銀行は必ずあなたの会社を格付けします

銀行は、融資先を必ず格付けしています。

融資先は、格付けにより、つぎのいずれかに分類されます。

  • 正常先 業容が良好であり、財務内容にとくに問題がない会社。
  • 要注意先 財務内容に問題がある会社。延滞をしていたり、貸出条件に問題があったりする会社も該当します。要注意先は、一般の注意先と、要管理先にさらに分けられます。3ヶ月以上延滞しり、条件緩和を行ったりした場合は「要管理先」とされます。
  • 破綻懸念先 実質債務超過の会社で、経営破綻に陥る可能性が高い会社。6ヶ月を超えて延滞している会社も該当します。
  • 実質破綻先 実質的に経営破綻に陥っており、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間、陥っている会社。
  • 破綻先 法的・形式的に経営破綻している会社。

 

正常先に分類してもらえれば、問題ありません。

お金をちゃんと貸してもらえます。

要注意先となると、貸して貰うためにはちょっと苦労します。

要注意先の要管理先以下の会社は、お金は、貸してもらえません。

要管理先以下に貸しているお金は、基本的には、不良債権扱いとなってしまい、銀行は、金利をはるかに上回る貸倒引当金を計上しなければならず、損をしてしまうからです。

 

格付けは、決算書を中心に行われます。

決算書は、さまざまな視点から分析されます。

  • 収益性 わかりやすく言うと儲ける力を分析します。代表的な指標は、経常利益額や、売上高経常利益率・総資本経常利益率です。
  • 安全性 自己資本額や自己資本比率、有利子負債比率、固定長期適合率、当座比率や流動比率で判断されます。
  • 成長性 売上高や経常利益成長率が代表的な指標です。
  • キャッシュフロー キャッシュフロー額(減価償却費+税引き後利益)や、債務償還年数、インタレストカバレッジレシオなどで評価されます。

 

格付けは、決算書で80%は決まりますが、それ以外に経営の定性的な要因や、潜在的な返済能力も考慮して最終決定されます。

定性的な要因や潜在的返済能力とは、次に挙げる項目です。

  • 営業力
  • 技術力
  • 市場動向
  • 業暦
  • 経営基盤
  • 経営者の個人資産
  • 親会社の財務状況
  • 資産の含み益

 

経常利益をプラスにして、債務超過に陥らなければ、正常先にはなれます。

正常先の格付けを維持すれば、資金調達は潤滑に行うことができます。

 

赤字であればこそ資金が必要なのですが、銀行は、赤字になれば冷たいということです。

ですから、会社は、一瞬でも赤字になったらすぐに手を打ち、決算書が傷つかないようにしなければなりません。

手を打つのが遅れれば、決算書は傷つき、資金調達できなくなります。

赤字対策に有効なのがPDCAサイクルといわれる経営手法です。

PDCAサイクルとは、事業計画と実績を常に比較検証する経営システムのことをいいます。 

事業計画を計画(Plan)し、それを実行(Do)し、実績と事業計画を比較・検証(Check)して、その検証結果に基づいて事業計画を改善(Act)して次の実行へつなげていく経営管理手法です。

PDCAサイクルを導入していると、赤字となった翌月には原因究明と対策検討がすばやく実行されます。

 

赤字の理由は、だいたいつぎのいずれかに当てはまります。

  • 製品やサービスが顧客の需要からかけ離れている。
  • 製品やサービスが、オーバースペックとなっていてコスト高となっている。
  • 営業、販促を計画的・組織的にやっていない。

赤字となっても1年の余裕があればなんとかなります。

しかし、対策が遅れると決算書は傷つきます。

赤字対策の効果が発揮した期間が1ヶ月しかないと仮定しましょう。

最初の11ヶ月が赤字であれば、最後の月が黒字となっても、決算書は、おそらく赤字となってしまいます。

銀行は貸し渋ります。

しかし、PDCAサイクルを実施すれば早い時期に手を打つことができます。

赤字となった月の翌月には、原因を把握し、対策を講じることができます。

資金調達の観点からは、赤字対策は、スピードが命です。

完璧で遅い経営改善よりも、荒くとも早い対策が有効です。遅い対策は、決算への反映も遅く、決算書が悪くなり、資金調達ができなくなってしまうからです。

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