創業計画書の書き方Q&A
以下、創業計画書の書き方についてよく頂く質問を類型化して列挙いたしました。
一助としていただければうれしく思います。
質問 創業計画書の記入例を真似てつくったが断られた。なぜですか？
回答 日本政策金融公庫が提供する創業計画書記入例を参考にされる方が多いのですが、創業計画書記入例は添付資料が乏しく、審査担当者を納得させるだけの説得力に欠けています。事業経験、差別化要因、市場分析、販売手法等に関して記述がとてもプアです。説得力のある創業計画書を提出しなければ、審査担当者もサラリーマンですから、責任回避のためにあっさりと否決してしまいます。創業融資の成功確率はたったの３０％です。安易な考えは禁物です。記入例のレベルを遥かに超える創業計画書を作らなければならないのです。
質問 創業計画書を作成する手順について教えてください。
回答 いきなり創業計画書のブランキフォーマットに記入を始めてはだめです。創業計画書を単なる融資申込書と思わないでください。まずは、ビジネスプランそのものを固める必要があります。根底となる考えがしっかりしていないと貧弱な内容となり、後日の面談にも耐えられません。創業計画書作成前にビジネスの本質について瞑想してください。市場のどの部分に集中するのか、あなたの差別化要因はなにか、製品・サービスコンセプトは明確か、損益・資金繰り計画は甘くないか、資金繰りは月次で計画されているか、経営理念や夢はしっかりしているか、事業経験はアピールできるか等々、基礎的な考えをしっかり固めてから創業計画書の記入を始めてください。作文をするときには、まずは、しばらく筆をおいて考えるべきなのです。
質問 創業計画書の「創業の目的・動機」の書き方について教えてください。
回答 市場のどの階層、集団を狙うのかを明確にしてください。中小企業が漠然とすべてのお客をねらっても勝つことはできません。特定の階層に的を絞る必要があります。また、その市場の特定層が十分に大きく、かつ伸びていることを証明するために、公的な資料や民間の市場分析資料を創業計画書に添付してください。適当な資料が見つからない場合は、実地調査をして資料作成し、創業計画書に添付して、その特定市場が伸びていることを証明してください。ビジネスを始める前に、十分な買い手があることを分析し、確認している姿勢を示すことはとても大切です。
また、創業計画書の紙面上で、あなたがそのビジネスにかける夢や使命を自分の言葉で語ってください。「なんとなく儲かりそうだからそのビジネスをはじめようとしている」と誤解されたら、お金は貸してもらえません。熱意の欠ける、いい加減な人だと思われたら、審査担当者は「金を貸しても大丈夫」だとは思ってくれません。
質問 創業計画書の「事業経験」の書き方について教えてください。
回答 たとえ、事業経験が６年未満であっても経験を創業計画書に詳述してアピールしてください。事業経験をアピールしないことは、お金は貸していただくとも結構ですと言っているのに等しい行為です。アルバイト経験や、フランチャイズ研修も、アピールできます。１０年以上前の経験でもよいのです。また、アピールの仕方も重要です。あっさりと書くのではなく、いかなる貢献をしたのか、いかなる業務に従事したのか、なによりも、いかなる能力を身に着け、その能力がいかに創業予定のビジネスに役立つのかを詳述すべきです。紙面が足りなければ、創業計画書に別紙として添付してください。
質問 創業計画書の「お取扱いの商品・サービス（取扱品・主製品またはサービス）」の書き方について教えてください。
回答 商品・サービスをわかりやすく説明してください。気をつけなければならないのは、ビジネスの流れがうまく伝わらなくてボツとなることが意外に多いということです。審査担当者は、ビジネスのことはなんでも知っていると思い込むのは間違いです。図やチャートを創業計画書に添付してビジネスの流れをちゃんとわかってもらえるようにしておく必要があります。とくに事業者向けビジネスや、IT系のビジネスは、ビジネスコンセプトがわかりづらいことがあるので要注意です。
さらに、具体的な販売手法についても、詳述してください。創業企業は、とにかく売上をたてることが先決課題です。あなたの会社が、広告、ちらし、イベント、インターネットをつかって具体的に売上げを確保するプロセスをいきいきと説明できれば、審査担当者の評価はぐっと高くなります。紙面が足りなければ、創業計画書に別紙を添付してください。
質問 創業計画書の「セールスポイント（強みやセールスポイント）」の書き方について教えてください。
回答 ビジネスは、競争相手に勝たなければ生き残れません。付加価値、価格、製造手法、物流、販売手法のいずれかで、優位に立たなければ生き残れないのです。その差別化要因は、顧客にとって価値があるものでなければなりません。勝手な思い込みで差別化要因を構築してもお客は振り向いてもくれません。さらに、その差別化要因は、あなたが所有しているノウハウ、経験、資金力に照らして実現可能で、持続可能なものでなければなりません。これらのことを創業計画書上に記載する必要があります。
質問 創業計画書の「取引先・取引条件等（販売先・仕入先）」の書き方について教えてください。
回答 販売先は、潜在顧客でもよいので必ず創業計画書に記入してください。また、創業計画書に添付できるように、発注書や契約書を入手するように努力してください。不特定多数の顧客を相手にするビジネスの場合には、市場分析資料を再度、創業計画書に添付しましょう。
質問 創業計画書の「必要な資金と調達の方法（創業時の投資計画とその調達方法や内容）」について教えてください。
回答 創業計画書でもっとも重要な箇所です。以下のページをご参照ください。
質問 創業計画書をつくるのですが、取引先を記入する箇所があります。その取引先へ照会はされますか？
回答 創業計画書の取引先に照会することはまずありません。ただ、契約書や発注書を創業計画書に添付しなければなりません。
質問 起業するときの事業計画書、創業計画書を作る際に、簡易なものを用意して提出したいのですが、そのような起業時の創業計画書のテンプレートのようなものはあるのでしょうか？
回答 日本政策金融公庫が創業計画書の記入例を公開していますが、あまりよい出来栄えではありません。安易に記入例を真似て創業計画書をつくっても審査を通ることは難しいことをご理解ください。成功確率はたったの３０％です。
質問 創業計画書と事業計画書の違いはなんですか？
回答 基本的な構成は同じです。創業計画書は事業計画書の創業者用の簡易版とお考えください。決定的な違いは、創業計画書の場合には、事業実績がないところから作成しなければならないということです。以下をご参照ください。
質問 創業計画書の売上の根拠で困っています。一人当り生産高とか計算できないスポット受注の場合は、どうしたらよいですか・？
回答 スポット受注であっても、生産、業務、営業における主要な収益ドライバーはありませんか？売上の根源・制約となるような経営資源がドライバーです。創業計画書の売上根拠は、合理的な予測であれば受け入れられますので、日本政策金融公庫の例示にこだわる必要はありません。
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