自己資金や事業経験、信用情報に傷があると創業融資の調達は難しくなります。

ただ、そんな場合でも、リアルな資金繰り計画を作ることができれば、満額融資を実現することも不可能ではありません。

資金繰り計画書は魔法の杖

審査担当者に、「返せない人だ」と思われてしまったらお金は貸してもらえません。

審査担当者は、借入申込者の資金繰りを予測して返せるか返せないかを判断します。

売上や経費を予測して、借入を返済することができるかを、頭のなかで予測しているのです。

企業の資金繰りを予測しない審査担当者は、この世の中にいません。

審査担当者が、必ず、資金繰り予測をしている以上は、資金繰りが健全であり、問題なく、借入金を返済できることをアピールすることは、必須の融資対策となります。

審査担当者は、自分の会社の資金の流れが説明できない経営者が嫌いです。

利益や資金繰りに関心をしめさないタイプの経営者は、会社を破綻させることが多いからです。

創業融資の審査担当者は、一般の融資も取り扱っています。

自分の会社の資金繰りに関心を示さず、会社を破綻させた経営者をたくさん見てきています。

彼らにとっては、いやな記憶です。

資金管理ができないと思わせると、いやな記憶にある経営者を連想させ、評価は、ぐっと下げられてしまいますので注意してください。

審査担当者は、資金繰り計画表からなにを読み取るか?

日本政策金融公庫や保証協会を含めて、金融機関が、お金を貸すときの判断基準は、二つしかありません。

資金使途と回収可能性です。

資金使途が前向きで、かつ、回収可能性があればお金を貸してくれます。

回収可能性は、資金繰り表から判断されます。

創業計画書の場合には、資金繰り実績がないので、資金繰りの計画書で審査されます。

リアルで説得力のある資金繰り計画表を作成して、質問にすらすらと答えることができれば、計数判断能力がある経営者であると評価され、『貸しても回収できるな』と思ってもらえます。

審査担当者にそう判断してもらえれば、可決してもらえる可能性は飛躍的に高まります。

定型ソフトに数字を入力しただけで、会社の特徴を反映していない資金繰り計画書を見かけることがありますが、それでは不十分です。

逆に審査担当者に不安を与えます。

それぞれの企業の特徴を考慮した緻密な資金繰り計画書が必要です。

次の実例をご参照ください。

⇒資金繰り計画書の実例

利益と資金繰りは異なります

創業計画書では、事業の見通し(収支計画)で利益を予測します。

資金繰り表では、現預金の収支を予測します。

利益の予測のほかに、なぜ資金繰りの予測をしなければならないのでしょうか?

それは、利益と資金繰りは異なる結果になることがよくあるからです。

利益が出ていても、在庫投資や設備投資にお金がかかり、資金繰りが苦しくなることがあります。

その逆に、本来、利益が出ていないのに現金売上がたつためにとりあえず資金が回っている会社もあります。

利益と資金繰りとは、異なる概念であり、ともに企業を経営する上では常にウォッチしなければならない経営指標です。

したがって、損益計画とは別に、資金を管理するために資金繰り計画を作成し、創業計画書に添付する必要が出てくるのです。

資金繰り計画表は、5年分を作成する

創業計画書では、すくなくとも5年分の資金繰り計画表を添付する必要があります。

5年間の損益計画と、それと連動する形で、資金繰り計画書を作成します。

創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

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添付資料を作ることにより、成功率や満額融資の可能性はあがります。

スペースの限られた創業計画書だけでは、起業家の事業の魅力を十分に訴求することはできません。

履歴書の添付資料

履歴はとても重要なアピールポイントですので、ぜひ、添付書類で詳細に喧伝してください。

日本政策金融公庫は、履歴が充実していれば、自己資金はある程度は、目をつむってくれます。

履歴では、次の諸点はかならずアピールしてください。

 

  • 勤務時代に会社で果たした役割り
  • 学んだ技術
  • 営業成績

 

