自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。

こういったマイナスの要素がある場合は、審査担当者もサラリーマンですので、責任を問われるのを恐れて謝絶してくることが少なくありません。

しかし、緻密な損益計画や資金繰り計画をスムースに話すことができれば、マイナス評価要素を克服して、挽回することは十分に可能ですので、手間を惜しまないでください。

 

業種 調達額 障害とその解決方法
飲食店(バー) 600万円

【みなし自己資金で資本金を増強した事例】

自己資金は800万円と潤沢でしたが、そのほとんどが第三者からの出資でした。

日本政策金融公庫は、自己資金の大半が親からの贈与や第三者からの出資だと自己資金とみなしてくれません。

ほとんどの場合は謝絶されます。

これは、残念ですが、内部的に統一された審査の考え方です。

本人の出資額を増やさないと、審査は通らないと担当者から指摘されました。

わたくしどもは、ご依頼者さまの財務状況や事業経験についてお聞きしてさまざまな方法を検討しました。

その結果、『みなし自己資金』という手法を使うことにしました。

『みなし自己資金』とは、すでに使われてしまったお金のうち、事業のために使われた部分があれば、それを自己資金とみなしてもらう取扱のことを言います。

代表者は、バー開業の1年程前から、開業に備えてヤフーオークションなどで、気に入った外国の酒や食器を集めていました。

領収証等を集計したところ、120万円相当額でした。

これを『事前導入設備』として表にまとめて提出をして、自己資金としてみなしてもらえるように創業計画書を作りなおしたのです。

ただ、在庫仕入については、みなし自己資金は、なかなか、認めてもらえません。

仕入や経費は証憑が残っていないことが多いので、実際は生活費に使っていても、判別がしづらいからです。

そこで、帳票を時系列で整理して、仕入れ在庫の銘柄等を明確にし、バーの経営に必要な商品であることを強くアピールし、『設備』と言い替えました。

その甲斐あってか、すべてを自己資金として認めてもらいました。

自己資金がさらに厚くなっただけでなく、代表の出資比率が大きくなりました。

また、計画的に仕入れをしてきたことが、創業に対する計画的な準備としてみなしてもらえたので、起業に対する姿勢や事業計画についても評価を上げることができました。

結果として、無事、満額回答を得ることができました。

自己資金が不足しているが、事業のためにこつこつとためてきた事業用の資産はあるという場合には、『みなし自己資金』の取り扱いのご活用をご検討ください。

インターネットオークションでの販売業 400万円

【事業経験不足、自己資金のほとんどが贈与】

代表がとても若く、かつ、事業経験にとぼしかったケースです。しかも、自己資金は親からの贈与がほとんどだったので、かなり難しいケースでした。事業経験が警備員のアルバイトぐらいしかなかったので苦労しました。インターネットで小遣いを稼いできた行為を、『事業経験』として詳細にアピールして理解を得ました。事業経験のない分だけ、損益計画や資金繰り計画を詳細にすらすらと説明できるように教育指導しました。

医療機器の製造業 600万円

【事業計画が不明確だった】

公庫の相談窓口で計画が甘いと言われて、代表の方はかなり意気消沈して相談に来られました。口下手な方でしたが、よくよく話を聞くと、事業経験がしっかりとあり、製品も十分に市場で戦えるものでした。わずかだが個人事業として販売実績もありました。製品パンフレットをわかりやすく書き換えてもらい、販売実績もアピールしました。さらに事業計画を精緻化して、資金計画も3年分をきちっと説明できるようにすることによって問題なく、満額回答を得ました。

インターネット通販 700万円

【創業メンバーの一人に金融事故歴があった】

創業メンバーの1人に金融の事故暦がありました。重要な創業メンバーが取締役や株主として露出できないので、とても難しいケースでした。経営権については株主間特約で買取請求権を設定して、後日、株主となり、取締役にも就任するという方法をとりました。インターネット通販ですので、SEO対策について詳細な記述をして、販売力をアピールしました。また、精密でリアルな損益計画・資金繰り計画を作りこみ、面談への対応も十分に準備したので、無事に調達に成功しました。

