東京都創業助成事業

この記事の著者

工藤聡生 
銀行、国際会計事務所勤務を経て開業。資金調達、事業計画による業績向上を支援している。早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士・税理士。

東京都が提供する助成金です。
上限額が300万円で、人件費や家賃をまかなうことのできる返済不要の助成金です。

募集時期

春と秋の2回です。
いつでも募集しているわけではありません。
具体的な募集時期は、『東京創業ステーション』で確認してください。

助成金額

上限300万円、下限100万円、助成率は対象経費の3分の2以内です。
助成対象期間は、2年間ですが、もらえるのは、その対象期間の中の1年分だけです。
お金がもらえるのは、交付決定から約1年後、経費を払った後です。それまでは、別途、調達した資金で事業を遂行する必要があります。

対象経費

  • 対象経費は、人件費、賃借料、専門家謝礼、特許権などの出願・導入費、広告費、備品費等です。
  • 事務所や店舗の内外装工事費は、対象外です。
  • 消耗品費、水道光熱費、通信費、接待交際費、会議費は、対象外です。

対象法人

  • 東京都内で創業して5年未満の個人事業主、法人が活用できます。法人の場合は、代表者の経営経験も5年未満である必要があります。
  • さらに、東京都中小企業振興公社による事業計画書作成支援や、東京都・公社が設置した創業支援施設の利用実績、創業者向け制度融資の利用実績、東京都創業サポート事業の利用実績などのいずれかが条件とされています。詳細な要件は、『東京創業ステーション』をご覧ください。
  • 日本政策金融公庫の通常の創業融資では、要件は満たせません。
  • 都民税を滞納していないこと。
  • 過去に創業関係の補助金・助成金を受けていない。
  • 人件費のみを、助成対象経費としていない。

申し込みの流れ、必要書類

  • 事業計画書や資金繰り表を提出する必要があります。創業融資と類似した資料ですので、創業融資への申し込みの経験が生かせます。
  • 流れは、書類審査→面接審査の順番です。申し込みは郵送です。申し込みから最終結果通知まで4カ月かかります。
  • 事業完了後に、領収書や請求書を報告書と一緒に提出し、数カ月のチェックののちに、経費が目的通りに支出されたと判断されれば、助成金が交付されます。助成金は、あくまで後払いですので、助成金をもらえるまでの資金手当ては、別途、講じる必要があります。この意味でも創業融資を利用された方がよいでしょう。
  • 5年間にわたり、事業状況の報告が義務付けられています。これはかなり手間のかかる作業です。事務局が実地調査を行う場合があります。決まりの上では、会計検査院による調査の可能性もあります。これらの調査に備えて、領収書、請求書、納品書、契約書などを整理保存しておくこと。
  • 助成金で50万円以上の設備を購入した場合、処分には、事務局の許可が必要です。
  • 5年間の収益状況が良ければ、助成金額を上限として返金を求められる場合があります。

成功要因

採択率は、申請者数の変動の影響をうけるので一定ではありませんが、30%未満です。
採択されるためには、質の高い事業計画が求められています。
事業に革新性、実現可能性があり、経営者が熱意をもっていることが必要です。
また、面談もありますので、専門家に依頼して体裁のよい事業計画をつくるだけでは、審査を通過するのは、難しいでしょう。
専門家のアドバイスを利用すること自体は悪いことではありませんが、起業家自身が、事業計画の内容をよく練る必要があります。

specific

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!