なお、資格があるならかならず書いてください。

資格取得は、高い評価を得られます。

 

【ダメな記述例】

  • 2010~2015年 〇〇会社に勤務した。営業課に所属していた。
  • 2010~2015年 渋谷区の〇〇店に勤務していた。

こんな記述では、起業家のスキルが見えません

 

【よい記述例】

  • 2010~2015年 法人営業で数十社の顧客を担当して月次売上〇〇円の実績を上げた。コンテスト全社〇〇位で表彰を受けた。
  • 2010~2015年 店長としてメニュー開発、採用、教育、仕入れのすべてを担当して、店の売上を〇〇%改善させた。

独立してもやっていけそうな印象を与えるのがコツです。

 

創業動機を別紙で熱く語る。

創業融資は、無担保、無保証融資です。

とても貸倒率の高い融資制度です。

開業率を上げるという国の後押しがあってはじめてなりたっています。

ですので、通常の融資とちがって、担保や保証よりも、起業家の開業への意思や情熱が評価される傾向があります。

動機付けを長々と訴えるスペースはないので、創業計画書に添付してください。

レストランの例が、ほかの業界のかたにもわかりやすいので、実例として挙げます。

 

『学生のころから、イタリアの文化が好きで何度も旅行で行きました。

イタリアのもつ解放感や色彩感に惹かれたからです。

イタリアの風土にはどこかわたしの心を揺さぶるところがあるのです。

イタリアン料理の道を選んだのもそもそもこの憧れがあったからでしょう。

 

職場で一通りのことを習得してからは、書物をあさったり、有名レストランを回り、研鑽してきました。

時分なりに研究を進めていくにつれ、長い歴史を背景として培われたきイタリア料理の奥深さに圧倒されるとともに、ますます魅了されていきました。

 

いまの店に不満があるわけではありません。

職場の雰囲気は悪くありませんし、楽しく仕事をさせていただいています。

人間関係も良好で、オーナーはわたしの独立を後押してくれています。

 

今の店の『本格的だが低料金の大衆的なイタリアン』というコンセプトからは、多くのものを学びましたし、間違った戦術ではないと思います。

実際にとても繁盛しています。

わたくしもこの戦術を推し進めて貢献してきたつもりです。

わたしが、店長に就任してからは店の売上は、平均して、10%は増加しました。

 

私からのたくさんの提案を受け入れいただきました。

ただ、わたくしがオーナーではないので、アイディアのすべてが受け入れてもらえるわけではありません。

さまざまな研究を重ねていくなかで、自分なりのアイディアを実現し、さらに、『本格的だが低料金の大衆的なイタリアン』というコンセプトを進化させたいという思いが強くなり、独立を決意しました。

 

や親も今回のわたしの決意を強く応援してくれています。

一度しかない人生なので熱い思いを実現しろと言ってくれています。

 

お世話になった店のコンセプトをさらに進めて、大衆的で開放的な立ち飲みイタリアンを開業したいと思っています。

回転率をあげられるので、料理は、本格的なイタリアンでありながら、料金をさらに格安に抑えることができるので、きっと受けると思っています。

立地する場所には、サラリーマンが多く、帰りがけにちょっと仲間と安く、それでいておしゃれに飲める店は大きな需要が見込めると思います。

 

イタリアンの文化が好きで、日本人にもっとイタリアのよさを味わってもらいたいと心から思っています。

ぜひ応援をお願いします。』

ターゲットと差別化要因を記述して添付する。

これも例文をあげて説明しましょう。

当事務所は、IT、医療、商社、小売、メーカー、建設、サービス業、不動産と幅広い起業家をお手伝いしていますが、飲食の例がわかりやすいので、これも飲食の事例をあげます。

 

例 サラリーマンをターゲットとした居酒屋の場合

近くにオフィス街があるのでサラリーマンをターゲットにしたいと思っています。通行量調査にあるように需要は充分にあります。競合は、リストアップしたとおりですが、そもそも添付の通行量にくらべて店が少ないので市場は有望です。

