後継者教育

多くの経営者は、自分の子供に会社の経営を継ぐ能力があるのか、不安に思っておられます。

社長にとって会社を経営することは、苦難の連続だったはずです。

自分の子供たちが果たしてその苦難を乗り越えていくことができるのか、心配なのです。

この不安を解消するためには、子供たちに経営力を身につけさせるしかありません。

しかし、そもそも、経営者としてやっていくためには、どんな能力が求められるのでしょうか?

わたくしたちは、経営者には、洞察力と人間力の両面が備わっていなければならないと思っています。

何が儲かるのかを見抜く冷徹な観察力と、人をひきつけ、動かす力です。

なにをやれば儲かるのをかぎつける嗅覚と、人々を鼓舞するリーダーシップです。

異質な異なる二つの能力が求められます。この二つの能力があって、会社という人の集団を、儲かるビジネスへ導くことができるのです。

では、この能力を涵養するためには、どんな教育をしたらよいのでしょうか?

学校の勉強だけでなんとかなるものでないことは確かです。

まずは、他人の釜の飯を食わせるべきでしょう。

他人の会社でまずは働かせろという意味です。

実際に多くの経営者が、そうしています。

子供が、甘えのきかない環境で鍛えられることによって早く成長することを期待しているのです。

なるべくベンチャー企業に就職させたほうがいいでしょう。安定的な大企業よりも、必死に伸びようとしているベンチャー企業の方が、学べることが多いはずです。ビジネスのやり方から、組織のあり方まで、多くのことを学べるでしょう。大企業の経営スタイルは、中小企業には当てはまらないことが多いので、大企業に子供を預ければ安心だと考えないほうがよいでしょう。

よその会社から戻ってきたら、さまざまな部門を計画的にローテーションして、育成していきましょう。部門ローテーションによって、古くからいる社員との人間関係も自然に構築していけます。

適当な規模の子会社があるなら、その子会社の経営を任せるのはとても効果的な、マネジメントの勉強になります。製品やサービスの開発から、営業、会社の資金繰り、人の問題まで万遍なく体験できますので、経営の勉強には最適です。

会社の経営と所有権の承継

経営者としての能力開発にめどがついたら、事業承継の具体的なステップを踏まなければなりません。

事業承継は、社員の理解、経営権の承継、会社の所有権の承継、財務的な責任の承継といった四つのステップから成り立っています。

このすべてのステップを問題なく、クリアしないと事業承継は成功しません。

社員の理解

経営権の承継を始める前に、かならず、社員の理解をもとめるようにしましょう。ちゃんとしたステップを踏んで、少しずつ理解を求めるようにしてください。いきなり子供を最高幹部に抜擢すると、古株の社員が反発することがあります。経験不足から会社を引っ掻き回してしまい、古株の社員が反発してやめてしまうこともあります。幹部社員の退職は、社長の思っている以上に会社の力を弱めます。

いきなり、最高幹部にはせずに、社内をローテーションしながら、徐々に社長へ近づけいくべきでしょう。

代表権の承継

代表権の承継も、段階的に実施したほうがよいでしょう。

社長に就任させた後も、いきなり現社長が経営から身を引くのではなく、代表取締役会長に就任し、時期を区切って、共同指導体制をとるべきです。

新社長は急激な変化をもたらそうとして失敗することがありますので、共同指導体制により、慎重に離陸させることができます。

ただ、この場合は、代表取締役会長の任期は明確にするとともに、役割分担を明かにして、新社長が経営の一翼をちゃんと担うように気をつけるようにする必要があります。社長とは名目だけであいも変わらず会長が経営の実権を握り続けるのであれば、事業承継はいつまでたっても成功しません。

株の承継

経営の承継とは別に会社の所有権の承継を考えなければなりません。株の承継の問題です。株式の大半を所有するものが会社の支配権を握りますので、後継者の経営を磐石のものとするためには、新社長に株式の大変を承継させなければなりません。