飲食店 1400万円

【高額融資】

希望調達額は創業融資としてはやや大きすぎでした。しかし、高級割烹料理店をつくろうとしていたので内装、備品への投資額を削ることはできませんでした。そこで、事業計画を精密化することによって満額回答を目指しました。視覚に訴える資料を作成して、コンセプトをわかりやすく説明しました。立地と客層に関する調査資料も添付し、高い利益率が実現可能であることも根拠付けしました。さらに過去の事業経験も詳細にアピールして、高級戦略が問題なくうまくいくことを力説しました。結果として、高額調達に成功しました。

人材派遣業 700万円

【事業に失敗して廃業したことがある】

社長には、かつて人材派遣業の会社をつぶした経験がありました。社長はそのことをとても気にされていました。そこで、サラリーマン時代の経験を生かして、特定業種に絞り込んだ人材派遣業を起業するという差別化戦略を立てて、事業計画を精密に作りこみました。その結果、事業の将来性を否定されることはありませんでした。

ネイルショップ 500万円

【競争が激しく廃業率が高い業種】

すでに大手のチェーン店が、低価格戦略で市場を牛耳っているため、審査担当者がシビアに判断して、否決あるいは減額されやすい業種でした。立地や、施術方法、店のコンセプトがユニークであることをアピールする事業計画を作成しました。そのユニークさと代表の過去の事業経験の記述がうまくリンクされた事業計画を作りました。結果として、面談もすんなりとおわり、調達に成功しました。

IT(SNS事業) 400万円

【IT事業であるため事業内容がわかりづらく、しかも事業計画が壮大すぎる】

新規性が高く、かつ、審査の面談者の理解を得づらい事業でした。しかも、フェイスブックやミクシーといったガリバーにいまさら対抗できるのかと懸念されるビジネスプランでした。そのまま申し込んでいたら否決されていたと思われます。大手のSNSと競合するのではなく、むしろ補完して、受注を大手からもらえる関係にあるのだとアピールしてもらいました。また、事業経験や過去の受託業務など、SNSに関連する実績をできるだけ拾いあげてもらい、新規事業というよりもすでに経験のある事業の立ち上げであるというニュアンスを強調してもらいました。

アパレル 300万円

【自己資本が少なすぎる】

自己資金額が100万円と不足していました。また、創業者には事業経験がありましたが、アルバイトで収入も毎年1~2百万円程度と少額でした。まず、事業経験の内容を詳細にアピールしました。収入の少なさを能力の低さと思われてはいけないので、デザイナーとしての能力を添付資料もつけて詳細に記述しました。その結果、ネガティブな要素に突っ込みを入れられることなく、満額回答を得ることに成功しました。

かばん製造

800万円

600万円

【短期間のうちに追加融資が必要となった】

すでに事業経験のある経営者だったので、最初の創業融資は、日本政策金融公庫から問題なく満額回答を得ました。紹介した日本政策金融公庫の担当者からは、感謝の電話をいただいたほどです。しかし、業績があまりに順調に推移したために、追加の運転資金が必要となりました。まだ初回の創業融資から日数がたっていないので、通常は、追加融資は難しい状況でした。しかし、当事務所で、月次決算を緊急にまとめて、さらに創業時からの受注状況も顧客ごとに集計して、好業績が本物であることをアピールしました。資金繰り計画書も詳細にアップデートしました。制度融資に申し込み、600万円の在庫資金を追加で調達しました。

保育施設

500万円

【自己資金不足、しかも事業経験不足】

自己資金、事業経験ともに乏しいケースでした。親の資金援助は得られる状況でしたが、親からの贈与資金は、自己資金として認めてもらえない場合もあります。まず、親の財務状況を詳細に説明する資料を添付して、資金が間違いなく贈与されたものであり、返金不要であることをアピールしました。また、事業経験についても、前職での営業やマネジメントの経験を強調しました。前職と保育事業との関連性も強く主張しました。精緻な資金計画を作り、代表がすらすらと言えるようになるまでキャッチボールしました。