メニュー表にあるとおりに、サラリーマンの予算で楽しめるコスパの高い価格設定になっています。しかも、競合は、いずれもチェーン店なので料理のレパートリーがありきたりでお酒も定番のものばかりです。当店は、昭和風の料理とか、安いがめずらしい地酒を売り物にして、かれらとは異なる個性を打ち出すつもりです。仕入れルートは、勤務時代に確保しております。詳細は添付のメニュー表どおりです。

メニューは、いずれも競合以下の価格ですが、採算は充分にとれます。添付の損益計算書と資金繰り表にあるとおりに、十分に利益を確保できますし、資金繰りに問題は生じません。

 

なお、飲食店なら通行量調査、競合調査、メニュー表も添付した方がよいでしょう。

飲食店であれば、まず、周辺環境の記述をする必要があります。

周辺環境が市場だからです。

周囲は、住宅街であるとか、オフィス街であるといった記述です。

ただ、それだけでは、弱いので、通行量調査や競合調査をするのです。

これらの調査を実施すれば、強く起業家の熱意や実行力をアピールできます。

競合リストは、自社との強味弱みの比較も織り込んでください。

競合を自分と比較して冷静に研究しているという姿勢も強いアピールに繋がるからです。

メニュー表も原案でもよいので添付してください。

メニュー表には、起業家の差別化戦略が表現されるからです。

戦術がある起業家だなと思ってもらう必要があります。

 

【通行量調査の例】

属性 12:00~15:00 17:00~24:00
20歳~30歳男子 500 1500 2000
30歳~40歳男子 400 1600 2000
40歳~50歳男子 600 2000 2600
50歳~60歳男子 600 1800 2400

営業戦術についての添付資料

具体的にどのような営業をするのかを記述してください。

もっとも良いのは、潜在顧客のリストを添付することです。

『この会社に営業します』と言えるのがとても効果的です。

受注書があればさらに良いでしょう。

不特定多数を相手にするなら、勤務時代に実際にやっていた営業戦術を記述するのがてっとり早いです。

当時の営業成績を表にするだけでかなり評価されます。

資金繰り表(必須)

資金使途と返済計画をすくなくとも36ヶ月分、エクセルで記述してください。

損益計算書の区分と資金繰り表の区分に分けて説明するのが理想です。

日本政策金融公庫にかぎらず、資金繰り表で資金使途返済計画を明示するのは、資金調達を成功させる鉄則です。

これは、今後、起業したのちに、銀行交渉をするよい訓練となるので必ず作成してください。

ビジネスは、成功するほど資金需要が増すので、銀行交渉は、不可避だと考えてください。

銀行マンは、計数感覚のある起業家に好意をいだきますので、すらすらと言えるまで読み込んでください。

⇒資金繰り表の実例

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お金を貸してもらえる使い道とは?

銀行は、前向きに使われるお金しか貸してくれません。

事業のためにお金がつかわれ、それが増殖するプロセスが見えないと貸してくれないのです。

銀行が前向きとみなしてくれる使い道は、大きく分けて、2つです。

 

  • 設備投資系:内装、器具備品購入、ソフトウェア投資、事務所の敷金保証金など
  • 運転資金系列:人件費、家賃、広告宣伝費、在庫、売掛など

 

いずれも、お金が増殖する、積極的なお金の使いかたです。

使い道がはっきりしていても無尽蔵に貸してもらえるわけではない

設備投資系の場合は、将来の売上確保のための適正投資と判断されれば、購入金額分だけ貸してもらえます。

ただいくら必要な投資でも、その設備がもたらす将来のキャッシュフローから考えて、返済不可能と判断されると、貸してもらえません。

 

運転資金系の支出は、通常は、3ヶ月の支出が限度です。

それ以上は、貸してもらえません。

3ヶ月以内に、経費に見合う収入ぐらいは、稼げるようになってくださいということです。

 