承継の方法としては、買取、生前贈与、相続、種類株式の発行があります。いずれの方法にも一長一短があります。

買取、生前贈与、相続については別の記事で詳述いたしますが、ここでも簡単にご説明します。

買取は、遺留分の争い(相続争い)が生じませんが、後継者が買い取り資金を負担しなければなりません。そのため、大量の株式を承継するのには不向きです。

生前贈与は、自社株対策を十分に行って、実施すれば贈与税の負担は軽減できますが、後日、遺留分の争いが生じる可能性はなくなりません。

遺言による承継の場合も、遺留分を考慮しなければなりませんし、先代は、こどもが会社の所有権を承継できたことを見届けることができません。相続人全員が合意すれば、遺言とは異なる遺産分割を実施することができるので、先代からすると不安が残ります。また、相続税が会社の業績によっては跳ね上がり、多額の納税が発生し、後継者及び会社の資金繰りが圧迫されることも起こりえます。

それぞれ長所短所がありますが、生前贈与は、税金対策を実施しやすく、かつ、先代が生きているうちに、事業承継を見届けることができるので、事業承継対策の要となります。

債務保証の継承

経営と会社の所有権の承継のほかに、考えなければならないことは、債務保証の承継の問題です。

多くの中堅企業は、社長が、会社の銀行借入金の連帯保証人となっています。

お子さんが、社長に就任すると銀行は、連帯保証人になることを求めてきます。

その際に、前社長の個人保証をはずしてくれるかというとそんなことはありません。社長の個人資産に設定している担保もなかなか解除してくれません。

前社長が実質的にはまだ会社の経営に影響力を及ぼしているであろうし、新社長の経営手腕が未知数で、まだ十分な資力がないためです。

かといって、経営から離れ、かつ、株式ももたなくなった前社長をいつまでも連帯保証人にしておくのは酷な話です。

新規借入や借り換えのタイミング等をねらって前社長を連帯保証人からはずように粘り強く交渉するべきです。そのためには、会社の資金繰りを強くして借入金を圧縮して、少しでも財務指標を改善し、強いポジションで銀行と交渉できるようにしておくべきです。

高い格付けを改善すれば、銀行は交渉に応じてくれます。

後継者の立場から見ると、個人保証すべき借入金の大きさが、事業承継のネックとなるときがあります。

事業承継の前には、経営努力により資金繰りを改善させ、借入金を圧縮させ、後継者の恐怖を和らげる努力をするべきでしょう。借金が膨れ上がり続ける状況で事業を承継させれば、『事業ではなく、借金を承継した』と思われ続けてしまいます。

また、後継者が社長就任後は、個人保証に見合った分だけ報酬を増額させて、個人保証に耐えられるようにしたほうがよいでしょう。

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事業承継対策の基礎知識

  1. 事業承継のやり方 承継の進め方とスケジュール
  2. 後継者教育のやり方 最重要な事業承継対策です
  3. 遺言の方法 遺産分割の争いを回避しましょう。
  4. 遺留分について 
  5. 自社株の承継方法
  6. 遺留分に関する争いを回避する方法
  7. 遺産分割をめぐる争いの回避方法
  8. 相続人等に対する売渡請求 分散した株式を取り返しましょう
  9. 相続税の納税資金の確保の方法 
  10. 自社株の株価対策 株価対策により相続税、贈与税は大幅減額が可能です。
  11. 役員退職金による自社株の株価対策
  12. 従業員持株会による株価対策
  13. 投資育成株式会社からの出資 相続、贈与税を大幅に減額可能です。
  14. 高収益事業の分社化 強力な株価対策です。
  15. 合併による自社株の株価対策 
  16. 持株会社による自社株の株価対策
  17. 自社株式の納税猶予制度 相続税、贈与税を大幅に減額できます。
  18. 社長の会社への貸付金 会社への貸付金は、相続税負担を重くします。
  19. M&Aによる事業承継
  20. M&Aの進め方
  21. 会社分割して売却する方法 事業の一部を低い税率が売却する方法です。
  22. 節税対策と税務調査対策
  23. 銀行融資を調達する方法
  24. お金を貯める経営
  25. 株式公開のやり方 メリットと進め方について解説します。

