節税対策

節税対策、銀行対策は時間稼ぎが全て!

【なにを税理士に求めますか?】

東京千代田区の工藤公認会計士税理士事務所です。

お客さまは、税理士事務所に何を求めますか?
税金や資金繰りに関して困ったときに助けてもらうことでは、ないでしょうか。

 
ところが、次のような不満があとを絶ちません。
『決算近くになって税理士と打ち合わせをしたら、予想以上に、多額の税金が発生しまうことを突如として告げられた。あわてて対策を打ったが、効果はほとんどなかった。翌期に税金の支払いにたくさんお金が使ってしまい、予定していた設備投資を見合わせることになってしまった。』

  
あるいは、その逆の不満を耳にすることもあります。
『決算近くになって税理士と打ち合わせをしたら、銀行に見せられないような決算数値となることがわかった。あわてて対策を打ったけれども、効果はほとんどなかった。決算書が悪いので、銀行からお金を借りれなくて、会社が潰れそうになった。(あるいは、潰れた。)』
  
こういった場合、意外かもしれませんが、その税理士には悪気もありませんし、手抜きをしているつもりもないはずです。もともと、税理士の業務は、各種税金の申告、税務書類の作成、税務相談などを行うことです。過去の取引を処理することなのです。将来を予測して会社が潰れないように対策を立てるという仕事は、2の次です。こういった不満をもたれる税理士は、手を抜いているわけではなく、過去の取引を適正に処理するのが自分の仕事だという職業観にそって、忠実に職務を果たしているだけなのです。

税理士の職業意識と顧客の期待感には、大きな開きがある場合があります。この点をよく理解して税理士と付き合わないと対策が手遅れとなる場合があります。
      
【決算の失敗の原因】
こういった決算の失敗は、大変な損失を会社にもたらします。多額の税金が流出したり、金融機関から、運転資金や設備投資資金の供給がストップされてしまいます。
なぜ、こんな事態が発生してしまうのでしょうか?因果関係は次の通りです。

 

損益予測の遅れ⇒対策の遅れ⇒決算の失敗
  
損益予測の遅れが、対策の遅れにつながり、決算を失敗させてしまうのです。
決算という言葉から、期末にちょこちょこやれば何とかなると思われるかたがいますが、それは誤りなのです。
よい決算を組むためには、早めに対策を講じる必要があるのです。

決算書は、1年間の経営の通信簿ですから、あたりまえといえば当たり前の話です。
節税対策も、決算書を改善するための対策『以下、格付用決算対策」と略称します』も、多くの場合、その効果は実行する期間に比例します。六ヶ月間実行できれば、1ヶ月間実行した場合の6倍の効果を得られるということです。
節税対策・格付用決算対策ともに、まともな効果を期待するには半年は必要です。
例えば、節税対策で中古車を期末月に買っても、1か月分しか減価償却できないので節税効果はほとんどありません。
逆に、決算状況を悪く、リストラをかける場合、その実行が期末月であればコストダウンの効果は、一か月分しか享受できません。決算書は、ほとんど改善しないでしょう。 

【諸悪の根源は損益予測の遅れ】
対策が遅れる理由は、損益予測が遅れるためです。
事実認識の遅れが、アクションの遅れにつながっているわけです。
決算がどれぐらいの黒字や赤字になるなんて簡単に予測できそうなものですよね!
実は、意外と失敗することが多いのです。

ベテランの経営者でも、損益予測はよく読み間違えます。損益予測は結構、難しいのです。
主な理由は、二つあります。 

①そもそも月次決算が遅い。
月次決算が遅い場合は、客観的な判断材料がないので、経営者は直感で決算を予想せざるをえません。多くの場合、経営者の予測と帳簿の損益はかなり乖離しています。

経営者はお金の出入りをもとに、決算を予想しますが、このお金の出入りと帳簿上の損益は、まったく違った結果になることが多いのです。
その理由はたくさんありますが、主な要因だけをあげると、会計上の認識基準と回収条件・支払条件の差、在庫増減、固定資産投資、減価償却、財務収支との混同などがあります。感覚上の利益率が数パーセント間違っているだけで、利益額への影響は甚大なものとなります。

売上3千万円の会社でも、利益率の予想が5%違えば、利益や損失は、150万円もずれてきます。損益予想がそこまで違えば、対策はまったく異なるものとなりますが、予想が違っていたことがわかったときには、だいだい手遅れとなっています。

