会社が不動産投資をしている場合のように、子供たちが継いでもよいと考えている事業と、継ぐ意思のない事業がある場合には、会社を分割して売りたい事業だけを切り分けて別会社にして売却する方法があります。
手順
通常、会社分割後に会社を売却する場合には、適格分割とならずに、営業権部分に法人税や地方税が課せられてしまうので、税負担はもっと大きくなります。
しかし、このスキームを使えば、社長には、譲渡益に対する20%の申告分離課税が課されるだけです。
まずは、社長は、事業承継したい事業を受け入れる受け皿会社を用意します。
受け皿会社は、できれば開業してから3年以上経過した会社が望ましいです。開業3年未満だと相続税法上は、純資産価額による評価が強制されるからです。
事業を受け皿会社に移転するときには、不動産の含み益や、営業権に課税されないためには、会社分割が共同事業要件といわれる適格分割の要件を満たす必要があります。
そのためには、B社は、分割する事業とシナジー効果のある事業を営んでいる必要があります。ただ、シナジー効果の意義はとても広く解釈されているので、神経質になる必要はありません。
共同事業要件の株式継続保有要件には、意外にもA社の株式の継続保有は含まれないので、A社を売却しても、非適格とはならず、社長には、譲渡益に対する20%の申告分離課税が課されるだけです。
共同事業要件には、そのほかに、金銭等不交付要件、按分型要件、従業員引継要件、事業継続要件、規模要件または経営参画要件、主要資産等引継要件、B社株の株式継続保有要件がありますので、要件にひっかからないように慎重に実行してください。
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