を理解してそれに基づいて、会社の事業を評価して、融資をしなさいという金融庁が指導している事業性評価の考え方に直結しています。
ローカルベンチマーキングで使われる分析手法は、6つの財務情報、商流及び業務フロー、四つの視点です。

6つの財務情報

  • 売上高増加率 売上の対前年増加率です
  • 営業利益率 売上高営業利益率です
  • 労働生産性 労働者の付加価値に対する効率です
  • EBITDA有利子負債倍率 収益力に対する借金の相対的大きさです
  • 営業運転資本回転率 売掛金や在庫に眠っている資金の大きさです
  • 自己資本率 総資本に対する自己資本の割合です

四つの視点(非財務情報)

  • 経営者への着目 経営者自身のビジョン、経営理念、後継者の有無
  • 関係者への着目 シェア競合他社との比較、顧客リピート率、市場規模
  • 事業への着目 ITの能力、企業および事業沿革、技術力・販売力の強み弱み
  • 内部管理体制への着目 組織体制、人事育成システム、経営目標の共有状況

会社のメリット

信用金庫、地方銀行などの中小企業の身近な金融機関も、ローカルベンチマーキングを使って、会社の事業性評価を行う場面が増えているので、中小企業としても、積極的にローカルベンチマーキングに取り組むべきでしょう。

ロカベンと経営計画

経営計画は、会社の事業への理解を高めるので、銀行の事業性評価を高めてくれます。
経営計画を作成してそこから、経営課題と施策を考える作業は、ロカベンと重なる部分がとても多いので、援用できる部分が多くあります。
経営計画をつくってロカベンに臨むと、とても精度の高いものができます。
ちなみに、当事務所では、すべてのお客様に経営計画を作成しております。
ローカルベンチマーキングも、積極的に支援しております。

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