ですので、飲食、メーカー、小売、建設、クリニックといった設備投資を伴うことが多い事業は、お金は借りやすいです。

一方で、IT、サービス業、商社といった設備投資系の支出がない事業は、運転資金しか借りられないので、借入額は小さくなる傾向があります。

 

ただ、運転資金については、3ヶ月分の経費以上の資金を借りる必要がある場合もあります。

  • 営業努力が実を結ぶまで時間がかかる。
  • 製造に時間がかかる。
  • 取引条件が悪い等々です。

 

こういった場合は、資金繰り計画表をきっちりとつくり、なぜ、3ヶ月以上の経費分のお金が必要なのかをより詳細に説明する必要があります。

資金使途と必要性をはっきりさせるのです。

さらに、売上根拠をしっかりとみせて、売上が想定の7、8割まで伸びてくれば、十分に返済が可能であることも示したほうがよいでしょう。

資金使途のみならず、返済能力までアピールしてください。

3ヶ月以上の運転資金を貸してもらうためには、資金使途と返済計画について緻密に説明する必要があります。

 

経費系の支出の場合は、設備投資とちがって、見積書を提出できるわけではありません。

事後的に1枚の領収書ときれいに照合することもできません。

ですので、金融機関としては、何に使ったかよくわからない面があります。

もしかしたら他事業の赤字補填につかわれたのかもしれません。

社長が、個人的な目的に流用しているかもしれません。

疑いの目をもって見られます。

だからこそ、経費支出に使うお金を大目に借りる場合は、資金繰り表をつくる必要があるのです。

 

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二つの数値計画書

創業融資では、数値計画の作成が求められます。

数値の羅列ですが、貸出の審査では、その内容がしつこく訊かれます。

いい加減な数値計画をつくって、審査担当者に計数管理能力がないと思われたら、お金は貸してもらえません。

簡単な数値計画もできない創業者がきちっとお金を返してくれるはずがないと思われてしまうからです。

 

数値計画には2種類あります。

損益計画と資金繰り計画の二つです。

損益計画とは、利益を出すための計画です。

利益とは、経済的な価値の純増減です。

収益から費用を引いた差額です。

資金繰り計画とは、現預金の増減を管理するための計画です。

 

なぜ、二つの種類の数値計画が必要なのでしょうか?

それは、利益と資金繰りは、似て非なるもので、異なる動きをするからです。

代表的な例を三つ挙げます。

在庫を買ったら、現預金はなくなりますが、経済価値のある棚卸資産を手にいれるので、利益に影響はありません。

掛け売りしたら、現預金の入金はまだですが、販売は終了しているので、利益は認識しなければなりません。

でないと、現状の業績を正しく把握できません。

逆に、借金は払っても費用にはなりません。現金は減りますが、その分だけ借金が減るので、相殺して、経済的な損失はないからです。

このように利益と資金繰りは、異なる動きをするので異なった計画書が必要となるのです。

創業計画書の標準フォーマット

損益計画書と資金繰り計画書は、創業計画書の標準フォーマットでは、異なる名前が与えられています。

 

創業融資の標準フォーマットでは、損益計画書は、『事業の見通し』とか、『損益計画』と言われています。

簡略化されて書きやすくなっています。

ちょっと簡略化されすぎているので、審査を有利にするめるために、通常は、より詳細な損益計画書を添付します。

勘定科目をより細かく設定して、すくなくとも36カ月の月次推移の形で損益計画書を作成して添付します。

その方が、会社の生存能力や成長力を客観的に説明できるからです。

 