代表の熱意ある姿勢も受け、必要な資金を調達することができました。

高齢者宅配弁当サービス

400万円

【自己資金不足、しかも事業経験不足】

事業経験がなく、かつ、自己資金も一部は第三者の出資を受けていました。難しいケースでしたが、第三者が事業協力者であり、一定のノウハウがあることを強くアピールすることによって、資金調達には成功しました。しかし、代表は、その後、事業経験の不足から黒字化するまでに数年を要し、資金繰りについては、当事務所の担当者ともども相当に苦労させられました。

印刷・広告宣伝業

800万円

【競争過多の業界、しかも前職の会社もとても経営が厳しかった】

採算をとるのがとても難しい事業です。広告用印刷物は、インターネット広告に押されて需要が激減しているからです。実際に、代表の前職での事業経験は、ジリ貧そのものでした。業務提携によって仕事を活発に受注できる営業体制があることをアピールし、さらに緻密な損益計画と資金繰り計画をつくってなんとか調達に成功しました。

建設業

800万円

【自己資金不足、但し、事業経験は豊富】

事業経験は十分なかたでしたが、自己資金がありませんでした。自己資金が全額親からの贈与という不利な状況でした。事業経験を全面にだしました。いままでの営業実績や、潜在顧客リスト、参入障壁の高さを強調して、事業計画が極めて実現可能性の高いことをアピールしました。代表とは何度も面談して事業計画書を磨きあげ、面談力を強化しました。その結果、満足いく資金調達を達成することができました。

木材製品の卸・販売店

800万円

【カードローンが多額にあった】

事業経験も全く問題ありませんでしたが、カードローンが500万近くありました。カードローンを返済すると自己資金がなくなってしまうために、会社創業までの間の個人事業での利益を自己資金にするという苦肉の策を立てました。事業経験を詳細にアピールして、3年間の詳細な資金計画を添付して、必要資金を調達しました。

学習塾

600万円

【事業経験不足、しかも別会社がある】

代表は、学習塾での事業経験がありませんでした。代表のほかのビジネスでのマネジメント経験や営業経験をアピールするとともに、代表がすでに経営している会社の財務状況を詳細に説明することによって融資に成功しました。新規事業と既存事業をいわば、連結して資金計画を説明できるようにしました。代表のいままでの、他の事業での経営の実績を隠すことなく、逆に積極的に説明することによってうまくいったケースです。

事業譲渡案件(IT事業)

800万円

【事業の譲り受けによる創業】

事業譲渡による創業の場合には、譲渡価格が高すぎたり、譲渡の条件がなかなか決まらないことが創業融資の調達を困難にします。このケースでも面談の直前に譲渡側が価格を吊り上げてきて代表を青ざめさせました。スキームを練り直すことによって、譲渡代価の上乗せ分の支払を先送りし、創業融資で調達した資金でスケジュールどおりに事業譲渡を成功させました。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

 

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日本政策金融公庫の創業融資は、基本的には、自己資金の2倍までしか借りられません。

必要資金の3分の1は、自己資金でなければならないのです。

形式的な要件では、自己資金が不要とされていたり、創業資金総額の10分の1で十分とされていますが、実際の審査では、十分な自己資金がないとあっさりと謝絶されます。

いわゆる実質的な審査基準と言われるものです。

自己資金が、創業資金総額の3分の1未満となると平均的に貸し倒れ率が上昇するからです。

公的な金融機関とはいえ、補助金ではないので、回収可能性が低い貸付はできないのです。

 

先日、芳香剤の輸入ビジネスを開業したいという起業家から相談を受けました。

自己資金が50万しかないのですが、在庫資金や設備資金で500万円を借りる必要があるという相談でした。

自己資金が決定的に不足しています。

しかも、事業経験は全くありませんでした。

明らかに謝絶されるケースです。

 

とても熱心な方だったので、わたくしども頑張りたいという気持ちになり、日本政策金融公庫の担当者に名前を伏せていちようは照会したのですが、やはり、『だめでしょう』という回答でした。

正式な申込をしてしまうと謝絶の履歴が残ってしまうので、担当者への『一般的な質問』という形で問い合わせをしました。

お客様の履歴を傷をつけずに結果を聞き出せるので、当事務所は、ちょこちょこと懇意の担当者にお客さまの名前を伏せて照会をかけています。

 

