赤字か、あるいは、債務超過の会社を合併することによって自社株式の株価を引き下げる手法をご紹介します。
まずは、自社株式の原則的評価方式のひとつである、類似業種比準価額の算式をご覧になってください。
[類似業種比準価額の算式]
利益の要素は、3倍に加重されています。
当期利益を減少させることができれば、自社株式の評価額は、劇的に下がることがご理解いただけると思います。
また、当利益ほどには、影響は大きくはありませんが、1株当たりの純資産価額を減少させても、株価を低くすることができます。
グループ内に赤字の会社、あるいは、債務超過の会社があれば、業績の良い会社と合併させることにより、株式評価額を総額として下げることができる場合があります。
赤字の会社あるいは、債務超過の会社を、業績の良い会社と合併すれば、次の効果を得ることができます。
- 赤字の会社の利益と、業績の良い会社の利益が相殺し、グループ全体の株式の評価額が減少する。類似業種比準価額では、赤字は、マイナスであっても、計算上は0とされ、株価はマイナスとなることはありません。合併によって、ほかの会社のプラスの利益を減少させることができるので、全体として、株式評価額を下げることができるのです。
- 債務超過会社の債務超過額と、業績の良い会社の純資産が相殺し、グループ全体の株式の評価額が減少する。類似業種比準価額では、債務超過額は、マイナスであっても、計算上は0とされ、株価はマイナスとなることはありません。合併によって、ほかの会社のプラスの純資産価額を減少させることができるので、全体として、株式評価額を下げることができるのです。
- 合併による規模の拡大によって、相続税法上の会社区分がより上位となり、類似業種比準価額が株式評価額に占める割合が増加することがあります。その場合は、①と②のもたらす効果がさらに大きくなります。
- 仮に合併によって株価の低い業種区分に分類されるようになれば、高い株価引き下げ効果が期待できます。類似業種株価は、業種区分によって大きな差があるからです。
なお、合併により会社実態に変化がある場合には、類似業種比準価額による評価ができないことがあります。生前贈与を実施する場合や、相続が近いと判断される場合には、類似業種比準価額が採用できないほどに実態に変化があったかどうかを慎重に判断するべきです。
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