資金繰り計画書は、創業計画書の標準フォーマットでは、『必要な資金と調達方法』とか、『創業時の投資計画とその調達方法や内容』と呼ばれています。

これも、かなり簡略化されています。

損益計画の場合よりも、さらに一層、簡略化されています。

こちらも、審査を有利に進めるために、詳細な資金繰り計画表を添付するのが常識です。

損益計画同様に最低でも36カ月分の月次の資金繰り計画が必要です。

損益計画のアピールの仕方

まずは、損益計画のアピールの仕方について説明します。

損益計画では、利益が確実に出ることを示す必要があります。

そのために、大切なのは、売上目標値です。

事業経験で過去に実績があれば、説得は簡単です。

サラリーマン時代の実績値をアピールすれば、よいだけです。

手作りでもよいので、サラリーマン時代の売上実績がわかる資料を提出してください。

しかし、売上実績の経験がない場合には、計画のち密さ、強さをアピールするしかありません。

ひとつの方法は、価格設定を明確にするということです。

売上を数量と単価に分け、その単価の基となる価格表を作成します。

この価格を業界最低値に設定して、比較できるように、競合の価格表も添付してください。

価格競争力が強いのだというアピールをするのです。

商品やサービスの魅力は、その業界の部外者の審査担当者には、理解しづらい面があります。

しかし、価格が競合よりも安いという事実は、業界素人でも理解しやすいので強いアピールとなります。

価格を抑えると利益が出づらくなることを心配されるかたがいますが、利益は、最初から黒字である必要はありません。

開業5~6ヶ月目から少しずつ利益が計上され、初年度後半から税引き後利益が借金返済額を超過するようなプランであれば十分です。

審査担当者は、創業企業が最初の月から黒字であることをそもそも期待していませんので、こういったプランの方が逆に現実性があります。

資金繰り計画のアピールの仕方

資金繰り計画でアピールするのは二つです。

  • 資金使途の妥当性 
  • 返済財源がある。

資金使途とは、借りたお金の使い道です。

借りるお金が事業目的に使われることを示す必要があります。

36カ月分の月次資金繰り計画表を作れば、運転資金や設備投資資金として、当該借入がどうしても必要であることは明らかになるので、自ずから資金使途を明確に示すことができます。

つぎは、返済財源の説明です。

ちゃんと返せることを、数値計画で説明する必要があります。

資金使途が在庫資金や売掛金の増加なら、将来の売上が返済財源となることを資金繰り表で明示してください。

創業赤字の填補や設備投資なら、将来の利益が返済財源となることを明示する必要があります。

少しづつ売上が増加して、利益が生まれ、増加し、税引き後利益額が、やがては月々の借入返済額を越えていく計画を作成してください。

36カ月分の月次の資金繰り計画表は、作成は手間取りますが、資金使途と返済財源の説明には、なくてはならない資料です。

もっとも大切なこと

なによりも重要なのは、損益計画と資金繰り計画をよく理解して、創業者自身がすらすらと説明できるようにしておくことです。

審査担当者からは、さまざまな説明がとんできますので、よどみなく答えられる必要があります。

数値計画がよくできていても、肝心の経営者がその数値計画を理解していなければ、審査担当者は不信感を持ちます。

大切な数値計画が人任せで、しかも、計数に関する理解能力がないと思われたら、審査は、とても不利になります。

当事務所のサービス

リアルな数値計画を丹念に手作りして、創業者の方が理解できるまで、丁寧に解説、ご説明いたします。

間違いなく、融資審査の突破力は、飛躍的に強化されます。

また、日本政策金融公庫の東京支店とも密接な強力関係にあります。

ちなみに、東京支店は、創業融資の貸出実績は、関東地区1位です。

創業融資にご不安やご不明な点があれば、ご遠慮なく当事務所の無料個別相談をご活用ください。

創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

▼創業融資の無料相談会

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創業者には、銀行は、お金は貸してくれません。

銀行は、返せる人にしか貸しません。

返せるかどうかは、過去の決算書で判断します。

創業者は、事業を経営した実績がないので、肝心の決算書がありません。

だから、返せるかどうか判断できません。

なので、貸しません。

 

ただ、それでは、創業者は、創業資金を調達できません。

開業する人は、ものすごく少なくなってしまいます。

そこで、創業する企業数を増やすために、公的金融機関が、国から予算をもらって支援をしています。

 

具体的には、日本政策金融公庫や、制度融資における信用保証協会です。

 