ここで、当事務所がアドバイスした方法は、まずは、創業をしていただくという戦術でした。

事業経験がないのでは相手にされないので、とりあえず経験を積んでいただくことにしたのです。

 

まずは、芳香剤の展示会等に顔を出して、とにかく名刺を集めてもらいました。

それを潜在顧客リストとしてまとめました。

創業融資の審査では、潜在顧客のリストを持っていることは高く評価されるからです。

 

次にリストの潜在顧客にかたっぱしから営業をかけ、売上実績を作っていただきました。

営業は、とにかく行動を起こせば、かならず売上は発生するものです。

本人のがんばりもあり、数カ月で50万円ほどお金を貯めることができました。

その結果、自己資金は総額で100万円になりました。

 

この時点で、正式に創業融資に申し込みました。

潜在顧客のリスト、売上実績、自己資金の増加という三つの新たなプラス要素が加わったからです。

私どもの指示通りに頑張っていただいたので、私どもからも強く、日本政策金融公庫に推薦させていただきました。

 

まだまだ、自己資金は不足しているのですが、結果として、当初は、無理とされた500万円の満額融資に成功しました。

大幅な自己資金不足を、潜在顧客リスト、売上実績、自己資金の増加という3つの対策で乗り切ったのです。

 

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企業のために福利厚生を代行するビジネスは、すでに日本国内では、おおくの企業が参入し、いくかの会社は、大きな成功を収めています。

代表はベネフィットワンです。

ただ、海外に赴任した社員への福利厚生代行サービスについては、まだこれといった会社がありません。

海外ネットワークが必要となるため、業務フローが複雑となり、かつ、市場が巨大とは言えないためでしょう。

今回の相談者さまは、このニッチ分野に参入されたいという起業家さまでした。

わたくしどもに相談に来られたときには、すでに、資本金の半分をソフト作成へ費やしてしまっており、運転資金が枯渇しかけていました。

あらたに必要な資金調達額は、資本金の額面金額と比べても4倍、残存する資金の8倍という状況でした。

希望借入額が大きすぎて、通常ですと謝絶される案件でした。

 

この起業家さまの希望を叶えるために、わたくどもは、二つの対策を実施しました。

一つ目として、みなし自己資金です。

みなし自己資金とは使ってしまったお金を自己資金として認めてもらうための考え方です。

創業計画書において、プログラム作成に要した人件費をみなし自己資金として認めてもらえるようにアピールしました。

資本金のうち、使ったお金は、プログラム作成費用に使われたもので、今後の事業のために不可欠な投資だったと主張したのです。

まずは、このみなし自己資金の主張により、審査上は、資本金額まで自己資金を増やすことができました。

 

二つ目として、車を会社に、現物出資することにしました。

以前は、現物出資した資産は、自己資金として認められない傾向がありました。

しかし、最近は、担当者にもよりますが、どうしても事業に必要な資産であれば、自己資金として実質的に考えてもらえるようになっています

顧客は、法人客ばかりですので、社用車は、どうしても必要であると主張して、現物出資を自己資金の増強として認めてもらいました。

価格については、カーセンサーなど、客観的な資料を添付し、説得力を持たせました。

この二つめの対策により、自己金額は倍増し、目標資金が以前よりも調達しやすくなりました。

 

この起業家の方には、事業経験が十分にあるのも、プラスでした。

わたくしどもからも強く推薦させていただき、結果として、残存資金の8倍の満額融資に成功し、事業継続の目途が立ちました。

みなし自己資金と現物出資の合わせ技が、功を奏した資金調達事例です。

 

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今回は、お菓子輸出業を起業したシステムエンジニアさんのケースをご紹介します。

彼は、日本の食文化になじみのない中近東の人々に、日本のお菓子の魅力を理解してもらいたいという思いからこのビジネスを始められました。

ただ、この方は、食品や輸出関連の事業の経験はありませんでした。

しかも、自己資金もほとんどなく、必要な創業資金総額の大半を融資に頼らなければなりませんでした。

 

