以下は、日本政策金融公庫の新創業融資制度と、代表的な制度融資である東京都の制度融資との比較です。
結論から言うと、新創業融資制度の方がすぐれた創業融資制度です。
以下、比較ポイントごとに解説いたします。
借入できる額は、大差ありません。
おおかたの調達額は、自己資金の2~5倍です。金利負担も、保証料まで含めると、ほとんど変わり
ません。
ともに、十分に低金利です。
自己資金については、ともに重視しております。
ただ、日本政策金融公庫の場合には、業種経験が豊富であれば、自己資金要件はなくなります。
自己資金0円でも、貸してくれる場合もあります。
東京都の創業融資は、自己資金要件が設定されていませんが、逆に、自己資金がない場合は、ほぼ、可能性はゼロです。
しかし、担保・保証は、新創業融資制度の方が圧倒的にお得です。
制度融資は、代表取締役が保証人となる必要がありますが、新創業融資制度の場合には、無担保無保証です。
会社がつぶれても、社長は、借金の責任を負う必要はありません。
この点は、リスクを負う起業家にとっては、大きなメリットです。
審査の厳しさは、大差はないでしょう。
ただ、当事務所の場合は、特定の審査担当者と提携しているので、日本政策金融公庫の方がよりスムーズだと感じています。
また、新創業融資制度の方が、審査に要する期間は、短いです。
制度融資は、信用金庫や信用組合と、信用保証協会のそれぞれで2重に審査があるので、どうしても手間がかかるのです。
創業時は、いかに早くスタートして初期の赤字を抑えるかが大切なので、審査期間が短いことは大きなメリットです。
新創業融資制度と東京都の制度融資は、自己資金の多寡、業種経験、創業計画書や資金繰り計画書の説得力が、調達できるか否かの重用な分岐点となる点は、共通しています。
【公的創業融資の比較表】
比較ポイント | 日本政策金融公庫の新規開業資金 | 信用保証協会を利用した東京都の創業融資 |
---|---|---|
事業の実績 | 税務申告を2期終えていない方。 決算期の回数が2回未満ということです。 | 制度融資は、創業時点からの年数です。創業5年以内ならOK |
融資限度額 | 上限は3,000万円まで(運転資金は、1,500万円まで) | 上限は3,500万円 |
返済期間 | 7年以内(運転資金) 20年以内(設備資金) 運転資金とは、仕入れ代金、人件費、家賃、未回収売掛金などの事業を運営するために必要な資金です。設備資金とは、設備や資産などを購入するための資金です。 | 7年以内(運転資金) 10年以内(設備資金) |
金利 | 2%前後 | 保証料と補助と含めて2%前後 |
保証料率 | なし | 所定の料率。但し、2分の1の補助制度あり。 |
自己資金の必要性 | 10分の1 ただし、6年以上の業種経験がある場合は、自己資金要件は、とりあえずは設定されていません。 | 自己資金の有無は関係なし |
担保・保証人 | 無担保・無保証人 担保をつける必要はないが、担保をつければ、その分だけ多く借りることができます。 | 無担保だが、社長は保証人とならなければなりません。 |
据置期間 | 2年以内 据置期間とは、利息の支払だけで元本の支払を待ってもらえる期間です。事業計画で据置期間の必要性を合理的に説明する必要があります。 実際の据置期間は、制度融資と大差ありません。 | 1年以内 |
審査方法 | 創業計画書に基づき、30分から1時間の面談を受けます。 | 創業計画書に基づき審査・面談されます。 |
申込みから融資実行までの期間 | 1ヶ月 | 1.5~2ヶ月 |
※許認可が必要な事業では、許認可を受けないと融資はおりません。ただし、申し込み時点では、許認可は不要ですので、融資と許認可手続きを同時に進めることができます。なお、飲食店の場合は、日本政策金融公庫なら営業許可前でも融資が実行されます。
結論的には、日本政策金融公庫での調達を優先した方がよいでしょう。
日本政策金融公庫ですばやく資金調達して、制度融資は、追加融資で活用するのが良策です。
日本政策金融公庫から創業融資に成功すると、信用がつくので、ほかの金融機関でお金が借りやすくなります。
追加融資で利用しようと思っている信用金庫に口座を作り、そこに日本政策金融公庫からの融資額を着金すれば、さらに信用が上積みされますので、さらに評価があがります。
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