税理士事務所(会計事務所)で働く人の年収

まず、会計事務所を規模別に分類して、その特徴を簡単にご説明してから、その会計事務所の分類ごとに年収の水準についてご説明します。

会計事務所の分類

まず、会計事務所は、大きく5つに分類できます。

BIG4税理士法人

BIG4とは、PwC税理士法人、デロイト トーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人の4つを指します。

監査法人に隣接して設立されている世界的会計事務所のメンバーファームです。

顧客は、主に上場企業などの大手企業です。

 

大手会計事務所

スタッフが100名を超える会計事務所です。

会計業界は、零細会計事務所が多いので、大手会計事務所の数は、多くはありません。、

各地に支店が設立されており、新卒採用も行っています。

職場としては、安定していますが、幹部は、長期にわたって勤務してきたスタッフで占められています。

リクルート力があり、税理士資格者を多く採用できるので、科目合格者は、採用されても、顧客の担当は、まず、できません。

大手会計事務所の給与平均は、700万円くらいです。

 

インターネット利用で拡大した大手事務所の給与平均は、700万円をかなり下回るはずです。

若いうちはよいのですが、40代、50代となると、生活設計はかなりきつくなるはずです。

 

中堅会計事務所

スタッフが15名から99名の会計事務所です。

地方都市であれば、その都市の代表的会計事務所の1つでしょう。

賃金制度や福利厚生が整備されており、ほとんどの場合、働きやすい環境は整っています。

組織化しており、社員税理士や取締役など、役員待遇のポジションもあります。

給与平均は、650万円くらいでしょう。

平均給与は、大手会計事務所よりも劣りますが、給与は、個人の能力に応じて決定されるので、労働環境としては、大手とはあまりかわりありません。

特徴的なサービスを提供して、順調に成長し、将来、大手事務所になってくいくような事務所もこのカテゴリーに含まれます。

 

当事務所は、このカテゴリーにはいりますが、平均給与は、上記平均を約200万円、上回っています。

 

小規模事務所

6名~15名の事務所です。

ある程度、組織化しており、顧客には、所長とは、別の担当者が配置されるので、担当をもって、経験を積むことができます。

 

零細会計事務所

5名以下の事務所です。

会計事務所の90%がこの分類に属します。

顧客の数が少ないので、基本的にすべての顧客は、所長が担当しており、スタッフは、補助業務が中心で、担当をもつことは、あまりありません。

ですので、基礎的な業務について経験を積んだり、資格取得のために勉強に徹するには適しています。

ただ、給与が低いまま、昇給がないことも多いので、明確なキャリアプランをもって、将来設計をする必要があります。

給与水準

給与でいえば、BIG4税理士法人が一番高く、設定されています。

BIG4税理士法人に就職した税理士の年収は、階級によって大きくことなります。

入社してから、スタッフ、シニア、マネージャー、パートナーまたはディレクターと階級分けされています。

年収は、1~4年目はスタッフで450万~650万、5年目~9年目はシニアで650万~800万以上、10年目以上でマネージャーとなり、800万~1500万以上といわれています。

パートナーまたはディレクターになれば、2000万円以上は稼げます。

マネージャー以上への昇格は、かなりシビアに評価されます。

ほとんどの方は、シニアからマネージャーになれずに、辞めていきます。

マネージャ―になると管理職となるので、残業代はつかなくなります。

昇給するためには、さらに上位のシニアマネージャーやディレクター、パートナーへ昇格しなければならないのですが、競争は熾烈で、専門家としての能力の他にコミュニケーション能力がかなり高くないと、昇格しないので、精神的なストレスは、かなり強くかかります。

激務が続き、競争のストレスが高いため、会計業界では、もっとも離職率の高い職場となっています。

 

その他の事務所の給与水準については、税理士の資格がある場合とない場合は、大きくことなります。

税理士の資格があれば、大手税理士事務所なら400万円~1000万円、中堅会計事務所なら、400万円~800万円、小規模会計事務所なら400万円~600万円、零細事務所の場合は、税理士資格者を雇うことはあまり多くありませんが、400万円~550万円ぐらいでしょう。

 

大手事務所でも、1000万円を稼ぐには、部門長などの役職に就く必要があります。

厚生労働省の資料によれば、規模を問わず、勤務税理士の約7割は、700万円以下のゾーンに属していると言われています。

それは大半の税理士は、部門長などの役職に就いていないためです。

また、会計事務所は、近年、巨大化する傾向がありますが、ある規模より、大きくなるほど、社員の給与は低くなるという法則があるからです。

会計業界は、ほかの業界とちがって大手になっても客層が払う料金は、同じなのに、規模の利益が働かないので、大手になると逆に給与がさがってしまうのです。

ただ、BIG4税理士法人は、上場企業向けサービスを寡占しているので、例外です。

 

科目合格者や資格がない場合は、会計事務所の規模を問わず、税理士と同じ巡回監査の仕事をしていても、給与は、350万円~500万円ぐらいです。

一般的には、税理士の資格がない場合は、かなり、給与に格差をつけられます。

担当売上と給与の関係

一般的には、以前は、担当売上の3分の1が、自分の給与とされていましたが、いまは、そうはなっていない会計事務所が多いようです。

小規模事務所の場合には、売上が伸びず、財務的に苦しいために、給与を抑えざるを得ません。

大手会計事務所や中堅会計事務所も、最近は、インターネット広告に力をいれているために、販管費がかさみ、よくても、売上の20%代後半しか、給与として支給していない場合が多いようです。

税理士資格をもっていない場合は、資格者に対して差別されることもあり、自分の担当売上に対する給与水準は、ほとんどの場合、20~25%ぐらいに抑えられています。

開業税理士の所得

税理士は、開業しないと、所得は伸ばせないと言われています。

たしかにそうですが、中小企業の数が減っているために、なかなか顧客がとれず、開業しても、所得が300万円以下の所得しか、稼げない方や、そのため廃業される方の割合が、年々、増えています。

自分の営業センスを見極めたうえで、独立するか否かを検討するべきでしょう。

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