創業融資は、公的な金融機関により提供されてているとはいえ、こういったケースでは、支援は受けられません。

自己資金と経験が欠如している場合は、事業が成功する確率がとても低いとみなされるからです。

自己資金が不足していることは、準備不足と解釈されます。

準備不足な上に経験がなければ成功するはずがないというのが、日本政策金融公庫の考え方です。

統計的には全く正しい観察です。

創業融資は、補助金ではないので回収可能性が低い場合には謝絶されます。

 

そこで、わたくしどもが指導したのは、実績作りの手法です。

資本金が不足しているので大きな取引はできませんが、とりあえず、わずかな額でもよいので、売上を立てるようにお願いしました。

創業融資では、わずかでも実績があることは大きなアピールとなります。

2ヶ月だけでしたが、売上実績を作ってもらいました。

 

また、この方の場合は、ビジネスに協力してくれそうな親しい友人が中東に複数いました。

友人と、友人の知り合いのリストを作ってもらいました。

氏名、仕事、社会的地位などの情報を一覧表にまとめてもらいました。

販路があることのアピールのためです。

 

創業当初の2か月の売上実績の相手先もこのリストに含まれています。

 

このアプローチにより、売上を上げた事業経験もあるし、さらなる潜在顧客もありますよというアピールが可能となりました。

机上の青写真以上の実力があることを証明できるようになったのです。

 

その他にも創業の動機を別紙A4一枚で、ぎっしりと書いていただきました。

なかなか思いを文章にしていただける方はいないのですが、この方は、丁寧に思いを込めて書いていただきました。

こういった地道な努力も、審査官の心象に少なからず、良いインパクトを与えたものと思います。

日本政策金融公庫も本質は金貸しですが、同じ貸すなら、真面目で熱意がある方にお金は貸したいと考えています。

 

私どもとしても、日本政策金融公庫に強力に推薦させていただきました。

 

結果として、希望額400万円、すべてを日本政策金融公庫から、調達することができました。

 

2ヶ月ほど、売上実績をつくるために足踏みしましたが、そのあとのプロセスは、わたくしどももプッシュしたので1ヶ月はかかりませんでした。

売上実績を作るという遠回りをしましたが、結果として、市区町村の制度融資などよりも早く調達することができました。

市区町村の制度融資は、経営相談員の指導が入るので、申し込みから3か月以上の期間を要することがざらです。

 

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創業融資は、自己資金がないと借りられないと言われています。

今回は、公的な制度をつかって自己資金がほぼゼロで創業融資に成功した事例をご紹介します。

 

成功されたのは、インターネット上で陶器販売を開始された起業家です。

彼は、ECサイトの経験はありましたが、業種は、陶器の国内販売とは、やや異なっておりました。

実店舗での小売の経験もありません。

資本金が30万円しかなく、600万円の資金が必要でした。

新創業融資の6年間の事業経験の要件は、満たしていなかったので、要件上、10分の1以上の自己資金が必要とされました。

会社の資本金は、30万円なので、この要件未満です。

さらに、創業融資では、通常、創業資金総額の3分の1以上の自己資金が求められます。

形式的な要件は、これ以下の水準に規定されていますが、実際の審査では、自己資金が創業資金総額の3分の1までないと、準備不足として倦厭されます。

どうみても、決定的に自己資金が不足している状況だったのです。

 

そこで、創業予定地域の自治体が行っている特定創業支援事業を利用しました。

特定創業支援事業とは、専門相談員の無料個別相談を受け、証明書を発行してもらうことにより、登録免許税が半額となったり、新創業融資の自己資金要件が免除となる制度です。

 

登録免許税は、当然に半額免除となりました。

また、日本政策金融公庫の審査でも、支援を受けたおかげで、自己資金要件が免除となり、自己資金がきわめて僅少であったにもかかわらず、満額融資に成功しました。

 

明らかに自己資金は不足しており、事業経験も十分とは言えなかったので、通常であれば、創業融資の審査は通らなかったでしょう。

しかし、特定創業支援事業で発行された証明書が、強い後押しとなり、自己資金不足という不利な要素を跳ね返すことができたのです。

 

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飲食店を開業予定です。

日本政策金融公庫の創業者向けの融資に申し込もうと思っています。

不安な点がいくつかあるので助言をいただけますでしょうか?