公的金融機関は、創業者には、基本的に貸したいと思っています。

それが国の方針であり、ノルマがあるからです。

創業者への貸し出し実績を作らなければ、官僚に怒られます。

ただ、補助金ではなく、貸付金なので、返せそうもない人にはどうしても貸せません。

貸倒率が上昇すれば、やはり官僚に怒られてしまうからです。

 

たとえば、自己資金が不足したり、事業経験があいまいだったり、創業計画書を適当に作ったりしている人には、審査は厳しくなります。

ちなみに創業計画書とは、創業者が作成する事業計画書のことです。

 

自己資金が不足しているとどうしても、計画性がない、お金の管理ができないと思われます。

しかし、審査担当者は、ノルマがあるので、ほかのポイントで、なんとか救い上げたいと思います。

しかし、輪をかけて、事業経験の記述があいまい。

事業内容も、あいまい。

損益計画は適当に数字を並べただけ。

資金繰り計画は作成していない。

という創業者が少なくありません。

救い上げようがありません。

 

一方で、自己資金が不足しており、事業経験はどう見ても並程度なのに、十分な創業資金を借りられる人もたくさんいます。

100万の自己資金で500万円借りた。

あるいは、300万の自己資金で1200万円借りた。

でも事業経験は普通。

こんなかたも、数多くいます。

 

審査担当者は、貸したいと思っています。

でも、不安を感じる人には、貸せない。

彼らは、ジレンマに陥っているのです。

不安の方を消せば、こちら側に寄ってきてくれます。

 

審査担当者は、不安だらけです。

「ちゃんとビジネスの経験あるのかな?」

「売れるのかな?」

「なんか、お金の管理がざるっぽいな?」

「なんか不真面目そうだな。」

「やる気なさそうだなー。」

 

この不安を消せば、よいのです。

きちっとした服装と言葉遣いで、驚かすぐらいの創業計画書をつくって、すらすらと損益計画と資金繰り計画をしゃべれば、「ノルマもあるから、ちょっと不安な要素もあるけど貸しちゃおう」となるのです。

 

とくに、損益と資金繰りの違いを理解した上で、緻密な計画をすらすらと言えれば、優秀な人だなと思ってくれます。

金貸しですから、数値計画が大好きです。

損益計画と資金繰り計画は、かれらの言語なのです。

人間は、自分の言語がわからないやつは嫌いです。

アメリカ人を思い浮かべてください。

アメリカ人は、英語がしゃべれない人は、アホとしか思っていません。

わたしは、10年間、外資系の会計事務所にいたので、悲しいほど、体感しております。

それに似ています。

 

自己資金や事業経験が、ちょっと不足していても、「ちゃんとした創業者だ」と思わせれば、予算消化もあるから貸しちゃおうと思わせることはできます。

それが、創業計画書であり、資金繰り計画書です。

 

最近は、自己資金があれば、大丈夫と思われる方もいますが、それは、ちょっとした勘違いです。

自己資金は、所詮は、代替的な判断要素にすぎません。

自己資金は、事業に使われてなくなります。

貸し手にとって、なんの担保にもなりません。

審査担当者は、あくまで金を返せる経営者かどうかを知りたいのです。

自己資金を超える創業資金を借りたければ、不安を払拭するような出来の創業計画書は必要です。

 

金を借りるためだけに面倒なことはしたくないと思われるかもしれません。

しかし、創業計画書作りは、生き残れる経営者になるには、とても良い訓練です。

事業計画さえ作れない経営者が、実際のビジネスを作れるはずもありません。

創業計画書作りは、経営センスを磨けるという実益もありますので、ぜひ、きちっとおつくりください。

すぐれた経営者は、日々、頭の中で、事業計画を練っています。

面倒くさい作業を延々と続けているのです。

事業計画を空想できない経営者は、事業を成長させられません。

 