②月次決算はちゃんと実施されていても、損益の予測が実施されていない。
損益予想が行われていないと、過去の実績だけから将来を予測することになります。過去数ヶ月の実績がそのまま今後も継続しない限りは、感覚的な年間予想は実際の決算実績とずれることになります。月次決算の業績が同じであり続けることはありえませんので、予想と実績は、やはりこの場合もずれます。

売上が1億の会社なら、売上高利益率の予想が1%ずれるだけで、100万円も利益は、ずれてしまいます。100万円利益がずれるだけで、赤字企業となるか黒字企業となるか変わってしまう会社は多いはずです。赤字企業と黒字企業では対策は、真逆です。

【なぜ、多くの会社が失敗しているのか?】
中小企業で損益予測をシスティマティックにやっている会社は多くはありません。決算書を申告書の添付書類と考え、損益を予測するための基礎材料であると考えていないからです。

経営予測という視点から試算表を積極的に利用しようという税理士事務所も、まだ多くはありません。
税理士の試験科目のファイナンス理論があるでしょうか。ありません。予測技術の基礎を勉強する機会そのものがないのです。
欧米のMBAコースの教授の多くは、『経理は誰でも早期に習得できるが、経営シュミレーションは相当の訓練と経験が習得には要する』と言っています。

  
【確かに難しい】

たしかに、損益予測は難しい仕事なのです。売上が1億を超えていれば、売上高利益率の予測が1%ずれるだけで、100万円も損益予測が違ってきます。この1%の狂いによって黒字会社から赤字会社に転落したり、その逆となる会社は少なくありません。

黒字会社と赤字会社では、対策は真逆です。

経営者の中には、直感や感覚に頼って年間利益を予想する方もいます。とくに起業したての経営者の多くはわざわざ損益予測を立てようとはしません。この感覚的な予想に依存することも、決算予想を狂わせます。売上の予測ならともかく、売上から原価や経費を引いたあとの利益を、感覚で1%のレベルまで正確に予測することは、そもそも無理なのです。十分な経験のある優秀なCFOでもそんな芸当はできません。
  
【じゃ、どうすれば、損益予測ができるのか】
早期の損益予測の成功は、次の好循環をもたらします。
   
早期の損益予測の実施⇒早期の対策⇒決算成功⇒納得の納税・銀行からの支援
  
では、どうすれば、この早期の損益予測はうまくゆくのでしょうか。

勘定科目毎に、積み上げ方式で損益予測を実施し、経営者と専門家がコミュニケーションを厚くすることが、唯一の成功条件です。

  
《成功要因》
① 月次決算に基づき、勘定科目毎に積み上げ方式で損益予測を実施
② 経営者とのコミュニケーションから情報収集し、損益予測の精度を改善

 

分かりやすい例をあげましょう。上半期の売上が、1千個×1万円=1千万円だったとします。粗利は、30%としましょう。単純に年間予測すると、年間売上は2千万円(2千個×1万円)で粗利は、600万円(2千万円×30%)となります。しかし、経営者との会話から競争がいつにもまして激化しているという情報が得られれば、売上単価の低価や粗利の減少を予測に織り込むことができます。例えば、価格が20%下がれば、年間の予想粗利は、600万円から、400万円(1千万円×30%+1千万円×10%)へと大幅に減少します。経費の発生状況によっては、節税対策の真逆の黒字化対策を講じなければならなくなるかもしれません。

このような損益予測に重大な影響を与える生の経営情報は、経営者の頭の中にしかありません。ただ、どの情報が損益に対する影響が強く、どの経営情報が無視してもよいのか、経営者には区別はついていません。
だから、メールや電話のやりとりでは、経営者の頭から、会計・税務上の重要情報を取り出すことはできないのです。

まずは、経営者に自由に語らせ、その中から、損益に影響を与える要因を専門家が分析するというスタイルでないと、生の情報を損益予測に反映させることはできず、大きく狂うことになります。

経営者との密接なコミニュケーションがあって初めて、半年以上前からの損益予測が可能となってくるのです。
私どもでは、巡回監査による経営者との対話を重視しています。
巡回監査を必ず実施し、経営者と損益予想についてあれこれと話合うようにしています。
それが、私どもの原則的なサービス姿勢です。

損益予測を眺めながらの経営者とのコミュニケーションは、損益予想の精度を増し、対策の効果をとても強くしてくれるのです。

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