  1. 自己資金がどんどんと減っています。飲食店で働いていますが、アルバイトのため、生活費が足りず、預金を取り崩しています。自己資金が少しづつ減っており、悪い印象を与えるのではないかと不安です。ただ、開業に必要な資金の3分の1に相当するお金は残っていますので、借入制度の要件は満たしています。
  2. 10年以上前に債務整理をしています。信用情報から消えているはずですが、融資の妨げになるのではないかと不安です。
  3. 住宅ローンがまだ2000万円ほど残っており、月々10万円ほど返済しています。2000万円も借金が残っているのにお金を貸してくれるでしょうか。
  4. 飲食で開業したいと思い、転職し、経験を積んでいます。ただ、また1年しか経験がありませんし、フルタイムで働いていますが、時給制のアルバイト扱いです。事業経験とみなしてもらえるでしょうか?

以上のような状況ですが、融資がおりないのではないかと不安です。

自分の店をもつためには、どうしても融資が必要です。

よい対策があれば教えてください。

 

税理士の工藤がお答えします。

 

質問ごとに個別にお答えさせていただきます。

 

自己資金については、創業資金総額の3分の1があれば、大丈夫です。

自己資金が目減りしている原因が生活費への充当なので、開業後に生活が成り立つだけの利益が確保できることを『事業の見通し』で示してください。

さらに、資金繰りについても、詳細な資金繰り計画を作ってアピールする必要があります。

36カ月の資金繰り計画によって、借りたお金が事業目的に適正に使われることを示すとともに、借金を返済しても生活が成り立つだけの売り上げを確保できることをアピールするのです。

 

創業融資を申し込む際には、創業計画書といわれる事業計画書を作成して提出します。

創業計画書には、事業の見通しを記載するとともに、通常は36カ月の資金繰り計画書を添付します。

 

つぎに、事故情報についてですが、すでに10年前の事故なので、信用情報には記載されていません。

したがって審査で問題にはなりません。

また10年以上も昔の話ですからこちらからあえて自己申告する必要もないでしょう。

したがって、ご心配される必要はありません。

 

住宅ローンについてですが、これもご心配は無用です。

住宅ローンは、通常、担保と対となっており、いざとなった場合には、担保を処分して返済が可能です。

また、そもそもクレジットカードローンなどと違って、非計画的な支出によって負った負債ではありません。

月々の返済額も、通常は、平均的な給与の中から返済できるレベルに設定されています。

創業後の事業の見通しにおいて、住宅ローンが返せる程度の、経営者報酬(利益)が確保される見込みであれば、審査は通ります。

 

事業経験の短さとその中身については、おっしゃるとおりに、ちょっと弱いなという印象を与えてしまいます。

たしかに1年という期間は短いですし、アルバイトだと重要な仕事も任されていないのではないかと思われがちです。

『アルバイトとして1年間、見習いをしてきました』というような控えめな記述をしてしまうと謝絶されてしまう恐れがあります。

リカバーするための努力が必要です。

成否は、1年間の経験でどれだけ幅広い業務を経験できたかをアピールできるかにかかっています。

飲食業にかかわる事業経験といってもいろいろとあります。

接客、スタッフ管理、調理、メニュー作成、販促、在庫管理及び発注、経営数値管理とさまざまです。

幅広い業務を経験しているほうが有利なので、経験した業務はあまさず列挙してください。

とくにお店の売上増加につながるような貢献をしていれば、審査の際に強くアピールできます。

売上への貢献を実績数値で示して、創業計画書に添付してください。

 

開業するお店の特徴についても、具体的に説明を加えてください。

短い期間であったとしても事業経験で得られたあなたの強みが、これから開く店の強みに直結するようなストーリーが必要です

わざわざ飲食店を開業するために転職したわけですから強いビジョンをお持ちのはずです。

あなたの思い描く店のユニークさが、あなたの強みに裏打ちされている必要があります。

そこをうまく説明できれば、事業経験が短くとも、審査担当者の理解を得られるはずです。

 

