公的金融機関から起業時に借りるには?

資金の調達というと最初に頭に浮かぶのは銀行でしょうが、銀行は、創業者にはお金を貸してくれません。
過去の実績がないからです。
創業時は、公的な融資制度に頼らざるをえません。
代表的なものは、日本政策金融公庫の創業融資と、信用保証協会をベースとした制度融資です。
両者ともに、調達額の上限は、だいたい自己資金の2倍から3倍ぐらいです。
平均的には、自己資金額と同額ぐらいです。
金利は、低めに設定され、貸出期間も長期に設定されており、創業者の負担を小さくするように設計されています。
日本政策金融公庫は、都内であれば、東京、新宿、上野、渋谷など、14ヶ所に支店があり、窓口が設けられています。
そこに行けば、丁寧に対応してくれます。
日本政策金融公庫なら、無担保、無保証でも実質的に1,000万円まで借りることができます。
日本政策金融公庫の無担保、無保証の融資制度の場合は、会社が倒産した場合には、社長は借金返済の責任は負いません。
開業率を上げるための政策意図が反映され、破格の条件となっています。

信用保証協会をベースとする制度融資は、一般の金融機関が窓口となっています。
ただ、創業融資は、手間がかかるわりには利ざやが小さいので金融機関によっては、消極的です。
一般的には、都市銀行や地方銀行よりも信用金庫、信用組合の方が親切に対応してます。
制度融資の場合は、さらに、東京都と市区等にわけられます。

制度融資も、無担保・無保証の制度があります。
区や市を経由した場合には、時間は長めにかかり、融資額の小さくなる傾向がありますが、利子補給や信用保証料補給があり、格安の調達コストで借りることができます。

創業融資にも審査があり、無条件に貸してくれるわけではありません。
成功するのは、申込者の30%~40%ぐらいです。
審査する側は、多角的に「貸しても大丈夫か?」を判断します。
成功のコツは、次の3つです。 

・自己資金を確保して、出所が証明できるようにしておく。
・事業経験をアピールする。
・創業計画書をしっかりとかく。

自己資金の額に借りられる金額は比例するので、調達額にみあった自己資金を確保する必要があります。
借りられる額は、だいたい自己資金の倍ぐらいと考えてください。
自己資金の定義は厳格ですので注意してください。
親、親類、知人から出してもらったお金でも、将来返済しなければならないなら、自己資金とはみなされません。
資金の出所は、通帳を精査され、厳重にチェックされますのでごまかしはききません。
贈与、出資、みなし自己資本等々の対処方法はありますが、慎重に実施する必要があります。
事業経験も重要な審査ポイントです。
ご経験のある分野を事業として選択されることをお勧めします。
事業経験の記述では、営業経験を強くアピールするようにしてください。
さらに営業経験の中で培った、潜在顧客のリストがあれば、審査はとても有利になります。
直接的な経験が乏しい事業を選ばれた場合には、代替的な手段として、他業種でもかまいませんので、会社経営に関わる全般的な経営スキルや管理スキルをアピールするようにしましょう。
事業経験についてはアピールすることをあきらめてはだめです。
創業計画書は、とても大切な資料です。
創業融資の場合には、過去の事業実績がないので、創業計画書という青写真により、審査が実施されるからです。
損益や資金繰りの計画は、少なくとも36カ月分は作成してください。
売上予測は、根拠を明確にしてください。
競争力のある価格に設定しても、十分な売上と利益を確保できるというプランになっていると説得力が増します。
また、その事業が置かれている特殊な状況を考慮して、現実味のある売上計画にしてください。
標準フォーマットをコピペしたような売上予測はだめです。
また、創業計画書には、必ず、資金繰り計画書を添付してください。
資金繰り計画書を作成して、資金使途と返済計画を明瞭に説明することはとても大切です。
借りたお金を何に使い、どうやって返すかというポイントは、貸出審査でもっとも重視されています。
創業融資でもこの点は変わりません。
資金使途は、設備資金、運転資金のどちらでも構いませんが、資金繰り計画書上でどうしてもその資金が必要であることを明確に表現してください。
同時に、売上が予測よりちょっとぐらいへこんでも、十分に返済が可能であることも資金繰り計画書上で表現する必要があります。

▼創業融資の基礎知識

    1. ⇒そもそも、お金は借りるべきなの?
    2. ⇒創業資金の集め方 さまざまな創業資金の集め方をご紹介します。
    3. ⇒日本政策金融公庫とは? 創業者にも貸してくれる公的金融機関
    4. ⇒信用保証協会と制度融資 信用保証協会の基本を理解しましょう
    5. ⇒『新創業融資制度』について 無担保、無保証の創業融資制度です。
    6. ⇒『中小企業経営力強化資金』について 無担保、無保証、要件上は自己資金不要、しかも融資額は最大2,000万円です。
    7. ⇒『新規開業資金』について 借りやすい創業融資制度です。
    8. ⇒東京都と市区町村の創業融資 ともに信用保証協会と自治体がバックアップする創業融資制度です。
    9. ⇒市区町村の創業融資の重大な欠陥
    10. ⇒創業融資の比較 選んではいけない創業融資制度とは?
    11. ⇒日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か? 総合的には日本政策金融公庫です。
    12. ⇒創業融資の成功条件 創業融資に失敗しない秘訣を説明します。
    13. ⇒自己資金について 自己資金は融資審査ではとても重視されます。
    14. ⇒自己資金が不足しているとき
    15. ⇒創業計画書の業種経験の書き方 経歴アピールで成否が決まる。
    16. ⇒創業計画書の書き方 創業計画書の書き方で成否は決まります。
    17. ⇒創業計画書の記入例 日本政策金融公庫が提供する記入例です。
    18. ⇒資金繰り表の重要性 資金繰り表をすらすらと説明できれば、融資審査ではとても強くアピールできます。
    19. ⇒創業計画書と資金繰り計画書で創業融資は決まる
    20. ⇒創業融資の面談で守るべきこと 面談で犯しがちな失敗とは?
    21. ⇒創業融資の流れと必要書類 創業融資を借りる手順です。
    22. ⇒創業融資で新事業を立ち上げる 起業だけでなく新事業立ち上げにも使えます。
    23. ⇒創業融資の成功事例 自己資金不足、経験不足、事故暦、事業譲渡、高額融資の事例を集めました。
    24. ⇒創業計画書と事業計画書の違い 創業計画書は創業者用の事業計画書ですが、ちょっと特徴があります。
    25. ⇒創業後に赤字を回避するための具体的な経営手法
    26. 創業融資Q&A よくある質問にお答えします。

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