創業計画書の書き方については、別の記事で詳述しております。

ぜひ、そちらをご参照ください。

⇒『創業計画書の書き方』へ

わたくしどもの『創業計画書の書き方』の記事が、少しでもお役に立てれば幸甚です。

 

当事務所は、資金調達のみならず、税金対策、経営指導、会社設立、補助金、社会保険まで、ワンストップで総合支援しておりますので、会社経営でも少しでも不安なことがあれば、当事務所の無料相談をご活用ください。

当事務所は、無料相談後にフォローの営業はしませんので、ご気軽にご利用いただけます。

 

▼創業融資の基礎知識

  1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
  2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
  3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
  4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
  5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
  6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
  7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
  8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
  9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
  10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
  11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
  12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
  13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
  14. ⇒自己資金が不足しているとき
  15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
  16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
  17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
  18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
  19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
  20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
  21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
  22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
  23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
  24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
  25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
  26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

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不動産仲介業を開業しようと思っています。

自己資金はどれぐらい必要でしょうか。

ちなみに、事務所は自宅兼となりますので、地代はかかりません。

また、不足する資金は、日本政策金融公庫から借り入れをしようと思って、創業計画書をつくっていますが、『必要な資金と調達方法』と『事業の見通し』の書き方がよくわかりません。

 

税理士の工藤がお答えします。

不動産仲介業を営むためには、国家試験をパスして宅地建物取引士として登録し、さらに国土交通大臣または都道府県知事の免許を取得し、免許証の交付を受けなければなりません。

事務所に関する要件も厳しく、自宅の一部を事務所とする場合には、出入り口を別にする必要があります。

免許を取得するためには、高額の供託金を払わなければなりませんが、保証協会に加入して安く済ませるのが一般的です。

それでも、業界団体や保証協会への加入金などの支払いで約150万円近く必要となります。

 

そのほかに備品、当面の経費を考慮すると総額で400万円ぐらいの資金は必要となるでしょう。

創業融資は、総資金の3分の1の自己資金が必要とされていますので、用意するべき自己資金は、最低でも130万円ぐらいとなります。

会社を設立する場合には、費用が別途約20万円ぐらいが必要となるので、合計150万円ぐらいの自己資金が必要となります。

 

創業計画書は、創業融資を借りるために必ず提出しなければならない事業計画書です。

創業計画書の『事業の見通し』とは、見込まれる損益です。

売上から人件費などの経費を差し引いて計算される、恒常的に発生する利益です。

計算の仕方としては、最初にまず売上を予測します。

不動産仲介業の場合は、予想される仲介件数に売上単価を乗じて計算します。

仲介件数は、狙っている市場や自社の営業戦術を考慮して積算してください。

売上から、給料、ちらしやインターネット広告などの販促費、営業交通費、水道光熱費等をひくと、経常的に発生する利益が計算できます。

 

一方、『必要な資金と調達方法』は、資金繰りを説明します。

資金繰りは、『事業の見通し』で示されている利益とは、概念が異なります。

資金支出は、保証金などの経費にならない支出、備品・車両などの数年の期間にわたって経費となる支出も含まれます。

さらに、売上が当初は、あまり上がらないので、当初3か月分の経費も合算して加えます。

当面をしのぐための経費と、経費にはならないが、必要な支出をどのようにして手当するかを示した表です。

 

資金の手当ての仕方、即ち、調達方法は、自己資金と借入からなります。

自己資金と借入の合計は、支出と一致しなければなりません。

当面、必要となる支出をすべて予測して、それが、自己資金と借入でまかなえるように資金の入りと出を計画しなければならないのです。

 

見方を変えると、借入は、資金の支出と自己資金の差額となります。

自己資金でもまかなえない支出を、日本政策金融公庫で貸してくださいという表なのです。

 

創業資金の調達に成功するためには、説得力のある損益計画と資金繰り計画の作成が必須です。

損益計画や資金繰り計画の作り方についてご不明な点があればいつでも工藤公認会計士税理士事務所にお問合せください。

初回の相談は無料です。

 

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