初めての融資申込ですから、さまざまなご不安を感じられていることと思います。

どんな質問やご不安でも結構ですので、ご遠慮なく、工藤公認会計士税理士事務所にお問い合わせください。

初回相談は無料です。

 

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特殊な加工技術を持っています。

おそらくこの技術を持っているのは日本でも数人しかいません。

その技術での起業を考えているのですが、機械装置に2,000万円は必要です。

材料は無償支給を受けるので、資金負担はありません。

ただ、それだけのお金が手もとにないので、資金調達の方法を教えてください。

また、最低どれぐらいの自己資金を用意すればよいでしょうか。

 

税理士の工藤がお答えします。

 

創業には、機械設備だけでなく、そのほかのコストも必要となるので、創業資金総額は、多めにみておくべきでしょう。

材料の無償支給を受けることができるとはいえ、そのほかのコストがかからないわけではありません。

人件費、事務所家賃、販促費、そのほかを経費を考えると、2,300~2,500万円の資金が必要となるでしょう。

かりにここでは、2,400万円の資金が必要と仮定しましょう。

 

まず、日本政策金融公庫の経営力強化資金を利用する方法が考えられます。

この融資制度は、実質的な借入上限が2,000万円であり、かつ、無担保、無保証、低金利です。

借入限度は、実質的には、自己資金の倍までですので、自己資金は最低、創業資金総額の3分の1の800万円あることが望ましいです。

 

十分な自己資金が用意できないのであれば、複数の創業融資制度を利用するという方法を使うことも考えられます。

創業融資には、日本政策金融公庫のほかに、信用保証協会が自治体と組んで提供している制度融資があります。

この場合も、実質的な基準で、自己資金は創業資金総額の3分の1あることが望ましいとされています。

日本政策金融公庫と制度融資から半分づつを調達するとなると、自己資金480万円あれば、それぞれの制度から、自己資金の倍額の960万円を借りて合計 1,920万円を調達して、自己資金とあわせて合計2,400万円の資金を用意することができます。

 

ただ、この場合は、設備投資額を半分ぐらいに設定して、事業計画をつくって、それぞれの窓口に申し込むという方法をとる必要があります。

自己資金480万円で借りられる金額は、960万円が限度なので、投資額について減額修正が必要となるのです。

設備投資の見積もりを半額に抑えることが可能であるなら、この方法をとることもできます。

 

なお、自己資金があれば、自動的に貸してくれるというわけではありません。

公的融資とはいえ厳しい審査はあります。

創業計画書で、次の諸点を強くアピールして、『貸しても大丈夫だ』と審査担当者に思わせるようにしてください。

  1. 特殊な技術について丁寧に説明する。とくに写真等のビジュアルな資料は重要です。技術を理解してもらうには、視覚的にアピールして、直感的に理解してもらうの近道です。
  2. その技術があなたしか持っていないことをアピールできる資料を用意してください。業界新聞の切り抜き等があれば、あなたの事業計画に強い説得力を与えることができます。
  3. 完成品を実際に納入している企業のリストを用意してください。顧客ごとの納入実績(売上)も概算でもよいので記載してください。そのリストの中で今後、取引をしてくれそうな会社があれば、それも明示してください。将来の顧客を確保しているというアピールは、創業融資の審査ではとても有利となります。

 

さらに、借入以外の資金調達の方法も検討されるべきです。

たとえば、取引先へ出資を要請してみたらいかがでしょうか。

加工技術が極めて特殊であるなら、取引先が供給元を独占的に確保したいと考えるかもしれません。

取引先からの出資も、この場合は、自己資本とカウントされるので、借入可能額を増やす効果があります。

なお、出資手続きは、相手先の財務部等の承認が必要なので、時間がかかる場合があります。

スケジュールを立てる際には、余裕をもって組んでください。

 

高額の創業融資にチャレンジされるのはリスクを伴います。

融資額が大きくなるにつれて審査は厳しくなるからです。

 

少しでも疑問点や不安点があれば、ご遠慮なく、工藤公認会計士税理士事務所の無料相談をご利用ください。

 

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金融の事故歴があるのに資金調達に成功した事例についてご紹介します。