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多くの経営者は、後継者がなかなか育たずに苦労されています。

子どもにバトンタッチしたいが、子どもに経営ができるのか、不安を抱えています。

自分が大変に苦労してきた分だけ、子どもに同じことができるのか、確信を持てないのです。

 

後継者にバトンタッチをしないと、いつまでたっても、仕事をやめられません。

年をとってくると、体が言うことをきかなくなります。

持病も一つや二つは抱えているでしょう。

60歳を超えれば、記憶力も集中力も落ちてきます。

悲しいことですが、事実として、経営も劣化します。

経営が劣化すれば、会社の借入金が膨らみ、ますます、深みにはまっていきます。

 

悪循環ですね。

 

一方、後継者からしても、未経験なことも多いので、自分にできるか不安があります。

事業を引き継ぎつぐことは、会社の借入金の保証人となることを意味します。

事業承継は、とてつもない恐怖感なのです。

 

親も不安ですが、子どもも乗り気でありません。

 

どうしたらよいのでしょうか?

会社をたたもうかとまで悩まれる経営者も少なくありません。

しかし、会社を清算するのはとても勇気のいる決断です。

決断できないうちに、ずるずると時がたってしまいます。

そうこうするうちに、何の準備もないままに、事業承継が発生してしまいます。

 

結局は、子どもを教育して経営者として育てるしかありません。

 

後継者教育のやり方

経営者教育では、他社で鍛えてもらうのは、必須のプロセスです。

最初から自分の会社に入れてしまう経営者もいますがこれはよくありません。

経営者の心情はわかります。

「手元でじっくり経営者として育てたい。」

「自分のもっている経営ノウハウをしっかりと伝えたい。」

気持ちは理解できますが、いきなり自分の子どもを自分の会社にいれたら成長はしません。

親のいうことを素直にきくわけがありませんし、ましては、社員が将来の社長に苦言を呈するわけがありません。

最初から自分の会社に入れたら、使いものにならなくなると考えてください。

 

それ以外にわたしがおすすめしたい経営者教育の方法は、事業計画の策定です。

事業計画を作らせることによって、生き残るには、なにをするべきかを考えさせることができるからです。

経営のシミュレーションをさせるのです。

 

所詮はシミュレーションと言われるかもしれないが、シミュレーションもできないで実際の経営ができるはずがありません。

ちなみに、最近の航空会社のパイロットは、フライトシミュレーションで教育を受けています。

批判はあるものの、シミュレーションで育てられたパイロットもちゃんと飛行機をとばしています。

 

後継者教育もせずに、突然に事業承継が起こり、いきなり経営を任されたら、後継者は、何をするかわかりません。

悪いシナリオは、たくさん起こっています。

経験のない新規事業に飛びつき、失敗して借金だけが残る。

人や設備にお金を使いすぎて、会社を潰す。

経費を無駄遣いして、会社が赤字に転落する。

社員に嫌われ、重要な人材がやめていく。

旧来の製品やサービスにしがみついて、イノベーションをしようとしない。

親からすれば、ワーストシナリオです。

 

実際にシミュレーションをさせて、考えの誤りを正すのが一番です。

親が生きているうちにシミュレーションをさせて、説き伏せるしかないのです。

経営の知恵を学ばせましょう。

お金より、経営の知恵の方が、貴重な遺産となります。

お金は経営に失敗すればあっという間になくなりますが、身についた知恵はなくなりません。

事業計画策定は、本当によい教育になります。

まず、机上でやらせてみて、失敗を修正する。

とても重要なことです。

戦争準備のときにも軍隊は、さんざんに机上戦争をします。

机上演習で勝てるようにならなければ、実戦でも勝てません。

 

事業計画を策定する具体的な方法がわからなければ、いつでも当事務所へお問い合わせください。

事業承継全般についても、アドバイスいたします。

ご相談は、無料ですし、フォローの営業はしませんので、ご気軽に無料相談をご利用ください。

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