ご相談いただいた方は、ミニフィットネスクラブを開きたいが、事故歴がありました。

それだけでなく、自己資本は50万円しかなく、友人からすでに500万円を借り入れしていました。

申込もすでに一度、謝絶されていました。

事故歴、自己資金不足、他者からの借入、謝絶歴と4重苦だったわけです。

彼が必要とする創業資金総額は、1100万円でした。

 

事故歴は、クレジットカードローンの延滞です。

これだけでも十分に謝絶理由となりますが、さらに、創業資金総額に占める自己資金の割合が10分の1未満であり、少なすぎました。

さらに、友人からの借入も審査上は、マイナス要因でした。

審査は、他行等からの借入も考慮して自己資金額の多寡を判断するので、500万円の友人からの借入は不利な材料なのです。

 

しかも、この方は、すでに一度申し込んで謝絶されていました。

日本政策金融公庫には、この方の履歴が残ってしまっていたのです。

謝絶の履歴が残っていると、抜本的に状況が変わらないかぎりは、審査は、不利に働きます。

再度の申し込みで認めるということは、前任者の判断を覆すということなので、強い肯定理由が必要となるのです。

 

さまざまな対策を考えましたが、結局、別の方を代表取締役としてたてることにしました。

フィットネス事業で事業経験がある友人がちょうど独立を考えていたのです。

単に新会社の代表取締役になってもらっただけでは、本気度を示せません。

名義借りだと勘繰られることがあります。

なので、同額を出資してもらうことにしました。

当初の資本金50万円に、あらたな出資が加わって、結果、資本金は100万円となりました。

 

さらに事業内容の記述も変えました。

以前の計画では、事業の特徴は、あいまいでした。

さらっと書いてしまっていたのです。

しかし、2人には、事業経験があり、二人が目指すフィットネスクラブのサービス内容には、明確な特徴がありました。

そこで、今回の創業計画では、二人の事業経験と今回オープンするジムの差別化要因を明確に関連づけました。

2人の独自の経験が、他にはないパーソナルサービスに繋がるというシナリオで事業計画を組み立てたのです。

 

これらの新たな取り組みは、資金調達を実現する上で、とても効果的でした。

事故歴、自己資本不足、他者からの借入、謝絶歴という4つの障害を乗り越え、自己資本の5倍の500万円の調達に成功し、無事、開業することができました。

 

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今回は、資金調達に成功された中国人の方をご紹介します。

 

起業する事業は、日中のビジネス交流です。

有料でビジネス交流会を開催したり、顧客のためにイベントの開催を代行したりする事業を立ち上げようとしていました。

 

ただし、自己資金なし、事業経験なしでした。

しかも、外国人というハンデをおっていました。

 

外国人の場合は、投資経営ビザがあればOKということになっていますが、実際は、永住権がないとすんなりと審査は通りません。

 

そこで次の戦略をたてました。

 

まず、役員に日本人を入れ、その日本人に親からお金を借りてもらいました。

借りたお金をそのまま出資してもらい、資本金を300万円としました。

 

さらに、売上実績を作ってもらいました。

小さな規模ですが、文化交流イベント開催してもらいました。

 

それをきっかけに次の受注が来たということだったので、その受注については、受注書を用意してもらいました。

 

日本人役員、資本金300万円、売上実績、受注書を整えたのです。

借入をするための障害をすべて取り除いたのです。

 

結果として、資本金で300万円で500万円の調達に成功しました。

 

彼に対応しているなかで関心させられたのは、その合理性です。

 

当方が相談者の甘い考えを否定して、『このままでは無理だ。こういう努力が必要だ。』と断言すると、普通は、少なからず表情に絶望やいらだちが表れるものです。

しかし、この方の場合には、それが全くありませんでした。

自分の案を全否定されても感情的になることはなく、常に冷静にこちらの提案に対応するのです。

遠慮なく疑問をぶつけ、反論したりしてきますが、合理的と判断するとあっさりとこちらの意見を受け入れて、忠実に行動してくれました。

とても合理的な人だなと思いました。

この合理性がなければ、資金調達は無理だったと思います。

 

今回の資金調達では、中国人の手ごわさを実感させられました。

 

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